混乱の報酬改定も”知らぬが仏”で乗り切れる。
4月は私なりに現場の声を聴く機会があった。
大阪、広島、福岡、高松の「薬局経営研究会」への出席である。
私の担当は高松だけだが参加者の生の声は貴重な情報だ。
そこで感じたのは、比較的大手薬局はそれなりの情報を収集しながら積極的な算定に挑戦している。
厚生局へも自らが確認している。
ところが肝心の厚生局もはっきりしない。
しかも“疑わしきは算定不可”となるから始末に悪い。
聞かなきゃよかったのにと思うが、大手薬局は社会的な立場もあり、後から批判されることを避ける。
当たり前だけど。
比較的中小薬局は情報不足から算定要件などをあまり理解していない。
不思議だが疑義解釈も見ていない。
日ごろの業務に追われているのか。
どうしたらいいのかわからないのか。
報酬改定はレセコン任せで算定をしている感じがある。
せっかく算定できそうな施設基準も逃しているケースが見られた。
もったいない。
細かい内容は書かないが、未だにはっきりしない調剤報酬もある。
現場も迷うところじゃないかと思う。
当社の社長は、不明な部分は厚生労働省に直接問い合わせている。
意外に丁寧に対応してくれる。
ただ、あまりにも頻繁なので「また、あなたですか」と一言が加わるらしい。
正直なところ厚生労働省も明確な答えが返ってこないこともある。
今回の調剤報酬改定は内容のいじり過ぎじゃないだろうか。
中医協の審議は限られた時間内での表面的だが、事前の打ち合わせなどがあったはずである。
そして窓口の日本薬剤師会は会員から質問を集めて厚生労働省にぶつけて欲しいものだ。
見えないところで戦っているのかもしれない。
と、思っているうちに4月も終わる。
調剤報酬改定が3月4日に発表になり、その改定内容は45分ほどのYouTubeで流れた。
これで集団伝達講習が終わった。
翌日の5日には日本保険薬局協会が2時間に渡るオンラインセミナーを開催している。
しかも講師は薬剤管理官である。
ここでの質問は後ほど厚生労働省に確認して3月中頃に流されている。
もちろん会員だけだ。
さらに4月が始まって、実際の運用に疑問を持ち始めた27日には、追加オンラインセミナーが行われている。
内容はそこそこではあるが、報酬算定に関する意識が変わる。
中小薬局が知らないうちに、薬局を取り巻く経営環境は大きく変わりそうな気配を感じている。
その大きな兆しは規制改革推進会議とデジタル化である。
さらに2025年を迎える地域包括ケアシステムの仕上げにある。
大事な変化の時期を迎えている。
職能団体だから薬局経営は関係ないのではなく、会員の多くが薬局関係の薬剤師じゃないだろうか。
何だか取り残され感がありかわいそうな気がする。