経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

宣言解除後の感染防止策の見通し

2021年06月20日 | 経済
 6/20で緊急事態宣言は解除される。これに伴い禁酒令も取り下げられるが、飲み会が増えると感染が拡大してきた過去4度の経験を踏まえると、ワクチン接種が追いつかなければ、第5波と再禁止になる可能性が高い。禁酒令への不満が高まる中、「ほら、やっばり飲み会が原因でしょう」という教育過程を経て、改めて引き締めた上で、オリンピックに臨むというシナリオであろう。

………
 営業規制を強いられる居酒屋の経営者には気休めにしか思えないだろうが、政府は、ギリギリまで国民に飲み会をさせようとしているように見える。なぜなら、リスク度の高い行為にもかかわらず、シンプルに「飲み会を控えて」とは決して言わないからである。いわば、需要側は抑制せず、供給側を管理するだけで、感染防止と飲み会を最大限両立させようとしている。その象徴が悲劇を生んだ「マスクで会食」である。

 マスクなしで15分会話しただけで濃厚接触者になるのに、マスクを何度も外しつつ、1時間半も会食するのは危険度が高い。離れた席での感染事例もあるから、アクリル板や換気も絶対ではなく、一度に食べて短時間で済ませられるランチと比べても守りは脆弱だ。それにもかかわらず、「飲み会を控えて」とは言わないのは、感染防止だけの観点からすれば、不思議なほどである。

 このことは、人々に戸惑いを生じさせてもいる。「若者は感染が多いから、予防を徹底して」と求めたりするが、マスクと手洗いは、若者もほとんどがしており、違いは会食の多さなのに、「飲み会を控えて」とは言わないから、何を徹底すべきか良く分からない。そこは、察してくれということなのか。ちなみに、筆者のところでは、全員、夜の会食は禁止、ランチも孤食・黙食を徹底している。

 そして、飲み会の削減を言わない代わり、「人流の抑制」が使われているようだ。そのために、東京では百貨店などが休業させられたが、休業のない神奈川と感染状況は同様であり、犠牲の割に効果の感じられない方策だった。そもそも、リスク度の低い買い物フロアが閉じられ、リスク度の高い飲食フロアが開いているのは、リスクを行為で分析する観点からは、矛盾する光景に思われた。

 オリンピックの「人流の抑制」の有識者の提言についても、よくよく読むと、試合後の飲食が問題であるらしい。それならば、「マスクで会食」を許していることと、どう折り合いをつけるのか。組織委の言うように、直行直帰なら問題は解決できるようにも見え、観客数をどうするかではなくなるように思えるが、筆者のような感染症対策の素人からすると、察することも難しい。

(図)


………
 いずれにせよ、禁酒令をやめて2週間もたてば、感染は拡大してくる可能性が高い。大事なのは、そこで躊躇なく再禁止をかけられるかである。「マスクで会食」を勧めて感染を止められなかった大阪のようになってはなるまい。ステージ4に至っては、オリンピックどころでなくなってしまう。居酒屋の経営者はいたたまれないだろうが、「飲み会」の我慢もワクチン接種が普及するまでだ。終わりは見えており、もうしばらくの辛抱である。


(今日までの日経)
 五輪の屋外中継 中止 都知事表明。国内接種3000万回超す。酒類、東京・大阪も容認 「2人以内・夜7時まで」条件。飲食店規制 迷走続く。五輪観戦、直行直帰を 組織委が人流抑制へ指針案。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 6/17の日経 | トップ | 6/23の日経 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事