日曜日。この日は短距離練習会でした。ハードル練習会だけではなく県内では跳躍練習会、投擲練習会も実施されています。基本的には「専門的な指導が受けられない選手のために」という考え方の下実施されています。コロナ前は県合宿などを行っていましたが、今は「練習会」の形で実施しされています。頻度の問題というのもあるかなと。1度にまとめてやるというよりも何度かに分けて状況に応じて練習をするほうが効率的。選手が飽和状態になると結局は「指導者の自己満足」みたいな形になってしまいます。多くのことを詰め込みすぎないようにしたいなと。
日曜日は天気が悪くなる予報でした。雪が積もるかもしれないということで練習開始時間を9時から10時へと変更。午前中は私が一人でやるということになったので「練習の準備」をする時間に充てました。たいていノープランで行うのですが、さすがに人数も多いので効率よくできるようにしないといけないなと。
今回は「動きについて」の部分を少し真面目に話をしました。この辺りは「理解力」が大きく関係してくるので難しい選手にとっては「何を言っているのか分からない」という感じだったかもしれません。走るためには地面に力を加える必要があります。大きな力を発揮する。その力を逃がさない。そしてその方向を変える。単純な話です。以前、hoshoの時に合同合宿で使った資料を利用させてもらって「なぜ練習をするのか」「練習の狙いは何か」を理解してもらうことに。「考えない」でもできる部分はあります。感覚が鋭ければ理解しなくてもそれができるのかもしれません。しかし、大半はできません。そこの部分を理解しながらこちらも与えていく必要があると思います。
実際はそこまで難しく話をしていません。補足的に書いている部分もありますが、「何故練習をするのか」というのを書いておきます。
「補強をする」理由。やはり、補強は面白くない。走りに直結するイメージがないからです。補強ができなくても走れる選手はいる。その現状が「別に補強なんてやらなくていい」という考え方に繋がっていきます。が、地面に力を加えようと思えばある程度の「筋力」は必要です。足を置いていくだけの走りでは地面に大きな力を加えることができないので「反発」を得ることができません。「筋量」を過剰に増やす必要はないですが「筋力」がなければ力は伝えられません。地面に接地した瞬間に筋力がなければその衝撃に耐えられずに「足首」「膝」「股関節」が曲がってしまいます。これにより「緩衝」が起きて地面からの反発を逃がしてしまう。よく使いますが「体操競技」の着地をイメージしてもらえばいいかなと。その場に「止まる」ために関節を曲げて力を逃がすからその場から動かない。「走る」というのは「前に進む」のですから、力を逃がしていたらもったいない。すべてを前に進むための力に変えていく必要があります。だから「筋力」を上げてその衝撃に耐える必要がある。
また、スピードが高くなると「体幹部」にブレが生まれます。腕振りや接地などで「体幹部」が上下や前後してしまう。これも地面からの反発を逃がしてしまうことになります。地面からもらった力を水平方向に変えていくためにはやはり「体幹」が安定していることが重要だと思います。力を逃がさずに受け止められる。推進力に替えていくための「体幹部」が必要です。「腹筋」「背筋」「股関節」というのは走るために重要な要素だと思っています。これにより「大きな力を与える」「力を逃がさない」という要素の必要性が分かるかなと。補強は大事。
「鉛直方向(縦の動き)」についても少し。高跳びの踏切局面を考えてもらうと分かりやすいかなと。助走で前方向に進んでくる。踏切局面は自分の身体の前側に接地をします。それによりブレーキがかかって反発がもろに身体に返ってくる。それを反対足と腕で上への方向付けをしていきます。これは「進む方向が変わる」からです。自分の身体の前側に足が付くとそれに対しての反作用が生まれます。間違いなく前に進むための動きにマイナスになる。
そうであればやはり「接地」に関しては「上から下」という部分が必要になrます。上から下の力の伝え方にしないと進む動きに対してマイナスの力が生じてしまいます。走るという動作は誰でもできます。が、水平方向に進む力がどうなるかは別問題です。できるだけ効率よく力を伝えるために「上から下」の動きを意識して「身体の真下」で接地するようにする。「どこでも意識していること」だとは思いますが、「なぜその動きが必要か」という部分を理解してもらいたい。「力の伝え方」ですね。
「力を伝える」ことだけでは進みません。最後は「力の方向を変える」というところが重要になります。「縦の動き」だけでは「上に浮く」ことになります。「前に進む」ためには「縦の動き」を「横の動き」に変えないといけなくなります。地面から跳ね返ってきた力を水平方向に変える。その役割を果たすのが「遊離脚」「フォローレッグ」です。今回は「バットで打つ」という話をしました。地面に投げたボールをバットで打つことで前方向に飛んでいく。「フォローレッグ」のタイミングが合うことで無駄な力を使わずに水平方向に進んでいけます。「スイッチング」や「切り替え」といわれる部分です。
方向を変える時に「慣性モーメント」の話が出てきます。「フォローレッグ」が大きく動くかコンパクトに動くか。「膝締め」ができていると自然に股関節から足先までの距離が短くなります。「膝が開く」状況になると足が大きく動くことになってエネルギーが必要になるし、速く動くことができません。できるだけ鋭く動きたい。コンパクトに動くために「膝締め」をする。
また、「直線的に足を運ぶ」という感覚が欲しい。円運動を意識すると前まで足が来るのに時間がかかります。直線的に動くほうが効率よく動けます。くるぶしが直線的に軸足の膝を通るようにする。踵がお尻に当たるような意識で走ると間違いなく回転が後ろになります。ここは説明してもなかなか分かりにくいのですが、結局「足の動き」というのは股関節を中心とした「円運動」になります。支点が決まっているのでどのような動きをしても「円運動」になります。が、走る意識の中で「円運動をしよう」とすると動きが大きくなったり、足が流れる結果につながります。「直線的」に動く意識でやっても「円運動」になる。「意識」と「現象」。
これだけ書いてもよくわからないと思います。指導する側はある程度理解しておく必要があると思います。その中で選手に提供する「情報」は最低限にする。多くの情報を与えることで混乱してしまう。「知っているから伝える」のではなく「優先事項」を決めて伝える。理解できなくても「結果的にその動きになる」ように練習を組む。ここが重要ではないかなと思っています。
短距離練習会。どれだけのニーズがあるのか分かりません。こちら側も様子を見ながらやっていく必要があるかなと思っています。15分程度の話をしました。ここに書いたような内容をすべて話したわけではありません。もっとシンプルに必要なことを伝えたつもりです。ここがどれだけ伝わったか。理解してもらうのは難しいかなと思う部分もありますが。
やった内容に関してはまた別に書けたらと思います。余力があれば。