経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

10-12月期GDP1次・消費墜落、回復不能

2020年02月23日 | 経済
 10-12月期GDPが公表され、家計消費(除く帰属家賃)は、前期比-3.7%と墜落した。これは年率に換算すると-13.9%にもなる。前期の駆け込みの小ささを考えれば、2014年の増税時の落ち込みに匹敵し、消費は再び大打撃を被った。それでも、増税のせいだとは言わず、台風や暖冬によるとする人もいる。「緊縮は良いものだから、悪いのは災害に違いない」という信念は揺るぎないようである。

………
 1/12のコラムで、10-12月期の家計消費の前期比は-3%を超えるおそれがあるとしていたが、残念ながら本当になってしまった。その水準は、アベノミクスで最悪だった2014年4-6月期を下回り、民主党政権下の2012年より低く、今期以下は、東日本大震災の打撃も冷めやらぬ2011年4-6月期まで遡らなければならない。更に言えば、日本経済が初めてこの水準に達したのは、2006年1-3月期で、実に13年前への逆戻りとなる。

 それでも、次の1-3月期に浮上できれば良いのだが、CTIマクロ、消費総合指数とも、12月の前月比がマイナスになっていて、新型肺炎の前から、まったく回復力を失っている。1月の消費者態度も、基準日が1/15と早いのに、前月比横バイである。つまり、新型肺炎がなくとも、ゼロ成長の基調にあり、そこに新型肺炎が加わって、マイナス成長へと転落するという構図なのである。

 設備投資については、2期前の輸出・住宅・公共の合成値とパラレルに動くものなので、新型肺炎の前から、低下傾向にあると予測されていた。この予測から見ると、10-12月期の前期比-3.7%という大きめの低下は、7-9月期の増加の反動減であり、1-3月期には、低下の半分程度の戻しが期待できる。そして、これに新型肺炎という新たな要素が加わって、予測よりも下振れすることになる。

 新型肺炎については、未だ収束は見通せないが、災害の経済に与える影響は、一過性のものであり、収束後は、トレンドに向かって、V字で回復して行く。災害は、経済の構造を変えるものではないからだ。他方、消費増税による高い税率は、消費を抑制する新たな構造を作ったものなので、トレンドを寝せてしまう。2014年からの8%の消費税率は、消費の増加速度を極めて緩慢にしたが、2019年以降の10%税率は、ほぼゼロにすると見込まれる。

(図)


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 新型肺炎の影響によって、輸出とインバウンドが低下し、1-3月期もマイナス成長は避けられないだろう。景気対策も叫ばれようが、定番の公共事業は、消費増税への対策で伸び切っている。アベノミクスは、2度の消費増税によって、消費が増えない経済構造に改革してしまった。これは経済成長の放棄とほぼ同義である。経済成長より財政再建を優先し、家計を犠牲にして赤字の削減に励むうち、行き着いてしまったのである。


(今日までの日経)
 外出自粛、消費にブレーキ 新型肺炎で 大阪など人出急減。

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