経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

8/30の日経

2013年08月30日 | 今日の日経

(今日の日経)
 大病院初診1万円。収益回復が地方に波及、経常益29%増。米GDP上方修正2.5%に。新興国が通貨防衛、インドネシアとブラジル利上げ。病院船へ訓練。理財商品残高が急増、不良債権が沿岸部で増加。経済教室・IT人材の強化・坂田一郎。

※門前診療所がはやるかも。それも悪くなかろう。※新興国の経常収支の赤字については、自国通貨安は甘受すべし。消費を冷やして輸入を減らすことが必要。問題は財政で底を入れるタイミング。輸出力が弱いと舵取りは難しい。※中国減速→新興国減速→中国減速とあいなる。成長率が低下すると正常だった債券が不良化するし、引当ての利益も減るから厄介だ。

※kitaAlpsさん、ありがとう。実は、同様のことを書きたいと思っておりました。一度作られた「思想」を直すのは、本当に難しい。自己の立場に結びついているときは尚更です。歴史の悲劇は「思想」の変化より「現実」の変化が速いときに起こる気がします。
 古典派的な経済思想は、需要ショックを与えても、金利が均衡への復元力を発揮することになっていて、それなりの理屈はあるのですが、今の財政当局は、理屈さえ置いて、結論だけを利用しているようです。欧米では、財政無効論はベースにしても、超低金利下では金融緩和でカバーしがたいという認識が生まれているのに、それすら欠けていますからね。
 ジェネラリストの悪しき面は確かにあって、財政当局は、「消費増税は景気失速の「主因」ではない」とか、「消費増税では「必ず」しも失速しない」といっていますが、裏目に出たときには、「従因」が大きかったとか、「例外」に当たったとか言い訳し、「絶対に失速しない」と早合点した方が悪いと強弁するのではないでしょうか。
 政府を含め、モデルを使った経済見通しでは、成長の失速は明らかにされているのに、多くの人は、その合理性を受け入ることができない。心理学では、知性と合理性は別の能力とされるそうです。「思想」の阻害ぶりを見るにつけ、やはり、ケインズの「危険なものは権益ではなくて思想」は、今でも正しいのだと思います。

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6 コメント

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Unknown (asd)
2013-08-30 12:05:17
初めまして。毎朝日経を読んでツッコミを入れるのが日課の私にとって、こちらのblogは非常に共感できます。

財務省や日経の人達の頭の中は、私も常々不思議に思ってます。
一般市民の財政再建派は単純に貨幣・経済知識が欠けているだけでしょうから全く不思議ではないのですが、財務省や日経はわかってやってるのかわかってないからやってるのか、それすらも見えてこない。KitaAlpsさんの解説も納得できますが、私の中ではまだ全ては腑に落ちない。最近は経済そのものよりも財政再建派の脳の方に興味いっちゃってます。
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Unknown (asd)
2013-08-30 12:10:59
しかしケインズはやっぱり頭が良いですね。そういうことも経済論としてしっかり織り込み済みだったなんて。
返信する
Unknown (TAKE)
2013-08-30 13:11:13
消費税増税についてやっと先送りの声も出るようになってきましたね。
浜田先生や中原先生などの「エコノミスト」の声が大きくなってきたように思えます。
先生もこのブログで一貫して法律通りの増税はオカシイと主張されていました。
まだ時間はあるはずです。
これからも正論を主張し続けてください。陰ながら応援しています。
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Unknown (KitaAlps)
2013-08-30 13:13:21
ありがとうございます。長文で恐縮です。
1 誤字も2か所
 タイトル:それほどではもないのでは → それほどでもないのでは
 本文:当たらし古典派 → 新しい古典派


>歴史の悲劇は「思想」の変化より「現実」の変化が速いときに起こる気がします。

 確かに、そうかもしれませんですね。

3 ジェネラリスト

 日本の組織は、ジェネラリストのウエイトが高すぎると思います。専門家がある
程度組織内で影響力を持っていれば、組織としての方向転換も可能性があります。

 米国は、いわゆる回転ドアで、専門家が政府機構に入る仕組みがありますね。
日本は、先進国の結論をコピーすればよいフォロワーだったので、専門家が真剣
に検討するテーマはなかったのですね。本当に専門的な検討はフロントランナー
である欧米が真剣に検討してくれたものがあるので、それをコピーすればよいわ
けです。
 そして、コピーならジェネラリストで十分なわけで。ですから、日本では、専
門家もジェネラリスト志向で、変に政治的に考えてしまう傾向があると思います。

 欧米のコピーで、結論や方向が決まっているなら、全員が一丸となって、その
実現に邁進すればよいわけで、そこに変に「専門家」が異なる意見を言い出せば、
一丸となっている組織の和が乱れ・・・浮いてしまうだけです。専門家の意見を活か
す仕組みがないのは、フォロワーの国の文化です。

 方向転換が簡単にできないのは、先進国に効果的に追随することに最適化され
た日本型組織の特色です。財務省に限ったことではないと思います。

 一方、米国のようなフロントランナーは、何も参考にできる先進国がいない訳
ですから、専門家が専門的な知識から論理的に導いた見通しや意見をまじめに踏
まえなければ前に一歩も進めないわけで、そのために、専門家を組織の中で活か
す仕組みや文化ができていったと思います。
 米国の「回転ドア」も元は、そうした意図でできたものではなくて一般市民が
行政に携わるという政治的任用が起源だったでしょうが、米国がフロントランナ
ーとなり、専門家を活かす仕組みが必要になったことで、その制度の一部が転用
されていったと思います。

 日本でも、「内閣官房参与」(の使い方)とかそうした方向に少しずつ変化し
つつあるとは思います。でも、財務省は、ジェネラリストのウエイトが高く、ジ
ェネラリストが支配している普通の日本型組織だと思います。
返信する
流れとずれてしまった (KitaAlps)
2013-08-30 13:21:01
 直ぐ上のコメントですが
 未だコメントがないからと思い、長々と書き始めて(時間がかかり)書き終わって、書き込んでみたら、みなさんのコメントの流れが出来ていて、流れと外れたコメントになってしまいました(恥ずかしい)。
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参考になりました (なべを)
2013-08-30 15:27:46
KitaAlpsさん

流れと外れたコメントで恥ずかしいとの事ですが、そのような事はありません。

米国はフロントランナー、日本はフォロワーの文化で、ジェネラリスト中心のコピー社会という考え方は、現状をわかりやすく解説していると思います。
とても参考になりました。
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