11月の「橘湾岸スーパーマラニック320km」に参加することになったが、完踏できるのか不安なので、練習を兼ねて、382kmの超ウルトラマラニックをやってみた。
コースは熊本市内スタート→阿蘇高森町→高森トンネル→高千穂町→日向市→宮崎市→えびの→加久藤トンネル→人吉市→球磨川→八代市→熊本市ゴールの382km。南九州を一周する壮大なコースである。400km近くもあると宿泊なしでは不可能。宿泊は日向とえびの2回ビジネスホテルに泊まり、残りは寝ずに走るという2泊5日のランニングにした。今年はお盆が5連休となったので、8月10日(土)~14日(木)に実行することに。
もう一つの不安は天気。毎年8月のお盆には「九州縦断マラニック」をやっているが、近年は猛暑が多く途中で中止することが多かった。これまでの成果は7戦4勝3敗。今回は5日間と長いので、途中で猛暑中止という可能性が高い。脚の事よりこっちの方が心配である。
今回も夜間一人走は危険なので、ラン友に声を掛けたら6名が同行してくれることになった。なんと!そのうち3名は女性。年齢は67歳の私を筆頭に一番若いのが38歳、平均年齢50歳ぐらい。11月の橘湾岸320kmにエントリー者が3名、276kmエントリー者が2名そろい、残りの2人もウルトラのベテラン。何の心配もなく平穏に最後までいけるだろうと思っていたが・・・そうはいかなかった。
<第1ステージ>(熊本市→南阿蘇村→高森峠→高千穂町→日向市・130km)
8月10日(土)仕事を終えて午後6時20分、JR光の森駅前7名でスタート。気温29度、曇り。曇りだったので涼しいかと思ったが、夜間でも25度以上あり、多量の汗が出た。しかし、これ以上の暑さがこの先に待っていた。
●コンビニ:コース途中には24時間営業のコンビニが結構あるので、10数kmおきぐらいに立ち寄っては休憩する。ところが、20km(阿蘇長陽村・21時)のコンビニで休憩しようとしたら、なんと!店が閉まっていた。張り紙を読むと「21時で営業終了することにしました」と書いてある。最近話題のコンビニの24時間営業問題がここにも影響していた。驚きはこれだけではなかった。300m先にある、いつも19時には閉まっているYショップがなんと!開いていた。ひょっとして大手コンビニに対抗して深夜営業を始めたのだろうか?これから、コンビニは24時間開いているという考えは通用しないかもしれない。夜間ランをする方、要注意です。
●コースアウト:阿蘇・高森町(36km)に深夜0時半に到着。ここから高森峠(高森トンネル)までは山道を1時間上っていくのだが、ここで大失敗をした。途中2ヶ所分かれ道があるのだが、そこを違う方向に行ってしまった。どんどん上っていき、山の尾根の登山道の標識を見て間違いに気づいた。あわてて戻ったが30分のタイムロス。みんなに申し訳なかった。何回も通っている道なのに、慣れた道でも要注意です、特に夜間の山道は。
●別れ:長い下り道を終え、宮崎県・五ヶ瀬川沿いに出た所(約100km)で女性の一人が脚の調子が悪いということで中止。「この先、みなさんに迷惑をかけたらいけないので」ということで離脱された。さらに、遅れていた2名から車でワープするとの連絡。結局、第1ステージは完踏したのは4名のみになった。
●到着:11日18時半に日向のホテルに到着。予定より3時間も遅くなってしまった。明日のスタート時間は午前0時。休憩時間が5時間ほどしかないので、早々に食事・入浴・コインランドリーでの洗濯をして寝た。
<第2ステージ>(日向市→宮崎市・マイサンドイッチ店→えびの市・130km)
12日午前0時25分、ホテルを6名で再スタート。結局、睡眠時間は3時間ぐらいしか取れなかった。前日も一睡もせずに走っているので、明らかに睡眠不足。私は足裏にマメができてしまい、痛みが結構あり、筋肉のこわばりも取れていなかったので、皆と別れて1人で早歩きで進むことにした。皆とどんどん離れ1人走行になった。
●宮崎の海岸:宮崎の10号線を走るので、さぞかし太平洋・海岸線が見えてきれいだろうなと思っていたのだが、ほとんど海岸線は見ることができなかった。海岸線が見えるのは日向あたりのみで、他の10号線は内陸を走っているので海岸線は見えないとのこと。日向にいたのは夜明け前だったので海はまったく見えなかった(台風で荒れた波の音が聞こえていたのだが、海とは気づかなかった)。
●炎天下:問題の天気だが、天気予報では熊本は曇り、宮崎は晴れ、人吉も晴れ、八代は曇りとなっていた。熊本・宮崎間は曇り時々小雨で気持ちよく走れたが、予報どおり宮崎では夜明けとともに気温はグングン上がり、午前8時には30度を越えた。あまりの暑さに連続して走ることができない。コンビニごとに冷水で頭や体を冷やして休憩。宮崎のラン友達が我々のことを聞いてサポートに来てくれ、5kmごとに給水所をつくってくれた。とても助かったのだが、それでも暑さには勝てない。1人、2人、3人と走るのを止めた。残った3名でなんとか宮崎市内の森川さんのお店「マイサンドイッチ」まで走り通したが、時間が予定より3時間もオーバーしてしまった。
