経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

自ら転ぶ経済政策とその後のエンゲル係数

2023年12月17日 | 経済
 日本は、1997年に過激な緊縮財政で、ゼロ成長のデフレ経済に突入し、立ち直れないままだ。こんな自ら転ぶような経済政策をするなんて、日本くらいのものだろうと思っていたら、どうも、お隣の中国もやってしまったらしい。去年のゼロコロナ、その後の住宅不況と、よく似ているんだよね。あとは、輸出急増とか、バブル発生とか、急激な需要の外挿で、成長軌道に復せるかだが、果たしてどうか。

………
 世の中、産業政策で設備投資を引き上げようとか、消費がどう決まるか解明しようとか、難しいことをやろうという人は多いのだが、長年、統計ばかり見ている筆者からすると、虚しいんだよね。だって、常に一定だから。合理的かどうかは別にして、企業が需要を見極めながら設備投資をすると、マクロ的な帰結は、こうなってしまう。逆に言うと、「新たな需要を創出できる」経営者がどれだけいるのかということだ。

 消費に関しては、日本には、家計調査という世界に冠たる長期に渡る詳細なデータが存在していて、それが指し示す事実は、「非食料消費の比率は常に一定」である。ライフサイクルなんて関係ない。ただし、アベノミクスで、それが崩れてしまった。輸出で所得は増やしつつ、増税と通貨安で徹底して消費を抑制すると、法則も曲げられるということだ。法則を見つけた赤羽隆夫先生が御存命なら、どう思われたかなあ。

 消費の残りでもある投資(=貯蓄)に関しては、アベノミクスで、設備投資が実質GDP比15%から16.5%に高まっているが、輸出増に伴ってのリーマンショック前への復帰でしかない。それで十分に立派だとも言えるし、異次元緩和と産業政策三昧をやっても、この程度なのかという気もする。所得を増やして、食料消費の比率を下げつつ、貯蓄(投資)の比率を上げるという王道の展開が欲しい。

(図)


………
 アベノミクスでは、エンゲル係数(消費支出に占める食料の割合)が上がりながら、貯蓄率も上がるという異常な動きが見られたが、2023年は、食料の物価高で予想がつくように、35年ぶりの高さを記録しそうである。今年の家計調査は、まだ11,12月分が残っていて、2月上旬に確定する。ポストコロナで景気は回復しているものの、エンゲル係数からすると、庶民が苦しいのも分かる。増税の動きへの嫌悪が強く、政治資金に厳しい世論もうなづける。


(今日までの日経)
 中国住宅販売、2年連続減へ。中国、コロナ後は「身の丈」。企業心理改善 裾野広がる 日銀短観。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 12/13の日経 | トップ | 12/21の日経 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事