KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

線で繋ぐ阿讃縦走路 一本松越~鵜峠

2022年02月03日 | 香川の里山


線で繋ぐ阿讃縦走路も残すところあと2回となった。

今日は先週の続きで鵜峠から東へと線を延ばすのだが、

独りで歩いていた時は大山と鵜峠の間が周回できず繋げられずにいた。

今回は車を鵜ノ田尾トンネルの北側にデポして、引田町の川股ダムまで移動してスタートした。

(鵜ノ田尾トンネル北側の公衆電話のある場所の手前に、旧道に入る道にチェーンが張ってある。

その入り口前に車を停め置いた)

先週は鵜ノ田尾トンネルの南側にデポしたのだが、鵜峠への下道歩きは

北側からの方が、道はかなり荒れているが500mほど距離が短い。

奥様たちに事前に『下道歩きを最初に登るのと、最後に下るのとどちらがいいですか?』と

尋ねていたら、『最後に下る方がいいです』と返ってきたので、

今回は川股ダムからスタートする事になった。

引田町に入り馬宿川に沿って南下すると道は次第に狭くなり、

小路池の淵を通り最終の民家を過ぎると川股ダムに着いた。




8時55分川股ダムをスタート。先ずは湖畔に沿って歩いて行く。

ダム湖の南端に差し掛かると道の脇に石垣が残っていた。

この川股から一本松越は引田からの魚の行商人や、札所参りの人たちで賑わい

峠には茶店もあったという。この辺りにも当時は民家があったのかもしれない。







石垣の残る場所過ぎると道にはチェーンがかかり通行止めになっている。

その脇に小さな一本松越の道標があり、踏み跡を辿って山の中へと入って行く。








ダム湖への流入の沢を渡るとヒノキとシダの道になる。

九十九折れのヒノキの林の中の道を登ると、人工林を抜け

次第にシダの勢いが強くなってくる。(大切なお顔に傷がつかないように

両手で顔を覆うルリちゃん













シダの道を抜けると今度は枯れ沢沿いの道になり、左岸から右岸へ渡り

少し登り詰めると一本松越に着いた。(9時30分)













頼朝の命を受けた義経は、海路で屋島に逃れた平家を追って大阪から小松島に上陸した。

そこから北上しながら、屋島の平家方に通報される事を極度に警戒し、

隊を二つに分け自らは百七十騎の本隊を率いて大坂越を、

一方弁慶には八十騎の別働隊をもって一本松越を夜を撤して通過したという。

その峠にはいつの頃に立てられたのかお地蔵さんが二体。

脇にあるプレートに書かれてある内容がお地蔵さんにも刻まれていた。










一本松越という位だからと、それらしい松を探すが、名前の由来となるほどの

松は見当たらない。一息入れた後県境を西に辿って行く。

道には赤く塗られた県境の立派な石柱が続いて行く。













四角に整った形の県境杭とは別に、味のある形をした大山への道標もあった。




一本松越から15分ほどで、今日最初の三角点四等三角点 畑 537.08mに着いた。







畑三角点からも幅の広い縦走路が続いて行く。道には県境杭と別に見出標も

道に沿って木にぶら下げられている。508mの標高点の手前では、

この阿讃縦走路では珍しく笹が茂った道になる。










笹道を抜け標高点を過ぎると目の前にアスファルト道が見えた。大山越だ。

道の北側にアスファルト道は続いているが、チェーンが張られて

車は通行止めになっている。そのチェーンの脇から縦走路は続いていた。














斜面には電柱と電線が続いていて、以前独りで歩いた時はその電柱を目印に藪を登った記憶があるが、

今は踏み跡もしっかりしていて、直ぐに人工林と自然林の境の急登になった。







『今日一つ目の急登ね!』とあっちゃん。先週は急登の連続で途中で

何ヵ所あったか分からなくなったが、今日はこの後これ以上の急登は現れなかった。

勾配がさらに急になってくると、ロープの代わりになぜがアンテナ線が掛けられていた。










急登を登りきると地形図では639mの標高点となっている。

そして石積みがあり右に向いて道が続いていた。(NTTの電波塔に続く道)

