経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

緊縮速報・資金過不足と税収増

2021年06月27日 | 経済(主なもの)
 1-3月期の資金循環が公表されて、2020年度の資金過不足も判明し、中央政府の前年度差は-38.5兆円となり、家計は+30.1兆円、非金融民間法人は+4.2兆円だった。新型コロナ対策で、政府は大幅な赤字になったが、「誰かの借金は、誰かの貯蓄」なので、それだけ、家計や企業は助かっている。財政赤字を減らしたい人は多いけれど、家計の貯蓄を取り上げるのと等しいとわきまえつつ、今後を展望したい。

………
 日経によれば、2020年度の国の税収は、コロナ前の2019年度を超えるらしい。名目GDPが-3.9%、家計消費(除く帰属家賃)が-7.7%ものマイナス成長だったにもかかわらず、税収が増えるとは異常だ。一番の要因は、コロナ禍で消費増税が行われたことで、国だけで1.9兆円程の増収となり、所得税は前年度比でほぼ横バイと見込まれる。そして、資金循環の公的年金も、2020年度は1兆円の「黒字」になっている。

 法人税収については、トレンドだと1割減だが、予想が難しい。野村、日興の企業業績見通しの経常利益は、3月時点で平均-10.6%だったものが、6月時点では+6.0%に急変しているからだ。海外の景気回復を受けて製造業が好調なこと、投資会社と化したソフトバンクが高収益を得たことなどがある。また、資金循環では、1-3月期の企業の資金過不足は、借入が減り、現預金が増して、前期より資金超過が拡大した。

 コロナ禍で財政赤字は拡大し、2020年度の一般政府の資金過不足はGDP比-9.9%にもなったが、増税しながらのバラマキだったので、コロナ対策が剥落するに従い、収支は急速に改善するだろう。課題は、税・保険料で制度的に抑圧された消費をどう浮揚させるかである。カネの余っている企業に、グリーンだ、デジタルだと資金を積み増すのは、課題を見失っているように思う。

 本当は、社会保険料軽減型の定額給付を導入したいところだ。再分配の強化は、消費減税より遥かに効果が高い。必要性もコロナ禍で身にしみたはずだ。しかし、野党でさえ争点にしない状況では、与党が脅威に感じて取り入れることもない。誰も、非正規のことは考えてくれないのか。少子化にしても、彼女らを救うことが社会のためなのだが。デフレと人口減で地球に貢献する路線は揺らがないようである。

(図)


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 予想どおり、東京の感染確認数は増加し、今日にもステージ4に突入する。今週の末には、「マスクで会食」では防げないことが、三たび、証明され、「禁酒令」が再発動されるだろう。そうでもしなければ、今のペースでは、7/7に非常事態宣言レベルである過去7日間平均700人を超え、オリンピック開会式の7/23には1500人超の感染を確認するはめとなって、無観客のオリンピックにせざるを得なくなろう。


(今日までの日経)
 五輪前 再拡大に懸念、感染警戒 若年層。日本の総人口0.7%減 国勢調査。20年度税収、コロナ前超え。コロナ予算、30兆円停滞。接種高齢者5割迫る。


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