KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

六甲全山縦走路、緩めに1/4須磨浦公園から鵯越駅

2023年11月23日 | 四国外の山

先週の寒霞渓馬の背コースから帰りに下った裏八景。最後に立ち寄った石門洞で大きな

カメラで写真を撮っていた男性と、あっちゃんがしばらくの間話し込んでいた。石門か

ら石門洞へと下った私とセニョさんが、また石門へと戻ってくると思って、そのカメラ

マンの男性の話を聞いていたそうだ。その男性は体型に似合わずマラソンしたり、六甲

全山縦走
もした事があると話をしてくれたようだ。『人は見かけによらないね』なんて

二人で陰口を言いながら帰ってきた。

寒霞渓の馬の背の絶景の後、さて何処を歩こうか。県外の山はどうやら雪景色のようだ

し、かと言って県内の里山の紅葉はまだ少し早い。

そう考えているとあっちゃんから『六甲は?』とメッセージが入った。なるほど、そう

言えば昨年のこの時期に六甲全山縦走路を歩いてみようと計画をしていたが、事情があ

って延期したままだった。『早起きが出来るなら』と返したら、『もっと寒くなったら

益々朝起きられなくなる』と返事が来た。


六甲全山縦走も神戸市主催の大会をはじめ色々と大会があるようだが、基本的には須磨

浦公園から須磨アルプス、摩耶山、六甲山を経て宝塚に至る公称56kmを歩く大会だ。

(YAMAPの記録では43km前後になっている)

もちろん我々が一日でそれだけの距離を歩けるわけもなく、じろじろさんやセニョさん

が歩いたハーフでも25km前後になるのでパス。結局1/4づつ歩こうと言う事にな

った。この区間はWOC登山部でも歩いていて7時間20分ほどかかっている。そして

じろじろさんチームはなんと4時間30分ほどで歩いていた。それなら我々は6時間位

かなと考え、6時30分に集合して朝日に向かって徳島自動車道を東に向かって走り、

明石大橋を渡って須磨ICを降りて須磨浦公園に8時30分過ぎに到着した。




駐車場に車を停めて8時40分にスタート、空は雲一つない青空が広がっていた。

須磨浦公園駅のロータリの西側から車道に沿って登って行くと『ちかみち』と書かれた

小さな道標。ここから階段を登って行くと近道のようだが、そのまま真直ぐ登って行く。

直ぐに展望台とトイレのある場所に着く。ここが六甲全山縦走のスタート地点になる。

朝日に照らされた大阪湾の海は眩しいくらいに輝いていた。

















展望所から右にカーブを曲がってその先から遊歩道へと入って行く。しばらくの間は石

段が続いて行く。まだ少し空気は冷たかったが、直ぐに汗が噴き出て上着を一枚脱いで

歩いて行く。











このコース1/2ほどが住宅地を歩くことになるが、山の中も住宅地でもとにかく分岐

が多い。ただ分岐には必ず案内板が掛かっているので、奥様たちには『おしゃべりに夢

中になって、案内板を見逃さないように!』と事前に忠告しておいたお陰で、分岐では

必ず立ち止まって、奥様たちが案内板を確認している。




最初に着いたのがロープウェイの鉢伏山上駅。駅の横の展望台からは先ほど渡ってきた

明石大橋が見え、反対側には須磨の海浜公園の砂浜と神戸への街並みが続いていた。







山上駅の横からはさらに上に向かって『カーレーター』という屋根の付いた斜面を登る

二人乗りの乗り物がある。ガタガタ振動しながら傾斜を進んで行くので『日本一乗り心

地が悪い』と言われている乗り物だそうだ。体調のすぐれない人、妊婦さんは坂道を歩

いて登ってきてくださいとホームページには書いてある。なんとも・・・・(笑)

そのカーレーターの到着場には大勢の中学生が休憩していた。『おはようございます』

と声を掛け『遠足?』とあっちゃんが聞くと、二人の女の子が『屋久島へ行く前の練習

です』と答えてくれた。女の子に少し話を聞いたあと広場の奥にある山名標で、今日ひ

ひつめの鉢伏山をゲット!今日の区間、YAMAP上では9つのピークポイントがある

内の最初の一つになる。











鉢伏山から軽く下って登り返すと今日二つ目の旗振山に着いた。旗振山の名前は、江戸

時代に大坂・堂島にあった米会所で行われた米取引の相場を旗を 振って西国地方に知ら

せた中継場所に由来するそうだ。山頂には昭和6年創業の老舗の旗振茶屋がある。














ここでも神戸港から明石海峡への絶景が広がっていた。神戸空港の奥の霞の中にひとつ

だけ背の高いビルが見える。大阪南港のトレードセンターだろうか、それともアベノハ

ルカスかな?











