パブリックコメントにどんな意味があるのか。
パブリックコメント制度を漢字に置き換えると「意見公募手続制度」になるらしい。
「国の行政機関が命令等(政令、省令など)を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的としている」となっている。
広く一般から意見を募り、その意見を考慮するらしい。
2月8日に、俗にいう「オンライン服薬指導」に関するパブリックコメントが厚生労働省から出されている。
意見の募集期間は2月8日から3月9日までである。
きっと4月1日からの調剤報酬改定の実施に向けた内容だ。
その内容はすでに話しに出ていて目新しいものはない。
しかも2月9日には中医協から調剤報酬改定の答申が出されている。
そして3月4日には診療報酬改定の通知が出る。
こうなると案ではない。
中医協からの答申は決まってもいないオンライン服薬指導に、調剤報酬が想定されたってことになるような気がする。
したがって、パブリックコメントにどんな意見が出ようとも、今さら考慮などされないってことがわかる。
それはどうでもいいことかもしれないが、経営者はパブリックコメントと一緒に掲載されているオンライン服薬指導に関する通知案を読んでおく必要がある。
実施については「患者の求めに応じて」とあり、「薬剤師の判断と責任に基づき」とある。
ここに何らかの薬剤師の判断基準が必要になる。
「あんたに任せる」などと無責任な経営者には、この仕組みは向いていない。
また、患者情報の漏えいなどに関する知識と認識も学ぶ必要がる。
もちろん情報セキュリティーやプライバシー保護等の通信環境の確保も必須だ。
そしてオンライン服薬指導の患者利点であるお届けシステムも大事になる。
ちょっとこじゃれた言い方をすると”ラストワンマイル”である。
薬局から患者の手元に届く最終の物流システムだ。
すでに大手が手掛けているのが「即日配送」「バイク便」「ウーバーイーツ利用」などがある。
その他にも24時間受け取り可能な「ロッカー渡し」などの実証実験も始まっている。
もっと凄いのは離島やへき地などへのドローン配送まである。
規制改革推進会議などでは薬剤師の働き方改革と称して、自宅からの服薬指導を認めてはどうかなどの意見も出ている。
とりあえず現時点では認められていない。
注意を要する処方内容として、初診からオンライン診療を実施する医療機関に関して、以下の処方は行わないこととなっている。
・麻薬及び向精神薬の処方
・基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品(診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤)の処方
・基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方
オンラインでの調剤報酬改定に関するセミナーを続けてきて、よく出る質問に「リフィル処方箋は進みますか」「オンライン服薬指導は普及しますか」「オンライン資格確認は広がりますか」などがある。
そんなことは私の知ったこっちゃない。
将来のことなど神のみぞ知る世界だ。
やるかやらないかを判断するのが経営者である。
甘えるな!