く~にゃん雑記帳

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<特別展 草原の王朝「契丹」> 王女の副葬品が物語る繁栄と文化レベルの高さ

2012年05月30日 | 美術

【黄金の仮面、銀糸の葬衣、彩色木棺……】

 29日、大阪市立美術館で開かれている「契丹」展へ。契丹王朝は約1100年前、唐が滅亡した直後に遊牧民族が中国北部に樹立し、1125年に滅ぶまで約200年間続いた。日本の平安時代中期から後期に当たる。近年の王族の墓や遺跡の発掘調査で、往時の繁栄ぶりを示すものが相次いで発見された。特別展は昨年9月から福岡を皮切りに国内を巡回しているもので、それらの発掘品約120点が展示されているが、その中には日本の国宝に当たる「中国一級文物」が多く含まれる。

 

 会場を入ってまず出迎えてくれたのが黄金の仮面や銀製の冠・靴、琥珀の首飾りなど。18歳の若さで亡くなったプリンセス「陳国公主」が身に付けていたもので、亡骸を覆っていたという銀糸製の葬衣や、再生を願って両手に握らせていたという琥珀握(こはくあく)などもあった。化粧箱の中の銀製容器にはまだ頬紅やおしろいが残っていたという。王女が使っていたものをそのまま納めたのだろう。いずれも1000年前のものとは思われないほど保存状態がいいことに驚かされる。大きな木製の小屋「家形木槨」のそばには机や椅子も。これらも王女の墓の中に納められていたという。

 会場を進み目の前に現れたのは巨大な「彩色木棺」。これは別の「トルキ山古墓」という所から2003年に見つかったもので、当時「世紀の大発見」と注目された。契丹建国当初のプリンセスの棺で、朱や金箔などが色鮮やかに残っていた。回りの欄干には守護のための獅子像。ところが出土後、温度・湿度の管理がうまくいかず、色が褪せ表面にはひび割れも。そのため、日中両国のチームが3年がかりで共同作業に取り組んで、ようやく当時の色合いと輝きを取り戻すことができた。木棺とともに発見された王女の亡骸には頭に黒髪がそっくり残っていたという。そのビデオの映像にもびっくり。

 「あまり期待していなかったが、予想以上だった」。知人のこんな言葉に促されての契丹展の鑑賞だったが、その通り、一見の価値のあるものだった。中国の国土の広さは日本の25倍。中国は毎年「十大考古新発見」を発表しているが、広大で古い歴史を持つ中国にはまだまだ多くの歴史遺産が眠っているのではないだろうか。

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