旗振山からは花崗岩の尾根が続いていく。ここでも少し下って登り返すと本日三つ目の

鉄拐山。山頂といっても200m程のピーク。二人ほどの年配の人がベンチに腰掛け休

んでいた。











何個か石柱がある中で、コンクリートの桝を鉄板で蓋をしているのが目についた。その

鉄板を開けて見ると、『復興基準点』と書かれた基準点があった。震災の際に基準点が

変動した為、復旧の効率化を図るために国土地理院が設置した基準点だそうだ。ベンチ

に座っていた男性も一緒に覗き込み『へ~そうだったんですね。いつも来ているけど何

の蓋かなと思っていた』と仰った。ここでも南から東にかけての眺望が広がっていた。










鉄拐山からはまた下って行く。それにしてもこの区間はアップダウンの繰り返し。山頂

まで登り一辺倒、そして下り一辺倒の山とはまた違って標高の割にはなかなか疲れる。

尾根は瀬戸内海沿岸部の特徴のひとつのウバメガシの林の中の尾根。ウバメガシのワッ

クスが掛ったような落ち葉が足を滑らせるので要注意だ。











すると道の脇にプレートが見えた。近づいて見るとなんとキティーちゃんのプレートだ

った。比較的新しそうなプレートには『キティ山岳会』ではなく、『四国キティ山岳会

と書かれていた。四国では有名なキティちゃんだが、島外になると影が薄いのか?

