経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

消費は夏の停滞と秋の回復

2020年10月11日 | 経済
 8月始めが新型コロナの感染確認数の第2波のピークだったこともあって、消費は振るわず、コロナ禍のショックから半戻しの水準のまま、7,8月は一進一退することとなった。しかし、9月に入って感染が落ち着いてきたことで、ソフトデータは一段の回復を見せている。物販については、既にコロナ禍前の水準に近く、飲食や宿泊などのサービスが戻ることで、更なる改善となる。この秋には、戻せるところまで達し、新たな成長を探る段階となる。

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 8月の統計局CTIは、実質で前月比-0.8となり、7,8月の平均が94.1と前月比+3.7にとどまった。4-6月期は前期比—7.5にもなったので、半分の戻しでしかない。世帯消費では、被服履物や教養娯楽が半戻しを超えたのに対し、交通通信は未だマイナスの状態だ。お盆の時期は閑散とした様子だったので、こんな結果も仕方がない。ただし、9月のシルバーウィークの盛況ぶりからすると、その後の回復は確かだろう。

 9月の消費者態度指数は、一進一退から抜け出し、前月比+3.4となった。水準としてはコロナ禍前の3/4といったところだ。景気ウォッチャーは、もっとハッキリしており、方向性を示すものとは言え、前月比+5.4と目安の50に近接するまでになった。飲食の戻りが大きいだけでなく、製造業も高い伸びになっているのが心強い。さらに、「先行き」についても、同様の傾向がうかがえる。

 消費を支える賃金については、8月の毎月勤労の実質賃金が前月比+0.8の88.8となった。この水準はコロナ禍前の10-12月期より1ポイントほど低い。常用雇用は、前月比+0.3と3か月連続の増となり、10-12月期より0.5ポイントだけ下回るレベルだ。賃金と雇用を掛け合わせた8月の総雇用者報酬は101.7と、10-12月期の103.4より1.6ポイントほどの差がある。雇用についても、ソフトデータからすると、9月での更なる回復が見込まれる。

 8月の景気動向指数は、一致指数が79.4と、コロナ禍前の94台からすれば、まだまだ低いレベルにあるにせよ、先行指数については、コロナ禍前に近いところまで来た。コロナ感染の第2波によって、この夏は停滞を余儀なくされたが、秋には、一段の回復が見えてきた。ここからは、「自粛」ショックからの正常化ではなく、新たな成長を果たしていかなければならない段階となる。

(図)


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 危機において大規模な補正予算を打つのは難しくない。問題は、正常化の過程でどのように撤収するかになる。これまでは早々と打ち切り、成長の加速に失敗している。おそらく、1月の補正予算では、GoToは継続されるだろうが、それで足りるのかである。さすがに、非常事態宣言下で実施した10万円給付の再現はあるまいし、売上げが戻る中では、持続化給付金や家賃給付金の追加も考えにくい。マイナポイントなど消費増税の対策も消え去る状況だ。

 この際、新たな定額給付がほしくなるところだが、年金保険料の還付で行ってはどうか。控除がなく低所得者に厳しい社会保険料の欠点を是正することにもなる。給付は、会社を通じて行えば、造作なくできる。実は、定額給付は、一定所得以下には課さない所得控除と同値なのである。「ベーシックインカム」というと新しい感じがするが、還付方式なら、しごく普通の制度でしかない。


(今日までの日経)
 旅行外食 上向きの兆し 「GoTo」が後押し。欧米、再び感染拡大。日欧に賃金下落の波 日本、5か月連続減。料理宅配員4万人超す。書面・対面撤廃へ工程表。短観・なお低水準。北半球でまたも最高気温更新。


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