経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

アベノミクス・空前のマイナス成長へ

2020年08月02日 | 経済(主なもの)
 コロナ禍により、4-6月期GDPは前期比-7%という、空前のマイナス成長を記録しそうである。もっとも、リーマンショックの際は、マイナスが4四半期続き、前期比の合計が-8.8にもなっていたので、これよりは小さい。他方で、今回は、消費増税によるマイナスと連なっており、合わせるとリーマンを超える。1年前から景気が後退していたのに、無視して消費増税を強行したら、コロナ禍に遭い、これまでにない大打撃にしてしまったわけだ。

………
 6月の鉱工業生産は前月比+2.1と上昇したものの、4,5月までのマイナスが大きく、4-6月期は-16.4もの大幅な落ち込みとなった。ただし、今後、急速に回復する見通しで、7,8月の予測指数は+11.3,+3.4となっている。このように推移すれば、3月の水準まで戻ることになる。財別に戻り具合を見ると、建設財は比較的早く、消費財がこれに次ぐ。他方、設備投資の動向を示す資本財(除く輸送機械)は低迷し、戻る様子がない。

 4-6月期の資本財(除く輸送機械)は、前期比で-8.9も落ちており、4-6月期GDPの設備投資が大幅なマイナスになるのは避けがたい。2~5月にかけての変動幅は-16.4もあり、これはリーマン時に次ぐ規模で、標準偏差の4倍を超える。100年に一度のはずのリーマンショックから10年余りで、またも巨大なリスクが顕在化したのだから、今後の設備投資に慎重になるのも、やむを得ないところだ。

 消費に関しては、6月の商業動態・小売業は+11.8とV字で回復し、早くも3月の水準を超え、コロナ禍前の1,2月に近いところまで回復した。衣服・身の回り品が好調で、自粛によって抑制されていた反動もあったと思われる。機械・器具は、更に良く、1,2月を大きく超えるところまで伸びた。10万円給付金で、家電などの売れ行きが良かったためだ。自動車も、1,2月より水準がかなり低いにせよ、回復を見せている。

 これからすると、10万円給付金は、6月の消費の回復に一定の効果があったと言える。それでも、商業動態・小売業は、4,5月の水準が低かったために、4-6月期の前期比が-7.6という結果で、これを踏まえれば、4-6月期GDPの消費の前期比は-5%を下回りそうである。8%消費増税の2014年4-6月期の-5.9%以来になるが、今回は、10%消費増税の10-12月期-3.7%、1-3月期の-1.1%に重ねての3期連続マイナスなのが痛い。

 雇用については、6月の労働力調査における就業者数は前月比+8万人と若干の増、雇用者数は-13万人の減少となった。失業率は前月比-0.1の2.8%で、5月に一気に高まったものが少し戻した形である。また、6月の新規求人倍率は1.72倍と前月比-0.16と低下し、2015年6月以来の水準となった。求人数の減り方は、4,5月より緩んだが、依然として大きく、産業別では、建設業に回復の兆しがあるが、卸・小売業や宿泊・飲食業は厳しい。

(図)


………
 経済が「自粛」から回復する中で、再び、新型コロナの感染者数が増えてきた。7/19のコラムの予測どおりに推移しており、1週間に1.5倍強の増加速度が変わっていない。このままだと、来週金曜に2,700人を超え、次の金曜は4,700人に上る計算だ。感染者数は、3/25に「夜の街禁止令」が出て減少に転じたが、6/19の全面解禁から増加し始め、夜の街でPCR検査を積極的に行っても、防ぎ切れなかった。今後、10時以降の営業自粛の徹底で、減少に向かってほしいものだ。リスクの低い物販や移動まで「自粛」へ追い込まれないことを願いたい。


(今日までの日経)
 国内感染最多1572人 高齢者にも拡大、都内初の400人超。 GDP4~6月26%減予測 民間平均、7~9月も回復鈍く。 ユーロ圏GDP40.3%減。米GDP4~6月32.9%減。外食1000店超が閉鎖。新規感染1200人超 政府対応、後手続く 海外は地域・対象絞り制限。

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