経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

協調主義の具体的な理解

2012年02月24日 | 経済
 今日の経済教室のS・ヴォーゲル先生の論考は、示唆に富む内容だったね。しかし、どれほどの人が、その示唆するものを読み込めたのかと思う。ヴォーゲルさんは、ポイントとして、「官僚の権威回復」ということを挙げている。この一事を取っても、「とんでもない」と拒否反応を示して耳を貸さない人が多いのではないか。 

 日本では「大改革」が必要と言われがちだが、本当に直さなければならないのは、あまりに稚拙で極端な財政運営だけである。実態を明るみに晒さなければならないのも、財政運営だけだ。しかも、必要な改革は、痛みが伴うようなものではなく、ごく平凡な路線を取れば良いだけである。その具体的な内容は、12/11の「平凡に我慢できぬが人の常」などを読んでいただきたい。

 もし、ヴォーゲル先生のいうような「協調主義」が成立するなら、経済成長と財政再建をどうバランスさせるかの真剣な議論がなされるはずだ。おそらく、その結論は、現状の低成長なら、基礎年金の国庫負担1/2を実現する分の消費税1%だけの引き上げをしようといったものだろう。少なくとも、一昨日、財務相が答弁していたような、デフレの状況でも、3%の引き上げは敢行するといったような度外れた方針にはならないはずである。

 また、日本においては、協調主義とは対極的な「財政当局と経済界の歪んだ結託」が財政再建どころか、財政破綻を招きかねない状況になっていることは、12/17の「財政運営の死に至る病と希望」に書いたとおりである。今日も日経は、「米国も法人減税だから、日本も」と、はしゃいでいるが、それが何をもたらすかを玩味していただきたい。

 ヴォーゲル先生の論考は抽象的だから、さらりと読み終えてしまうだろうが、本コラムの日本の実例に引き付けて読むとき、意味するものの深さが良く分かるはずである。日本風に翻案すれば、コーポラティズムとは、官僚が現実的な選択肢を作り、政労使で選んでいくという形だろうか。およそ、人気が出そうにないが、「小さい政府」以外の思想と政治連合だってあるわけで、そうのように相対化して国の在り方を見つめることも必要と考える。

(今日の日経)
 年金2000億円の大半消失。製造業を世界が争奪、米法人税下げ案。日本企業も円売り。ドバイ原油120ドル突破。ユーロ再生・底なしの懸念。リカード(終)・若田部昌澄。経済教室・真の協調主義の実現を、経済政策での官僚活用が鍵に・S・ヴォーゲル。

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