●コンビニ:何回もコンビニに入って冷水を買ったが、コンビニに入ると涼しいというより、冷蔵庫に入ったように強烈に寒く感じる。体の表面温度とクーラーの温度の差がかなりあるようで3分も店内におれない。すぐに外に出て日陰で休憩・食事をした。冬も逆なことが言えます。コンビニは暑すぎて気分が悪くなります。ランナーの休憩場所は日陰が一番。
●ワープ:21時までにえびののホテルに着く予定だったのだが、このペースで行くとホテル着が深夜0時を過ぎる可能性がでてきた。翌日の最終ステージに影響が出てはいけないとの判断で、第2ステージは宮崎市で中断して、えびのまでは車でワープした。これで第2ステージは70kmに短縮になったが、全走行距離は322kmでなんとか300kmは維持できた。やはり脚より天気が大敵でした。
<第3ステージ>(えびの市→人吉市→球磨川→八代市→熊本市・125km)![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/26/9f7189a85c0d91d666965f86f2c3e644.jpg)
13日朝7時半、6名でえびののホテルをスタート。このコースは加久藤峠(加久藤トンネル)越え、球磨川下りの難コース。
●加久藤峠越え:上り坂を7km行くと加久藤トンネルがあり、トンネル中央で県境。そこから15km下りが続き人吉市に入る。トンネルの前後にはループ橋があり、そこからは霧島連山を一望でき、眺めは最高。また、ループ橋には近道の階段があり、歩行者だけが通ることのできる特別ルート。上り坂で走れなかったうっぷんを、下りで晴らすかのようにみんなスピード上げて走った。上りに1時間半、下りに2時間かかり12時に人吉市に到着。昼飯を食べようとお店に入ったが、どこも連休のお昼時とあって超満員。1時間待ちとか言われ、あちこちの店を見て回り、結局パチンコ屋の隣にあった小さなお店がすいていたのでそこで昼食。スタートしてここまでちゃんとした食事を摂ってなかったので、1時間ゆっくり定食+力水をいただいた。エネルギー充填。
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球磨川下り:人吉市からは球磨川沿いに八代まで49km下る。走るのは一般車道ではなく、反対岸のJRの下の細い道。普段、車が通ることはほとんどないので安全に走れる。ただし、コンビニ等は一切ないし、自販機も途中20kmない。駅が八代駅まで約5kmごとに12あり、そこにベンチ、トイレがあるので休憩できる。15時に球磨川下りランスタート。道は木々に覆われている所が多いため暑さをしのげ、走りやすかった。驚いたのはラフティング人気のすごさ。大きなゴムボートを運搬する車が頻繁に往復していた。数カ所でラフティングをしている人たちを見た。逆に、船での急流下りは一艘も見なかった。船はもう人気がないのだろうか。
●サプライズ: 我々が走る球磨川沿いにお店などはほとんどないので、ただ走るのみと思っていたが、いろいろとサプライズがあった。ラフティングに福岡のラン仲間が来ていたようで、我々のことを知って途中で差し入れをくれた。思わぬ給水所でうれしかった。さらに、瀬戸石駅を通過していたら、公民館の方から声をかけられ、お茶でも飲んで行きなさいと勧められ、15分ほど家に入って談話して、冷たい麦茶とお菓子をいただいた。田舎を走って休憩していると、話しかけてきて、漬け物とか果物をいただくことがある。知らない町を走っていると思いがけない地元の方とのふれあいがあります。![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/72/cf/cdcf7a2f772519a28fd8618dfba0bbfd.jpg)
●国道3号線:八代の国道3号線に着いたのが午前1時。あとは3号線を熊本まで36km行くのみ。普通なら5時間ぐらいで到着できるが、眠いのと疲労と脚の痛みで歩くことが多くなり、途中、道の駅「竜北」で仮眠。夜が明け、残り20kmほどの所で、遅れていた後方の2人から電車で移動するとの連絡がきた。残った我々4人(男性3名・女性1名)でゴールをめざした。最後の1kmはゴールを確信して、ゆっくり歩いてゴールをめざした。
●ゴール:午前9時、ゴールの「湯ラックス」(熊本駅近く)に到着。4名で記念撮影。322km、86時間。きつかったがゴールするときつかったことは思い出せない、楽しかったときのことしか思い浮かばない。予定では12時ゴールだったので3時間も早くゴールできた。最後のステージは絶対ゴールするという気力が脚を速く動かしたのだろう。
足にマメができたときは「またか、最後までもたないな」と思ったが、手当がよかったのか、気力があったのか、なんとか最後まで耐えることができた。コースは322kmに短縮してしまったが、自己ベストの距離を走ることができたし、タイムも以前より早いペースで進むことができ、大満足のランニングでした。これで11月の320kmの大会に自信がつきました。一緒に走ったみなさん、お疲れ様でした。サポートしていただいた森川さん、宮崎のランナーの方々ありがとうございました。
http://ultramaranic.sakura.ne.jp/xa19minamikyusyu.html