経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

5/21の日経

2015年05月21日 | 今日の日経
 昨日の1-3月期GDPに対する世間の評価は高いようだ。日経は「消費浮上で景気押し上げ」だし、日銀は景気判断上げを検討するらしい。しかし、筆者は、まるで逆だ。3月の指標が出た段階で、「アベノミクス再失速、消費はゼロ成長」としていたが、在庫の押し上げがなければ、実質成長率は年率で0.4%にとどまるのだから、やはり「再失速」で良かろう。

 消費は前期比+0.4%だったから、予想を外した形となったが、名目値を見てほしい。前期比0.1%の「マイナス」であり、消費のデフレーターが-0.5%も落ちたことに助けられたものだ。7-9月期、10-12月期の名目消費も同じ+0.4%であるが、デフレーターは0.0と0.1だった。主因は原油安としても、口は悪いが「デフレのぶり返し」が消費増の理由である。

 在庫の押し上げは、確かに、在庫削減ペースの鈍化によるもので、在庫がプラスになったわけではない。とは言え、鉱工業生産を見る限り、在庫水準は高く、再び在庫削減が加速する可能性は高い。4-6月期は、今期と逆にGDPの足を大きく引っ張ることが考えられ、高成長もヌカ喜びに終わるのではないか。

 輸出の伸びは鈍化し、設備投資は、3期連続マイナスの後にもかかわらず、年率1.4%増でしかない。今後への期待は高いが、名目消費がマイナスで、安値で販売量を確保する中、経営者が設備投資を増やすものなのか考えるべきだろう。通例、高収益が高投資に結びつくのは、高収益は需給逼迫が背景にあることを忘れてはならない。今回の1-3月期GDPへの筆者の評価は、「見た目と異なる惨状」という厳しいものである。


※詳しくは、また日曜にでも書くとするか。GDP公表前のものだけど、ダイヤモンドO.L.(5/20)に載ったバークレイズのの森田京平さんの論考は参考になるよ。


(昨日の日経)
 トヨタ新工場CO2半減。医療にメス・諮問会議。雨不足で野菜高騰。貯蓄が最高の1800万円・2014年家計調査。シェール設備6割減。経済教室・寿命のジニ係数も低下・吉川洋。

(今日の日経)
 特許審査を日米共同で。日銀が景気判断上げ検討。1-3月GDP実質2.4%増。4-6月期民間予測は平均1.8%増。GDP民間在庫内訳を初公表。中国株の信用取引膨張1年で5倍。

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3 コメント

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Unknown (基礎固め)
2015-05-22 21:01:06
個人の行動指標、個人から全体を予測した景況感指標、マクロな物価統計の指標の使い方が難しくなってきていて、勉強意欲が ((o(^∇^)o))ですが個人の指標と全体の指標どちらをみてデフレやインフレと見るかで意見が食い違いそうです。

名目として全体景況感がインフレ予測なのに個人の消費が伸びていないのは、個人の行動指標としての実質賃金が伸びていないためか、不確実性が強いと見ているからか!?
サービス関係が落ち込んでいないのに、小売業は落ち込みがひどく、第一と第二分位の所得が持ち直してないということは、趣味にはお金使うために生活の水準値を落としたのか、戻るための金がないのか!?因に趣味は悪い意味の文意で使ってはいません。
GDPデフレーターと国内需要デフレーターの解離って何でしたっけ!?小泉総理時代の動きに似た動きがあったような!?

んーん、社会保障や継続的需要喚起政策等の不確実性対策、個人側が厳しいので企業投資促進インセンティブ、量的緩和による雇用増の機会を利用した正規社員への促進インセンティブ政策や法政策を個人としては考えてしまいますね。どうでしょう。どうだろな!?
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Unknown (基礎固め)
2015-05-22 23:54:32
失礼します。
デフレータの解離の動きは厳密に言うと、2004から2008年辺りですね。小泉総理後期は2004から2006、安部さん、福田さん、麻生さん。麻生さんの2008辺りが更に解離ですね。時間差考えると前三人の政策経路を精査した方が因果を推測しやすそうな気はしますが。さてはて。
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Unknown (基礎固め)
2015-05-25 20:57:50
失礼します。
訂正です。
解離は解離ですが、示した期間の解離はGDPデフレータが下へ国内需要デフレータが上ですね。
その後のリーマンショック後がGDPデフレが上で、国内需要デフレータが下へです。
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