経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

知恵とお金と代案と

2012年01月07日 | 経済
 日経ビジネスは、100コ集めるのが得意技になってきたようだね。今週の特集は、「世界を読む指標100」である。100コも集めるとなると、変わったものが結構入ってくる。こういう異見がおもしろいんだな。それで、トップは「日本復活のシナリオ」となって、本コラム1/1に似てくるのである。

 1.8%成長といった標準シナリオは、当然、持っておくとして、高成長が実現する場合は、どのようなシナリオがあり得るかは、考えておかなければならない。その場合、復興需要や住宅投資に着目するのは、自然な流れだ。むろん、低成長になるリスクシナリオだって、並行して考えるのだが、悲観論の方は、日本人は得意だから、お任せしよう。

 実は、住宅投資は、強い景気の牽引力を持っている。筆者は、輸出の倍くらいあると思っている。その住宅投資は、耐震偽装問題で大きく落ち、リーマンショックで更に落ちだ状況であった。その二段落ちの状況から、ようやく、上向いてきている。一般的に、住宅投資は、低金利に反応するが、日本の場合、限界に達しているため、所得の好転に反応している思われる。

 所得については、ビジネスが特集で触れているように、安定して推移している。今日の日経では、消費のけん引ぶりが報じられているが、その背景でもある。まあ、緊縮財政をやめるだけで、これだけで、消費も、住宅投資も上向いてくるのだから、日本経済は素直なものだ。そういう関係性を考える人は少ないだろうがね。

 もちろん、復興関係の公共事業も経済を牽引することになる。公共事業は、2000年代は下がりっぱなしで、リーマンショック対策で多少戻しただけである。お陰で、設備投資との相関係数は、マイナス値が出てきたりする。公共事業が需要を拡大し、設備投資を引き出すことは間違いないのだから、最近のモデルで想定されている以上の効果を発揮するのではないだろうか。

 さて、今週のビジネスでは、コマツの野路社長のインタビュー記事も良かったね。さすが、エクセレント・カンパニーというところか。コムトラックスの数字で見る中国の落ち込みぶりは興味深いし、南米やインドネシアの好調さも語られている。円高対策は値上げというのも面白く、開発と生産の一体化が日本の強みと断言もしている。コージェネで使用電力量を半減させ、5年で投資を回収するというのも、新しい方向性を示している。

 また、野路社長は、「旗印とお金さえあれば、現場の改善は進む」とし、「知恵とお金はセットで、知恵だけでは大きな進歩は望めない」としてるが、これは納得だ。デフレの中にいると、無理な言説に囲まれて、こういう当たり前の言葉が新鮮に感じられるよ。日本には、先端技術を国が発注して開発する仕組みがないと指摘しているのも小気味よい。

 他方で、第二特集の「脱亡国の政治計画」は、気持ちが暗くなったね。選挙制度にしても、どうすればの具体策がないのだから。具体策については、7/28や7/29を見てもらえば良いが、根本的な問題として、政治的立場の違いが、財政当局が提示する政策に近いか遠いかという軸しかなく、自分達が本当に実現したい経済社会の姿を持っていないことがあるように思える。

 財政当局が提示する政策は、日本では、唯一無二のもののように思われているが、一皮むけば、政治的にも、経済的にも、かなり酷いものである。実態が知られれば、国際的に笑い者にされるレベルだ。それにすら、政治を含めてエリート層が代案を示せない状況、それこそが本当の問題ではあるまいか。

(今日の日経)
 携帯3社1.6兆円投資。米失業率12月8.5%に低下、ユーロ下落。東電の普通株で資本注入。社説・米軍のアジア関与に貢献を。女性・東北が消費けん引。原発40年で原則廃炉、例外容認も。中国、成長目標7%台に。イランと欧米の緊張一段と。天井照明LED半数に。千葉火力の出力上積み。ベネッセがインドネシア進出。在庫過剰、鋼材など8割。

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