プレートの横には 四等三角点 立原谷 212.15m








三角点から進んで行くと広場になった場所に出た。広場にはステンレス製のモニュメン

トが立っていた。『いったい何だろうね?』と言っているとルリちゃんが、『縫い針に

見えるね』と。そういえばそんな形をしている。その針の穴から覗き込んでみて見ると、

『何か違って見える?』と聞かれたが、『????分かりません』。するとその足元に

『神戸らしい眺望景観50選・10選』と彫られたプレートがあった。

『神戸らしい眺望景観50選・10選』は2008年に市民から募集して選定した場所

で、そのうち15カ所に『ビューポイント』としてこのモニュメントを設置しているそ

うだ。そしてこのモニュメントはルリちゃんが言った通り、針をイメージしていて、そ

の穴から覗いて神戸の新たな魅力を発見してもらうようにとの事だ。














広場で次の四つ目のポイントを探すが見当たらない、ここまでほぼ一緒に来ていた男性二人

も同じようにウロウロ探している。『おらが茶屋』と横断幕を掲げた鉄筋コンクリートの立

派な茶屋が広場の奥にあり、その横に四つ目の高倉山の標識があった。

六甲全山には10軒以上の茶屋あるそうだが、その内でも一番茶屋らしからぬ建物だった。








高倉山でも写真を撮って、おらが茶屋を横目に見ながら奥へと進んで行くと、眼下に高倉台

の団地の白い建物が目に入ってきた。中層階から高層階の建物が立ち並んでいる。その奥に

見えるのは次に向かう栂尾山。その高倉台に向かって長い長い階段を下って行く。
















高架橋を渡って団地の中へと入って行くとメインの通りにスーパーや、魚屋・肉屋などの

お店が立ち並んでいて、団地の住民はここで生活必需品は揃いそうだ。










ルリちゃんがサイドポケットに入れていたスポーツドリンクを落としたと言っている。

普通に山の中なら水分補給ができなくてなって慌てるところだが、今日の区間は至る

ところに自動販売機があるので、その点では心配ない。







高倉台の団地の中央部を通り抜ける様にして歩くと、朝須磨ICを降りて右に曲がっ

た県道65号線の上に架かった橋を渡る。橋を渡り終えて左に山裾を進んで行くと、

『六甲全山縦走路』の矢印案内板が右に誘導している。














案内板に沿って右に曲がると目の前に、栂尾山山頂への階段が続いていた。『天国に続く

階段』と呼ぶ人もあるらしいが、400段のしかも一直線の階段は『地獄の階段』だ。

















途中で何ヵ所か踊り場があり、そこで上から降りてくる人と離合をしたり息を整えたりし

ながら、大汗を掻きながら登って行く。額から流れ出る汗が目に入り痛い。

途中からは高倉台の団地の全容、旗振山の電波塔そして明石大橋まで見え始めた。














階段地獄が終わって一息付けると思ったら、尾根道も栂尾山山頂まで急登になっていた。

ここまでの下りも急坂か急な階段で休む暇がなく、なかなか楽をさせてくれない。








栂尾山山頂は展望台になっていた。ここでも二人ほど男性が休んでいた。展望台からは

遠くに明石大橋、そして高倉台を見降ろし東は長田区から湾岸地域が見渡せた。

展望台の足元にある山名標で今日五回目の山頂写真。














栂尾山からは次の横尾山にまた急坂一旦下って行く『やれやれ!』。横尾山の先にはこの

須磨アルプスの核心部の馬の背があるが、写真で見ると花崗岩の風化した痩せ尾根の尾根。

でもこの横尾山までの尾根も同じような花崗岩が風化した乾いた尾根で滑りやすい。しか

も階段の段差が半端ない。














横尾山山頂で六個目の山頂ポイント。三角点は 二等三角点 須磨 3120.08m








横尾山から少し下って行くと花崗岩が浸食された痩せ尾根になった。所々で鎖が掛かっ

ている。乾いた尾根を注意しながら下って行くと写真で見た馬の背が目の前に広がった。

するとあっちゃんが『コレ?』と一言つぶやいた。確かに思っていたよりも規模が小さ

い。しかも先週の寒霞渓の馬の背と比べると・・・・・・?