この639mの標高点からはまた比較的緩やかな登りが続いて行く。










県境の石柱はどんな間隔で立てられているのだろう。

その間隔に沿っていると岩があってどうしても建てられない場所には

石柱ではなく、岩自体に文字が刻まれていた。そしてこの辺りから県境の杭は

保護するかのように大切に石で囲んであった。







道に少し雪が残っているのを見て、さっき暑いと言って上着を脱いだあっちゃんが

急に何だか寒く感じてきたと言っている。大山越から35分ほどで電波塔のある大山に着いた。










大山には一等三角点 大山 691.3mと、その奥には全国で48ヶ所、

四国にはこの大山と五在所森の二ヵ所にしかない天測点がある。

三角点の三角測量を規正するために、星を観測して経度緯度を決める天文測量の為の

重い機材を乗せるための台座の様なものだそうだが、確かに立派な造りをしている。











星を観察して経度緯度を測量・・・・何て云われても何のことかはさっぱり分からない。

奥様たちに簡単に説明するが、詳しく突っ込まれたら答えようがないので、

サクッと説明を終わらして三角点で記念撮影!




電波塔のフェンスの脇を通り縦走路は続いて行く。

ここからはしばらくは小刻みなアップダウンの単調な道。

奥様たちも黙々と歩いている。













県境の杭もプラスチック製のものもあれば、三角点かと思うほどの立派な石柱ある。

また少し古いのは細いコンクリート製の杭も見かけた。ただどの杭もやはり

石で囲んで保護してある。この辺りはよほど県境杭が大切なのだろう、

他では杭だけで、石で囲んであるのはあまり見かけない。




地形図でも尾根の西側に林道が平行に走っている場所では、

地形図には無い尾根の東側にも林道が続いている。







縦走路にはバイクや自転車が走らないようにと注意書きがしてあった。

林道からは外れて県境に沿って一旦登って行く。意外と急な坂だが、

ストックだけで登って行ける。『ロープがないから、これは急登じゃないね!』とあっちゃん。

先週の急登がよっぽど堪えたのか、これぐらいの登りは屁でもなくなったようだ。











プチ急登を登りきると今日の三つ目の三角点四等三角点 天狗岳 582.5mに着いた。

YAMAPの山頂ポイントも先週は全くなくつまらなそうにしていた奥様たちも、

今日はここで大山と二つ目のゲットになって喜んでいる。










林道沿いの辺りから北に向かっていた縦走路は、この天狗岳から西に向いて続いている。

そして地形図には無い林道らしき道に出た。しばらくは林道を歩いて行くが

道の南側にはピンクのテープが続いている。本来なら縦走路はその茂みの中なのだろう。

適当なところで林道からは離れて、テープが続いている茂みの中へと入る。











縦走路に入り進んで行くと今度は道は北西へと振っている。

ここでは阿波市と上板町と東かがわ市の三市町村の境界となっている。

時間は11時45分。あっちゃんがルリちゃんに『お腹が空かん?』と

頻りに聞いている。ルリちゃんが『全然!』と素っ気ない返事をするので、

今度は私に『お腹空いてきたやろ!』聞いてきた。







仕方がないので、日が当たる場所を探してお昼ご飯にする事にした。

それにしてもここまでで既におにぎり二個を頬張っているあっちゃん。

痩せのこの身体にどんだけ入るのだろうと、ルリちゃんと二人で不思議がる。




お昼ご飯にした場所からも北西に県境尾根は続いている。

そして石で囲んだ過保護な県境杭と、時々岩に刻まれた県境印も続いている。











道が一旦下って行くと、その道の奥に尾根が見える。

下っては尾根へと登って行くの繰り返しになる。














すると今日初めて眺望の開けた場所になった。引田町から鳴門への県境の辺りが見える。







