く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<エニシダ(金雀枝・金雀児)> ヨーロッパ原産の落葉低木

2021年05月29日 | 花の四季

【マメ科特有の蝶形の黄花を枝いっぱいに】

 マメ科エニシダ属の落葉低木(高さ1~3m)。原産地はヨーロッパで、江戸時代の園芸書『花壇地錦抄』(1695年、伊藤三之丞著)によると、日本には延宝年間(1673~81)に中国を経て渡来したという。学名は「Cytisus scoparius(キティスス・スコパリウス)」。種小名スコパリウスが「箒(ほうき)状の」を意味するように、幹の根元から細い枝が何本も伸びて箒を逆さまにしたような樹形となる。英名も箒を意味する「broom(ブルーム)」。空を飛ぶ魔女の箒はエニシダ製ともいわれる。

 和名にシダと付くが、もちろんシダ植物ではない。古代ローマ時代の名前ゲニスタが日本で訛ってエニシダになったといわれる。明るい黄花のエニシダはヨーロッパで身近な花木として長く親しまれてきた。中世イングランド王国の「プランタジネット朝」(1154~1399)という王朝名も、エニシダの木を意味する「Planta genesta」から。5月頃、長く伸びた細い枝に径2cmほどのマメ科特有の蝶形花が群れ咲く。仲間に花の両翼弁が赤くなるホオベニ(頬紅)エニシダや白花種のシロエニシダ、鉢植え向きの矮性種ヒメエニシダなど。エニシダとホオベニエニシダなどとの交配で多くの園芸品種も生まれている。

 ただ耐寒性があり丈夫なエニシダは野生化しやすく、ヨーロッパ以外では生態系に影響を及ぼす外来種と位置づけている地域も少なくない。日本でも河川敷などに分布域を広げていることから「生態系被害防止外来種リスト」に総合対策外来種として登載されている。旧足尾鉱山の煙害などで禿山になった栃木県日光市の足尾地域ではかつて緑化の一環としてエニシダなどの種子が散布された。いま地元の「足尾に緑を育てる会」はエニシダなど外来種を除去して広葉落葉樹に植え替える活動に取り組んでいる。植樹目標は100万本。この20年余の植樹本数は26万強に上る。エニシダは初夏の季語。「金雀枝の黄金焦げつつ夏に入る」(松本たかし)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする