どうなるのか?
昨日(12/27)の中医協に何気なく敷地内薬局に関する内容が上がっていた。
どうも矛先は薬局だけじゃなく処方元にも及ぶ内容になってきた。
そして、敷地内薬局の独立性を問う議論へと拡大してきた。
敷地内薬局にもいくつかのパターンがある。
診療所の敷地内と大学病院の敷地内では雲泥の差があるが、議論は“十把一絡げ”な気がする。
単純ではない。
中医協資料では「特別調剤基本料」を算定している薬局の「医薬品等費」の額が他と比較して突出して高いとしている。
当たり前と言えば、当たり前のような気がする。
敷地内薬局の多くは大学病院や高機能病院が多い。
当然、処方箋単価も高くなる。
処方箋単価は技術料的な要素よりも処方される医薬品に高薬価が多いことにある。
しかも比較的長期処方になる。
それを今さら持ち出すところに厚生労働省の苦肉の策を感じさせる。
まるで方広寺の「国家安康 君臣豊楽」を思い出させる。
この「医薬品等費」における突出は薬価差益にまで議論が及んだ。
中医協の議論に医薬品の流通改善の在り方まで影響を及ぼしそうだ。
続く資料には、今までの中医協で検討されてきた指摘事項が示されている。
厚生労働省が敷地内薬局を認めてにもかかわらず「適切な医薬分業のために保険薬局は、経営上はもちろん、保険医療機関から経済的、構造的、機能的に独立していることが不可欠であること、 敷地内薬局は国の目指す医療の姿に逆行すること、保険医療に係る財源は国民皆保険制度で成り立っているため、 公費・保険料等をこのように使うことは適切ではない」と今さら何をかいわんやである。
そもそもは2016年3月に「『保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について』の一部改正について」(平成28年3月31日保医発0331第6号)が出され、保険医療機関との一体的な構造に対する解釈が変更され、2016年10月1日から適用されたことがきっかけじゃないか。
敷地内薬局に関する独立性の在り方は2026年に向けて再度見直しが入りそうだ。
そして「誘致する医療機関側、開設する薬局側の双方において更なる強い対応をすべきと考えるが、該当薬局の調剤基本料等での対応には限界がある」としている。
「誘致する医療機関側」って「急性期充実体制加算」のことだろうか。
ここから漏れる特定機能病院には何もないじゃないか。
取って付けたような言い草である。
締めくくりは「調剤基本料の適正化だけでは上手くいかないと考える」としている。
要は、薬局だけの対応には限界が来ていることを認めている。
では、どうするのか。
資料の続きでは「特別調剤基本料」を算定する薬局の90.2%は集中率が8割を超えていることを問題視している。
これも当たり前じゃないか。
敷地内にある薬局に他の医療機関の処方箋を持参する患者は稀だ。
分かり切ったことである。
まさか予想していなかってことだろうか。
しらじらしい。
こんなどうしようもない課題に対する論点は「いわゆる敷地内薬局を有する医療機関の処方に関する評価の在り方について、どのように考えるか」と結んでいる。
この論点は医療機関側への戒めを感じさせる。
敷地内薬局を有する医療機関の処方箋料が大幅に引き下げられる可能性がある。
なぜなら資料の中ほどに「院内処方の場合」と「院外処方を敷地内薬局で調剤した場合」の報酬が比較されている。
その中に赤字で強調されているのが医療機関の請求点数である。
「院内処方の場合」は127点で「院外処方を敷地内薬局で調剤した場合」は142点となる。
その差が15点もある。
ひょっとすると敷地内処方箋料としてマイナス15点もありうる。
さらに多剤処方箋に対する減算も考えられる。
でも、処方箋料の引き下げは意外にもリフィル処方箋の発行につながるかもしれない。
リフィル処方箋になると薬局が有利になりそうな気がする。
どちらにしても、今後の展開が面白くなってきた。
もし今回の敷地内薬局に対する「調剤基本料」に大きなペナルティー要素が盛り込まれないとなると、動いた組織団体の強さを感じさせる。
あれだけ日本薬剤師会が敷地内薬局を批判しても「調剤基本料等での対応には限界がある」でかわされるのだろうか。
そうだとしたら何だか組織の力にも「限界がある」を感じさせる。
ただ、今回は敷地内薬局に関して、日本薬剤師会はかなり厳しい指摘をしている。
要らぬ心配だが”分裂”みたいなことにならなきゃいいと思っている。
長くなったが、かなり議論は混とんとしており、どうなるのか蓋を開けてみないとわからない。