思うことを。
タイトルにも書きましたが「戦うために」何をするのかというのは重要だと思っています。単純に「練習をすればよい」という話ではない。色々と思うことがあって、前任校のハードル選手に連絡を取ってみました。この選手は「強くなりたい」というのが前面に出る選手でした。どのような取り組みをしていたのかを確認してみようと。詳しい内容は「企業秘密」ですが、担当している本校のハードルをやる選手には伝えました。これを見てどのような行動になるかだと思っています。
最近も書いた気がしますが、この選手は1年生の時は16秒7くらいだったと思います。最後まで3歩で走れない。「ハードル練習がしたい」と何度か申し出がありましたが、「足が速くなるまではダメ」といってほとんどやらせていませんでした。100mが14秒6くらいかかっていましたから。冬の練習に入った時に「来年はハードルで勝負」というのを伝えました。練習の中にハードル走をかなりの頻度で取り入れる。走りの中のハードルですから。
しかし、「基礎的なこと」をやる時間は午後の練習には入れないようにしました。時間が足りなくなるからです。本人から「朝練でハードルをやってもいいか」という申し出があったので「ドリルのみ」を許可。勝手に跳びまくる可能性があるので、足の負担なども考えて「ドリルのみ」と。早くからきてずっとやっていました。好きなんでしょう(笑)。見ていてもこの冬で「間違いなくいくな」という手ごたえがありました。できれば14秒台に入って県トップを狙わせたいなという感じまでありました。異動があって毎日は見れませんでしたが、ことあるごとに練習を見させてもらいました。
で、3年生の中国大会では14秒4までいきました。1年生の時の100mよりも速い(笑)。すごいことです。ここには間違いなく「要因」があります。「練習内容」というよりも「本人の取り組み」だと思いますね。練習メニューに関しては私が残していったものがベースになって実施されていました。そこは沖く変わっているわけではない。毎日細かく技術的なことをやっているわけでもない。それでも14秒4です。今はレベルが上がっているのでこの記録ではインターハイには行けません。が、中学時代の実績などを考えると「誇らしい記録」だと思っています。
そして、ここには間違いなく「理由」がある。この「理由」に関してはきちんと把握しておきたいなと。
どのような朝練習をしていたのかの確認をしました。言いつけ?を守って走るのではなく「ドリル」中心にやっていたようです。メニュー的にはドリルと補強を実施。それを毎日毎日ずっとやっていたようです。かなりの量なので朝できたのか?と確認すると「早く来て時間ぎりぎりまでやっていた」とのこと。「基本的なことをやる」時間が足りないと判断して朝しっかりとやる。時間が足りなくなりそうだから早く来てやる。このことは以前の私であれば「当たり前」の話でした。今はそこまで言わなくなっていましたが、やはり「戦うために」必要なことはあると改めて感じました。
この選手が「すごい」部分は「朝練をやっていた」ことではありません。自己分析して「ハードリング」の向上のためには「ドリル」が必要。でも、足が速くないと勝負できないので午後は「走練習」をする。さらにハードルに必要な体幹が弱いので朝の段階で不足分を補う。ここまで考えて朝練習を組み立てていたことです。自分で「必要だ」と感じたからやる。もちろん、最初は私に強制的にやらされていた部分があるかもしれません、しかし、途中からは「自分のためにやる」という考え方に変わていたから私が異動した後もやることができていたのだと思います。
さらには「かなりの量」を毎日毎日継続的にやることができたという部分。努力する才能があるのだと思います。強制されているわけではないのでやらなくても誰かに何かを言われるわけではありません。しかし、「戦うために」と考えて「絶対にやり続ける」という姿勢が身に付いた。性格的にどんなことがあってもやり続けていたと思います。黙々と自分のための練習を毎日毎日、朝早くからやり続ける。それが「14秒4」という結果につながったのかなと。
世の中で評価されるのは「インターハイに進んだ」とか「全国で入賞した」という目に見える結果です。当たり前の話ですが。しかし、16秒7くらいかかっていた普通の選手が3年時に14秒4で走るというのはあまり聞かない話です。そのことに対する評価は低いのかもしれませんし、目立たないから言われないのかもしれません。しかし、ほとんどの選手はそこまでたどり着けません。結果を残したのかどうかはどの視点で見るかだと思います。県のレベルで決勝を目指していた選手が中国で戦うレベルに達したというのは誇らしいことだと思います。
結局は「どんな練習をするか」ではないと思っています。どれだけ「能力」が高くても「継続的に取り組める」選手にならなければその才能は開花しません。そこはすごく大切な話だと思っています。この選手のすごいところは「自らやる」という所です。誰かに言われたからやるというのではなく、自分が必要だと感じたからやる。全て自分に返ってくる。もちろん万人にできることではないですが、それをやらないと結局は戦えないという証明だと思っています。
最後は指導者とか環境とかではない「本人がやる気がどうか」だけなのかなと。まー思うことを書いていかないといけない。良い指導=技術指導という等式だけではない。本人が「その気」になって取り組んでくれるか。それに対してどうアプローチするかなのかなと。我々は走ることはできません。試合に出て戦うのは選手自身です。その人達が「戦うために」と思ってくれればあとは勝手に強くなるのかなと。逆に力があっても「自分は戦える」と過信していたら逆転される。置いていかれる。実際に何度も見てきました。
戦える選手になる。そのための情報は提供します。それを受け取る側がどう感じるかだと思います。
記録しておきます。