かるさんのgooブログ <北国たより>

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ある時代小説の「あとがき」を読んで

2009-09-24 21:15:00 | インポート
“シルバーウイーク”と名づけられた5連休が終わりました。 

ほぼ毎日が連休のような私達は、こんな時は遠慮してほとんど出かけることはいたしません。
せいぜい近所の散策や、家で好きなことをして過ごすことになります。

時代小説を読むのが好きです。
愛読した作家はほぼ鬼籍に入ってしまい、次代を担う作家を渉猟しています。
「乙川勇三郎」「火坂雅志」「宮城谷昌光」「宮本昌孝」「宇江佐真理」「諸田玲子」「山本一力」などに惹かれています。

ここ2~3年「時代小説業界?」に変革が起きています。
「佐伯泰英」を旗頭にする「文庫書き下ろし時代小説」の台頭です。

<文庫書き下ろし>とは、新聞・雑誌に連載されず、単行本にもならず、いきなり文庫本で発表される作品のことだそうです。

多くの書き手が居ますが、「佐伯泰英」「上田秀人」「鳥羽亮」「鈴木英治」「井川香四郎」「風野真知雄」「藤原緋沙子」「稲葉稔」「秋月達郎」などが主なところでしょうか・・・

この連休中に「上田秀人」の作品『勘定吟味役異聞シリーズ1~8巻』を読み切りました。
内容は江戸幕府の、五代~八代将軍の地位を巡っての暗闘が描かれています。

幕府の中枢の仕組みと葛藤や、破綻する「米本位経済」、戦国を潜り抜けた「忍び達」のその後などなど・・・小説とは言え、自分の知識の上積みにも大いに役に立ちました。

このシリーズの第7巻の、作者のあとがきにこんな文章がありました。

――(中略)さて改革という言葉を毎日わたしたちは耳にしています。(中略)改革の名のもとに、政府は国民に痛みを強いています。我慢しろというのは簡単です。しなければいけないというのもわかっています。

享保の改革を一応の成功に導いた吉宗は、倹約を徹底するために、まず己からしてみせたといいます。衣服は木綿もののみ、食事は一汁一菜・・・(中略)ときの権力者にそうされては、部下も従うしかありません。

権力を付託されながら、料亭で密談したり、何億もの無駄遣いをしている一部の方々に、改革の手順というものを是非お考えいただきたいと思います(後略)―――

まさしく「上田秀人」は江戸時代の権力者に擬して、この国の現在の為政者に物申しているのだと・・・この「あとがき」部分が強く印象づけられた読後の一日でした。

photo by karusan from OCNフォトフレンド
<墓参の日のドウダンツツジ>
コメント
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