道の北側にはやはり地形図には載っていない使われていない林道が続いている。

その林道からも離れていくと、相変わらず小刻みなアップダウン。














そして何度目かの登りで天井山に着いた。










三等三角点 天井 626.5m。ここからのコースの中では最高地点となる。










天井山から少し進むと千足ダムからの破線が続く分岐になる。

その分岐から今度はいきなりロープの掛った急坂の下りになった。

















急坂下りが終わると大きなヌタ場があった。『これは大浴場だね!』と。

周りにも何ヵ所もヌタ場になっていた。『こちらが露天風呂でございます。』

『そしてこちらが女性専用の浴場です!』と奥様たちに笑いながら説明する。




この辺りから道には保線路の杭が目立ち始めた。道の北側には所々で鉄塔が立っている。

鉄塔越しに見えるのは白鳥アルプスの稜線だろうか?







地形図で御所から北に、沢に沿って破線がこの尾根まで続いている場所に

小さな祠があったが。中には何も祀られていなかった。ご神体はどこにいったんだろう?








その祠を過ぎしばらくすると『兼弘温泉へ』と書かれた札が掛かっていた。

保線路を使って元兼弘温泉へと下って行ける道だ。

すると何を思ったのか、『ここから国道へ降りれますよ!』と私が言うと、

『そんな事したら、鵜峠までが繋がらんでしょ!』とあっちゃんに怒られた。

ここまでの疲れと鵜峠からの嫌な下道歩きを思って、短絡的に考えてしまった。

そりゃそうだ、このまま下ったら線が繋がらないわ!







この辺りから道は西向きから南に振って続いている。先ほどはイノシシの大浴場だったが、

今度はタヌキの大きな公衆トイレがあった。










そして561mの標高点、491mの標高点とどんどん標高が下がって行く。

その途中では乾いたカシの落ち葉だろうか。その落ち葉でとにかく足が滑る。

ルリちゃんの悲鳴があがり、私も尻もちを付いた。














下りばかりと思っていたが、ちょっとした登りもあった。

その登りの先には今日最後の三角点四等三角点 丸住 455.7m

ここには珍しく文字の消えていない〇米さんの札があった。













丸住三角点からは少し藪いた道になる。それでも踏み跡はしっかりしているんで

鵜峠目指して最後の踏ん張りで下って行く。










14時10分、スタートして5時間15分で山道は終了となった。

ここからは北に向かって旧道を下って行くのだが、廃道となった道は

以前歩いた時に、とにかく荒れていた記憶がある。







最初はそうでもなかった路面状態も、次第に落石に寄って路面が埋もれている。

場所によってはその土砂が道の反対側まで迫っている。







よほど大きな落石があったのだろうか、ガードレールが直角に折れ曲がっている。

一番ひどい場所では道路が寸断されていた。整備やメンテナンスされなくなった道路は

こんなにも酷い状態になるもんなんだと、変な感心をしながら下って行く。










川股ダムをスタートして6時間10分。ほぼ予定通りに車を停めた鵜ノ田尾トンネルの北側に着いた。

国道にはトンネル工事の通行制限待ちで何台もの車が停まっていた。

その内の一台の車の中からご夫婦が声を掛けてきた。

話をすると登山者で次の登山のために駐車場所を下調べに来たと言う。

先週から今週の駐車場所や縦走の話をしてあげると、参考になったと言って引き返して行った。

今日は沿面距離が16.3kmと、今回の阿讃縦走の中では最長の距離となったが、

先週に比べると急登がほとんどなかった分、随分と楽だった。

さて来週は川股ダムからスタートして大坂峠を経て、碁裏との県境がゴールとなる。

11月末から思い立って始めた阿讃縦走も、いよいよファイナル。

何だか少し寂しさも感じながら家路へと車を走らせた。


今日のトラック


今日の3Dトラック