【寒空の下、特設土俵で奉納相撲も】
師走の奈良を彩る伝統行事「春日若宮おん祭」は最終日の18日、春日大社の参道脇の御旅所などで、祭り納めの奉納相撲と後宴能(ごえんのう)が行われた。平安時代末期から一度も途切れることなく連綿と続くおん祭も今年で879回目。これで前日の17日を中心に繰り広げられた多彩な芸能・神事は全て終了した。
後宴能は能が金春流、狂言が大蔵流で、演目は毎年替わる。今年の出し物は能が「羽衣」と「熊坂」、その間の狂言は「太刀奪(たちばい)」だった。「羽衣」(上の写真)はシテの天女を金春欣三が勤め、「熊坂」は前シテの僧も後シテの熊坂長範の霊も金春穂高が勤めた。「太刀奪」の太郎冠者は茂山あきらだった。午後2時に始まり2時間近く。強い冷気の中で小雪が舞う場面もあったが、多くの観客が日本最古の伝統芸能の祭典を締めくくる後宴能を最後まで楽しんでいた。
奉納相撲はこれに先立ち午後1時から参道を挟んで向かい側の特設土俵で行われた。奈良県相撲連盟や奈良市相撲協会の協力によるもので、今年は中学生8人と成人4人が参加した。土俵の周りには焚き火が3カ所。しかも寒さを忘れさせてくれるような熱戦が続いた。この寒空の中まわし一丁で奮闘した出場者にはただただ頭が下がる。ご苦労さまでした。