経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

2/15の日経

2018年02月15日 | 今日の日経
 「この国に足りないのは、財源ではなく、理想である」とは、本コラムがかねがね述べているところだ。国会の論戦では、「幼児教育の無償化より、待機児童の解消や保育士の処遇改善を優先すべき」という主張が野党から聞かれるようだが、与党も、程度の差こそあれ、取り組んでいることなので、これでは議論は盛り上がらない。消費増税を充てることで財源が確保された今、実現したい「理想」の姿がぼやけているのではないか。

 与党のターゲットは、少子化対策をする中でも、中流以上のキャリアウーマンにあるのは間違いない。元来の上流から中流へ支持を拡大しようというわけで、「理想」は明確である。野党が程度問題について主張しても、支持の獲得競争には勝てまい。下流から中流を巻き込むような政策を主張できなければ、埋没するだけだろう。その点、前回のコラムで書いた育児休業給付のユニバーサル化、ベーシックインカム化は有効だと思う。

 これで、非正規やパートの女性が救われるのはもちろん、保育需要が冷やされることで、待機児童が減り、キャリアウーマンも助かる。キャリアウーマンだって、二人目や体調などで、両立が辛くて辞めざるを得なくなったときには救われる。貧困対策でなく、少子化対策とすれば、上流への受けも良い。こうして、下流から中流へ連帯を広げて行くのである。こういうところで、この国の「理想」が問われるのだ。

 年金の社会保険料の軽減も、母子家庭から始めれば、すぐにもできる財源規模だし、ベーシックインカムの社会実験と位置づければ、インテリの支持も集められよう。国と年金を支える次世代を育てる母親が厚生年金に入れない矛盾を訴えれば、中・上層にも響くし、軽減は母親を雇う自営や中小企業のメリットでもある。母子家庭からの実験がとれだけのインパクトを秘めているかは、基本内容の「非正規の解放、経済の覚醒」をご覧いただきたい。


(今日までの日経)
 実質GDP、8期連続プラス。円上昇、107円台半ば。企業物価 伸び鈍化。ジョイフル1.7万人無期雇用。経済教室・「仮想将来世代」学際で研究。

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