医療・介護を支える継続企業の知恵袋

毎日ブログを書き続け10年が過ぎました。2025年、2042年に向けた医療介護の厳しい時代を乗り切る策を考えます。

何とか綱渡り

2009-07-31 07:50:01 | 薬局
気がつけば1年の歳月が経過した。
明日でベンリー薬局も1年を迎える。
試行錯誤の連続の中、何とかここまでたどり着けたのは、支えていただいた方々や、教えをいただいた方々のお陰と感謝している。
まだまだ不安定な経営状態ではあるが、患者数は確実に増えている。
また、最近では新しい施設から依頼されるケースも出始めている。
やはりいずこも薬の管理では困っているようである。
先日、訪問した高齢者住宅には20人の高齢者が住んでいる。
現在の薬局でも一包化までは対応してくれるらしいが、薬は1包ではすまない。
他の薬剤とのホチキス留めや日数管理など、施設側では4時間も要するとの事であった。
ベンリー薬局では、その煩わしさを請け負っている。
服用時点ごとにホチキス留めを行い、施設との調整をしながら日付管理もやっている。
更に、分包紙には朝食後は赤、昼食後は黄、夕食後は緑、就寝前は青と色づけも好評である。
また、原則薬袋をやめボックスにてお届けしていることも喜ばれている。
患者さんには2つのボックスで交換のスタイルをとっている。
これらの作業は外来がいたのでは出来ない。
ベンリー薬局の猫の額のような調剤室はさしずめ工場のようである。
外来が来て作業がストップすると予製が滞る。
地域のケアマネジャーからの要請で、居宅療養管理指導も始まっている。
何回か訪問すると親しみと共に情も沸いてくる。
近くに行った際は、何気なく立ち寄り、薬の残薬を確認している。
独居の高齢者には受診日が近づくと電話にて知らせてもいる。
不定期な服用が改善される様子は、自分の事のように嬉しいものである。
お蔭様でケアマネジャーからの評価も高い。
在宅を支えているケアマネジャーの存在は大きい。
30年間眠っていた私の免許も少しずつ目が覚めてきた。
が、薬の知識は25年前から進展できていない。
分包器の取扱いが出来る程度である。
お蔭様で間違いも少なくなった。
でも、ご安心願いたい。
監査が上手な薬剤師が常に目を光らせてくれている。
錠剤のヒートからの外しが事のほか厳しいことも知った。
気がつくと右の親指の先がいつもしびれている。
何事も力が入る性格なせいか無駄なエネルギーが指先にかかっているようだ。
また、分包作業も肩こりという副作用があるらしい。
50年間、肩こりらしく経験がなかったが、ここ最近はその苦労が分かるようになってきた。
更に、立ち仕事もこの年になると疲労が溜まる。
とは言うものの、外来のいない薬局が成り立つのかどうか、私の挑戦は間違ってはいないように確信している。
門前やマンツーマンと異なり、患者数は確実に増加傾向にある。
患者が亡くならない限り、処方せんは減らない。
たとえ患者が亡くなっても、施設は新しい患者を入居させる。
そして、評判が少しずつ広がり、新しい施設からのオーダーが舞い込むようになってきた。
まだまだ多くの問題を抱えているが、一つの新しい試みとしては成り立つことを確認している。

若い薬剤師が起業できるかすかな望みをつなぎたい。
大手だけが生き残れる時代は寂しい。
時代は常にイノベーションが変えていく。

振り返ると早いものである。


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わぉ~ん!

