く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ヤマゴボウ(山牛蒡)> 中国原産の有毒植物

2021年05月06日 | 花の四季

【直立した花穂に白い小花を密に】

 中国原産といわれるヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草。野菜のゴボウ(キク科ゴボウ属)とは無縁の有毒植物だが、日干しした根は漢方で「商陸(しょうりく)」と呼ばれて利尿薬に用いられ、若葉もアクを抜くと食用になるという。このため古い時代に薬用や食用として渡来し栽培されたとみられる。それが野生化して全国各地の人里に近い山野に生え、ゴボウに似た根の形からヤマゴボウの名が付いた。

 草丈は1mほどになり、円柱形の緑色の茎をまっすぐ立てて長さ5~15cmの総状花序に小さな白花をびっしり付ける。花弁はなく5つの花弁状の萼片が下から咲き上がる。雄しべの葯(ふつう8個)は紅紫色。花後に8個の分果から成る扁球状の果実を結ぶ。日本原産の近縁種に本州の関東以西~九州の山地に自生する「マルミノ(丸実の)ヤマゴボウ」がある。こちらは花が淡紅色で、果実が球形なのが特徴。学名「Phytolacca japonica(フィトラッカ・ヤポニカ)」は牧野富太郎博士が命名した。属名のフィトラッカはギリシャ語の「植物」と「紫色の」の合成語。

 ヤマゴボウの仲間で街中の公園や空地などでよく見かけるのは「ヨウシュ(洋種)ヤマゴボウ」。これも有毒植物だ。北米原産の帰化植物のため「アメリカヤマゴボウ」とも呼ばれる。ヤマゴボウよりやや大型で、茎の色は赤みを帯び花穂は垂れ下がって、ブルーベリーのような赤紫色の実を付ける。観光地などで「山ごぼう」として市販されているものはモリアザミ(キク科アザミ属)の根やその加工品。その名称からヤマゴボウの仲間も食べられると勘違いする人が少なくない。ヨウシュヤマゴボウの根を採取し味噌漬けなどにして食べ、嘔吐など中毒症状を起こすケースが絶えないそうだ。

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