イヤイヤそんなことを言ったら須磨の人に叱られる。










風化花崗岩も思っていたより滑らない。悪路になれた奥様たちはトットコトットコ歩い

て行く。確かに足を滑らせ滑落したらただでは済まないだろう。300mほどの山で、

しかも周辺には住宅地が広がっている場所では希有な場所だろう。

(そんなことを言ったら五剣山の五峰の高度感の方がよっぽどだ)イカンイカンまた要

らんこと言ったら怒られる。













そんなことを言いながら何枚も何枚も写真を撮る。











馬の背を越えてひと登りすると今日七つ目の東山。少し広場になった場所からは先程の

馬の背と横尾山。北西にはまた巨大な横尾の団地。しかしあそこだけでいったい何人の

人が住んでいるのだろうか?田舎者には目が点になる。














東山からは右に左に折れながら九十九折れの道を下って行く。そろそろかなと思ってい

たらやっぱり朝ドラの話が始まった。『まあこれだけしっかり矢印の案内板がかかって

いれば間違う事はないだろう』。













九十九折の坂を下りきると横尾の住宅地になる。ここは看板が少し分かりづらい位置に

立っているので、この家を正面に左に曲がって行く。みちの脇には今日一番のモミジの

紅葉。コースはは住宅地の外周部に沿って歩いて行く。













外周の水路沿いを歩いて高層のマンションの手前で右に曲がって脇道に入って行く。











コンクリートの階段を登ると目の前に阪神高速神戸山手線の橋脚が見えた。その高速の

下を潜ると今度はトンネルとトンネルの間を丸いドームの様な構造物で繋いでいる。

『なんだろうね?』と三人で言いながらその下も潜って行く。この構造物は恐らく地下

鉄西神山手線のもので二つのトンネルの間を囲って、騒音が下の住宅地にいかないよう

にしているのだろう。











そこから谷あいの住宅地を下って行く。それにしても神戸は坂の街というが、平野部が

少ないので仕方のない事だろうけど、団地以外では住宅地のほとんどが坂になった場所

に住宅が建っている。坂道を下ると右手に妙法寺。そこを過ぎると県道22号線の交差

点に出た。その交差点を右に曲がるとローソンがある。今日はここでお昼ご飯。

ローソンでカップラーメンを買って、暑いお湯を入れて3分。お店の前の駐車場の端で

アスファルトの上に腰を降ろしてカップ麺を頂く。

さすが上品な奥様たちは、『コンビニの前で腰を降ろしてラーメンを食べるなんて・・

地元だったら考えられないわ!』と。そりゃ私だって地元ではこんな事はしない。














コンビニの前でお行儀悪くお昼ご飯を食べて30分ほど過ごす。山の中と比べると、コ

ンビニはドラえもんのポケット。何でも揃っているし買う事が出来る。あっちゃんは食

後のデザートにアイスクリームを。私はスポーツドリンクが切れそうだったので、一本

買い足した。駐車場からは今日最後の山、高取山が目の前に迫っている。




休憩後交差点まで戻って西に県道を渡って行く。ここからも坂道を矢印案内板に沿って

登って行く。急坂の両側に建つ住宅。狭い駐車場いっぱいに器用に車を停めている。し

かし車の運転が出来なくなったらどうするんだろう。こんな息切れのする坂道に暮らす

人々。他人事ながらもちょっと考える。住宅地の途中から左に山の方へと入って行く。












やっと登山らしくなった。イノシシもでるらしい。ここからが高取山への登りとなる。










山裾から案内板に従って登って行く。掘割のようになった道が終わると、風化花崗岩の

道。途中木々の間から旗振山が見えた。














交差点から1.4kmほど、時間にして45分ほどで高取山に着いた。こちらはYAM

APでは高取山西峰となっている。そして山頂の下には春日神社(荒熊神社)が祀られ

ていた。ここの神社はとにかく何でも願い事が叶うようだ。札に書いてあるように裏手

に回ると磁器に書かれた通りの景色が見えた。

















境内の手前に赤鳥居が続いているがその横に八番目の西峰の山名標と三角点があった。

三等三角点 高取山 312.8m。この三角点は元々すぐ上の山頂にあったようだが、平成

18年に現在の場所に移設されたそうだ。その奥で晩秋の陽だまりの中で黒猫が横にな

って昼寝をしていた。














赤鳥居を潜って東に歩いて行く。鳥居から少し下がって左手の尾根へとひと登り。尾根

の北側は須磨区でも山の手になる。それでもまだまだ住宅地が広がっている。

















尾根筋を進んで行くと広場に出た。ここが今日最後のポイント高取山東峰になる。ここ

から石段を下ると高取神社。境内からは眺望が広がり、ポートアイランドも随分と近づ

いて来た。こうして見るとやっぱり都会は凄いな~と思うけれど、住みたいかと言えば

・・・・・?だ。














神社からしばらく石段を下って行く。途中こんな立て札が立っていた。ここまで登って

きて石柱に足を乗せて体操する人の姿が目に浮かんだ。








途中にある月見茶屋は今は営業はしていない様子。同じ続きの建物には『神戸ツキワ登

山会』と書かれた看板と『ツキワ投輪道場』とも書かれている。














その先には安井茶屋とさらに先にはきれいに清掃された広場と公衆トイレ。その広場に

は演題と投輪の台があった。須磨区では毎年投輪の大会が盛大に行われているらしい。

安井茶屋の奥には大きな大きなサザンカが沢山の花を付けていた。

トイレで用を済ませて、脇の道を下って行く。













安井茶屋からの道も所々にほうきが置かれていて、落ち葉もきれいに掃かれていた。そ

の道を降りきると鵯越駅までは住宅街の中を歩いて行く。











まあそれにしても坂・坂・坂の住宅街。途中にあったひばり小学校からは下校する小学

生の姿があった。日本一狭い県の香川県だがそれでも平地がほとんど。こんな坂の街に

住んでいる小学生の方が、毎日の通学の登り下りで、香川の小学生よりも丈夫だろうな

~とあっちゃんと話をする。










須磨浦公園をスタートして6時間20分、沿面距離13km。予定より20分ほど遅

かったが、途中眺望のいい場所が何ヵ所も有り度々立ち止まった。それ以上にアップ

ダウンの繰り返しで、けっこう足にきていた。腰もパンパンで油断して変な体勢をと

ろうものなら、ギックリになりそうだ。







鵯越駅から神戸電鉄有馬線で新開駅へ。そこから山陽電鉄本線で須磨浦駅に移動。特

急で須磨浦駅が終点だったが、ほぼ全員手前の須磨駅で降りて最後は三人だけになっ

た。駐車場で車に乗り込み一路香川へ。鳴門大橋を渡る頃には薄暮れの何とも穏やか

な景色が広がっていた。さてさて来週はどこまで歩こうかな?