経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

計画停電とリスクテイク

2011年03月16日 | 経済
 首都圏で計画停電が始まった。月曜日には無かったが、これは気温が高かったためらしく、節電だけでは不十分だったようだ。むろん、春に向かって気温が上がってくるし、更に節電が浸透してくれば、まだ計画停電を避けられる希望はある。挑戦は続く。

 東電と政府は、節電目標を国民に分かりやすく示して欲しい。東電のHPには、3/15の需給実績が掲載されている。これから、「素人」の筆者が分析すると、国民は平時と比較して30~35%の節電が必要ということが分かる。ところが、東電は計画停電前の3/14の需給実績を掲載していないので、現状の節電で、どのくらい需要が減っているかが分からない。つまり、あと、どのくらいガンバレば、計画停電を免れられるかが分からないのだ。

 東電と政府は、節電を呼びかけているが、尋常な節電では足りないことが分かる。少なくとも、家庭では3割減らすつもりで努力しなければならない。そう言ってもらえたら、日本の国民は、もっとガンバルと思う。ネットでは、「電灯をこまめに消す」といった「地球に優しい生活」程度の節電呼びかけが出ている。情報不足で事態が理解されていないのだ。

 確かに、3割削減しようと思ったら、夕方は、寒くてもエアコンは入れない、常夜灯やTV明かりで過ごす、冷蔵庫を切るといった「危ない」対応も必要だろう。年寄りで体調を崩したり、暗がりでつまずいて転んだり、食品を傷めて腹を下したりとかもあるかもしれない。だから、東電も政府もリスクを恐れて口をつぐんでいるのだろう。

 しかし、そうした逃げ腰では、この危機は乗り切れまい。リスクを取れと言いたいところだが、あの広報の体たらくを見れば、とても期待できない。せめて、計画停電前の土日や3/14の実績値を出してほしい。そうしたら、どこまでやれば良いかは、ネットで勝手に流れることになる。数字さえ出してくれれば、リスクは国民が取るんだから。

 それから、節電担当の蓮舫大臣は、何のためにいるのか。抽象的な節電の呼びかけだけでリスクを取らず、事態を変える行動に結びつくような思い切ったコミュニケーションをしないのなら、担当大臣を置く意味がなかろう。健康食品ではないが、「あくまで一事例です」と言って示し、責任逃れをしつつ、巧妙に伝える方法だってあるはずだ。また、食料の買いだめへの対応でも、「3日分あれば十分」とか、目安を示さないと効果がなかろう。

 経済についても記そう。日経平均は1000円以上も下げた。地震の影響は月曜日に出尽くしたと判断していたが、正直、予想は外れた。原発危機の深刻化が更に下げたということだろう。しかし、筆者は図太いのでね。まったく動じていない。リスクへの過剰反応でファンダメンタルを下回るところにチャンスはあるものだ。

 東北地方のGDPは日本の5%以下だし、福島第一原発の1~4号機を失っても280万kW。計画停電の経済的影響は大きいが、2年のスパンで見れば、日本経済の復活は十分に見通せる。リーマンショックで7000円まで落ちた時に買った際、「更に下がるおそれも」と言われたが、「それは日本経済が壊れるということだから、キャッシュで持っていたって同じ」と答えて笑わせた記憶がある。

 筆者は、「自分は日本丸の乗員で、日本経済と運命をともにするほかない」と思っているだけのことだ。こういう行動にはリスクがあるから、むろん、万人には勧めない。と言いつつ、ズル賢く呼びかけていることになってしまうのかな。まあ、蓮舫大臣にお手本を示したと思ってもらってもかまわない。

 ついでに、政治について言うと、政府・民主党は、子ども手当増額分や高速無料化の経費を減額することで、野党・自民党との妥協を探っているようだ。震災前から、「6月に総選挙を約束するなら、全部通してやる」と言っているんだから、小細工はやめてほしいね。震災をテコに総選挙なしで降ろそうという思惑か。震災対策を立派にやれば、総選挙で勝てるし、総選挙無用の世論さえ出てくるだろうに。腹を括り、政府・民主党は震災対策で勝負すべきだ。そのくらいのリスクは取るべきであろう。

(今日の日経)
 原発危機回避へ注水続く。日経平均急落8605円。

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