経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

ささくれだった国民の心

2010年12月14日 | 経済
 このところ、「迷走」という言葉が政策を巡るキーワードになっている。むろん、現政権を批判してのものだが、果たして、今の日本が置かれている、リーダーシップ発揮が難しい状況を分かって批判しているのかと言えば、そうでないように思う。

 法人減税の財源について、その大半を企業課税の見直しで賄い、純減分は、証券優遇税制の廃止と相続税増税で確保するというのは、それなりのコンセプトである。しかし、これもあっさり崩れて、財源なしで純粋な負担減をするようだ。こうなると、他方で個人所得課税の強化を2900億円もするのだから、企業だけが優遇されるとの恨みが出よう。

 首相は、法人減税で、「投資、雇用を拡大し、給料を増やしてもらう」と発言したが、経済界は、コミットメントを拒否している。それが難しいことは分かるし、景気回復局面であるから、黙っていても設備投資は増えるという読みもあろう。とは言え、恨みを買うと、どういう跳ね返りがあるか分からない。

 景気回復局面では、当然、配当も増える。今の勢いなら、来年は過去最高益に達する企業も多かろう。そうなれば、庶民の犠牲で配当が増えたというような、八つ当たり気味の批判を受けることになる。多少、設備投資を増やし、雇用を拡げたからと言って免罪になると思わない方が良い。

 恨みというのは怖いのだ。純粋負担減にするのではなく、証券優遇税制の廃止くらい、経済界から差し出したらどうか。このままでは、官僚叩きの次は、企業叩きになりかねない。2006年には、過去最高益の下で格差社会への批判が盛り上がった。来年は大卒内定率が過去最低になりそうな中で、批判に耐えられるのであろうか。

 国民の心は、ささくれ立っている。今日の日経を見るが良い。一面特集でも、大機でも、団塊世代や世代間格差への批判は熾烈なものだ。日本の高齢者福祉が手厚いわけでもなく、リッチなのは一部の者に限られるのに、こうなっている。失われた10年の中で、国民は不満の捌け口を探し求め、刺々しくなっているのである。

 政権が「迷走」するのは、リーダーシップのなさもあろう。しかし、政治が調整しようにも、調整を受け入れる側の各界各層のキャパシティも失われてきている。経済界が法人税の純粋負担減をゴリ押しするのは、国際競争への焦りであろうが、疲弊した日本で、自分だけがと利益の奪い合いを繰り広げれは、それがまた、対立を呼んで、国を衰えさせることになる。

(今日の日経)
 法人減税5%決定、個人増税5500億円。東芝が液晶新工場に1000億円。団塊という時限爆弾、次世代ツケ回し断て。防衛予算、ほぼ現状維持。ロシア副首相が国後訪問。寄付促進へ税額控除新設。執行部の展望なき強気。相続税率55%、繰り延べ措置拡大。税財政・行司役不在。地球回覧・米の教育成果主義。ベトナム次期国家主席にサン氏。独、徴兵制廃止。カタールLNGシェア3割に。中国、利上げ時機巡り神経戦。カネカが有期EL照明。電池材料は日本に強み。純利益6割業種で危機前上回る。三菱電機の設備投資が3年ぶり減価償却を逆転。日本は今も通商国家か。大機・真の弱者と真の格差。経済教室・通貨の量・本多佑三。

※大型の設備投資が出てきたね。戦略が変わっても予算は同じ。税の侵食は政府不信の証。政局も外交も同じ動き。相続税強化には賛成でも半分を超えるとね。米国らしい。徴兵はハイテクに合わず。増益の勢いは強い。ようやく投資が正常化。内需国家であることを忘れたから苦境に。また誤れる格差論か、やれやれ。

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