2009-07-30 07:55:02 | 薬局
「薬価叩き」コンサルなるものがあるらしい。
と言うか、最も安易なコンサルである。
「人は人に支えられて生きている」とはよく言ったものだ。
企業も同じである。
ステークホルダー(利害関係者)との共存共栄、いわゆるWin-Winの関係が必要だ。
先日、とある調剤薬局の大手の社長の給料を聞いて驚いた。
なんと4,000万円だそうだ。
え! それくらいありじゃないかって。
アメリカの企業なら十分ありえる金額かもしれない。
この4,000万円は月の報酬である。
年間にすると4億8,000万円となる。
ここまで来るとひがみ根性も消えうせる。
それはそれで創業者として評価できるかもしれない。
問題はこの利益の根源が社会保障から出ていることにあると思う。
更に、これを支えている卸もバカを見ている。
利益がなくても「そうは問屋は卸さない」の気概はないのか。
その反動は職員の給与で賄う羽目になる。
それだけじゃない。
強いものには尻尾を振れるが、中小の医療機関や薬局には尻尾を上げていないか。
幹部の訪問も接待も大手へは行っても、利益を頂いている所へはおざなりになっていないか。
7月24日のリスファックスを見てちょっと感じた。

そして、…
などと、犬の遠吠えをしてみた!
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信頼って・・・

2009-07-26 06:28:46 | 薬局
「信頼できない」ときました。
先日、厚生労働省が療養担当規則の運用で、後発品の使用指導を行なうと書いたが、それに対して全国保険医団体連合会が吼えている。
後発品の使用は患者の自由選択と保険医の裁量に任せるべきと主張している。
後発品が使用されない理由として「薬効に信頼がおけない」「副作用発現・安全性に危惧がある」を挙げているらしい。
基本的に同じ成分である。
薬効に信頼がないのではなく、吸収や生体内動態に信頼がないじゃないのか。
それにしても説得力がない。
まして副作用・安全性となると尚更である。
何てったって同じ成分なんだから。
ベンリー薬局にはジェネリックに変更不可となった処方せんが来る事がある。
これはどう判断するのか?
薬効に信頼が高いのか、副作用・安全性に自信があるのか。
世の中はいつもご都合主義である。
いっその事、療養担当規則で指導するのは、医師の処方権の侵害だって言った方が分かりやすい。
回りくどい言い回しは誤解の元になる。
面倒なので処方せんに記載する薬剤は全て成分名としちゃえばいいのにと思う。
ネパールで医療活動をしている知り合いの医師がいる。
彼が言うには、ネパールでは薬剤が不足している。
日本の様に銘柄も何も余裕がない。
処方せんは成分で、あるモノを調剤してもらうしかないと言っていた。
また、それが世界標準だとも言っている。
日本の常識、世界の非常識なのかもしれない。



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夏は冷やして!

2009-07-25 07:53:52 | 薬局
それぞれの思惑がある。
アリセプトにゼリー剤が登場する。
味はハツミツレモンときている。
ちょっと美味しそうな気がする。
錠剤、細粒、口腔内崩壊錠に続く4剤目である。
嚥下困難で飲み込みが難しい患者への配慮と介助者の業務軽減らしいが、そこまで必要であろうか。
細粒は水に溶かして服用できる。
口腔内崩壊錠は口の中に入れておけば自然に解けていく製剤である。
どちらも嚥下困難には、それなりの有用性がある。
高齢者の薬剤は多岐に渡る。
その種類は少ない人でも5~6種類はある。
もちろんアリセプトのみの患者もいないではない。
そうなると服用させ易さもアドヒアランスには大きな影響をもたらす。
今はほとんどが一包化で対応するため、管理しやすくなっているが、ゼリー剤が加わると別管理が必要とならないか。
それも、せっかくのハツミツレモン味をより美味しくするためには、冷蔵庫で冷やしてお召し上がれとなる。
忘れそうだ。
それはさて置き、本音は在庫が増えるのが困る。

先日も粉砕指示の処方せんが来た。
リスパダールOD錠である。
乳糖で賦形してつぶしていると、これって口の中で溶けるんじゃないのと気がつく。
医師に連絡しようかと思ったが、面倒なので指示通りに調剤する。

ビソルボン錠のみの処方せんがある。
それも粉砕である。
何回か受けているが、ビソルボン細粒が不動在庫であることに気がつく。
以前、切り替えを申し入れた時は指示通りといわれていた。
ほとぼりが冷めた頃と見計らい、再度確認する。
「あっ、そうですか。それじゃ細粒でお願いします。」
しめしめ上手くいったと心でつぶやいていた。



