何がやりたくて、その道を行くのか。
先日のHSEセミナーで薬科大学の理事長が講演をしてくれた。
話の中で、少なくても3割、多い大学では6割以上の学生が何らかの奨学金を受けているそうだ。
その金額も多い学生は1,200万円超にもなる。
なかなか勇気ある選択をしていると思う。
私は何ごとにも身の丈があると考えている。
何が何でも薬剤師になりたいのなら1,200万円もの借金を背負うのもいい。
そうでもなく何となくなら、その選択は考え直した方がいいと思う。
薬剤師の収入が安定していると思うなかれ。
安定しているが私から言わせるとけして高くはない。
勤務している薬剤師で年収1,000万円を超えている人は数えるくらいしか知らない。
逆に、一般企業で名の知れている、いわゆる一流どころになると40歳前で1,000万円はゆうに超えている。
身近なところでは大手製薬メーカーなどはかなり高額である。
1,200万円もの借金を抱えて薬剤師になれた人はまだ救われる。
働いて給与から返済が可能だ。
ところが国家試験に合格できなかった場合は悲惨なことになる。
そもそも働く場がない。
国家試験に合格しても借金返済からなのか出来るだけ高い給与を求める。
比較的安い病院は敬遠される。
給与が高いということは、それなりの生産性を求められる。
生産性とは業務量の多さかもしれない。
その負担に耐え切れず脱落してしまう。
そもそも薬剤師になって何がやりたかったのかを問いたい。
大人たちは身勝手だ。
土地が安いからと言って地方に大学を設立する。
ところが学生が集まらない。
集まらないと運営が出来ないので自分勝手に薬学部を閉鎖してしまう。
そこに迷い込んだ学生にとってはいい迷惑である。
また、入り口は広く誰でもどうぞと入学できても、出口は狭く見せかけの合格率の犠牲にされる。
ここ数年はストレート合格率を国は公表させている。
その他にも退学率も発表させている。
国は”あの大学はダメだ”とは言えないそうだ。
だからストレート合格率や退学率を公表することによって学生に考えさせている。
それって、汚いように思う。
ダメな大学は国が対処しないと無垢な学生には分からない。
国家試験に合格できない社会人、薬科大学を中途で退学した社会人たちの人生はどうなるのか。
たとえ国家試験に合格しても、安定しているがそれほど高くはない給与にどんな責任を持たせるというのか。
何だかおかしい。