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ただ今、腹囲79cm

2009-07-21 07:14:06 | 薬局
メタボ健診、受診低迷とある。
2008年4月から始まった40~74歳を対象とした特定健診制度である。
協会けんぽは35.9%、国保も30%を下回る結果となった。
12年度までの目標は70%、65%であるから、達成はかなり難しい。
この制度の欠点は、従来の健康診断の一部に含めて実施しているからではないか。
中小企業や国保に加入する人は余裕がない。
一般の健康診断と一緒では、どうしても受診料が高くなってしまう。
単純にメタボ健診だけだとかなり安上がりだと思う。
但し、そうなると今度はやり手がいないとなる。
この受診率を上げる方法は、身近で出来てしかも安いことにある。
ここで登場するのが、街の薬局である。
ちょっとカーテンで仕切られたコーナーで腹囲を測り、体重や体脂肪率などは簡易測定を行い、更に渡された針で自分の血液を採取する。
その血液を薬剤師に渡すと血糖値やコレストロールなどの測定が出来る。
って、感じではいかがであろうか。
こんな仕組みを具体化して厚労省に提案してもらいたいものだ。
更に、ここでメタボの疑いのある方は特定保健指導制度となる。
これも薬剤師がちょっとしたトレーニングで対応可能である。
いろいろ資格者団体の利害があるかもしれないが、言ったもの勝やったもの勝ではないのか。
薬剤師の資格者団体さん よろしく頼むよ!
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居残り

2009-07-20 16:07:22 | 薬局
来るはずの患者が来ない。
先月の末に予定していた患者が来ないのである。
入院したのだろうか、はたまた亡くなったのだろうか。
まさか電話で聞くわけにも行かない。
最近の長期投薬は、予定して取り揃えていた在庫に、大きな影響をもたらす。
今回もそのパターンである。
この患者さんは56日処方である。
期間も長いが服用する薬剤も多い。
それも、なかなか出回っていないジェネリックがほとんどである。
しかも変更不可ときている。
処方もとの医療機関には、暗黙の了解のように門前に薬局がある。
もとを辿ると同じ系列の政治組織につながる。
なぜ、この様な形態が許可になるのか、ちょっと不思議ではあるが、これを探ると大きな問題になりそうなのでパスしておこう。
さて、その処方せんであるが一般の卸経由で仕入れていない薬剤が往々にしてある。
独自の仕入れルートがあるらしい。
したがって、処方せんが来ると困ることが起きる。
その門前の薬局に小分けしてもらわなければならない。
更に、更に、この患者さんは規則正しく服用しているようで、処方せんが昼過ぎに来て、夕方から服用する薬がないという。
なんとアドヒアランスが素晴らしい患者さんである。
かくして、薬剤はあらかじめ在庫することとなる。
その患者さんが来ないのである。
これは事件だ!
もうすぐ1ヶ月が経とうとしている。
他にこの薬剤が出る可能性は低い。


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ヘビー級

2009-07-15 08:06:49 | 薬局
高齢者の一包化が増えている。
実際に5~6種類、またはそれ以上の薬剤があると、何が何だか分からなくなる。
また、包装のヒートにも問題がある。
毎日多くのバラ作業をしていると、時に嫌になる様なヒートがある。
妙に頑丈だ!
右の親指が悲鳴を上げる。
薬を必要とする方は高齢者が多い。
にもかかわらず、高齢者では無理だろうと言いたくなる様なヒートがある。
私の母もその一人である。
小さな薬は服用時に逃げ出す。
たまに母親の部屋に掃除機をかけてやる。
そうすると逃げ出した錠剤が吸い込まれる。
カチン、カラカラと音を立てて吸い込まれていく。
高齢者の一包化はそれなりに意味がある事を感じている。

いつものように分包器で調剤をしていると、凄い処方が出てきた。
以前から気にはなっていたが、1包が重い処方である。
薬の数も多いが大粒のスローケ2錠とプロへパール1錠が存在感を出している。
朝食後は13錠4.9g、昼食後3錠2g、夕食後6錠4.1g、就寝前8錠2gとなっている。
1日30錠13gとなる。
しかし、これだけではすまない。
毎食後として重カマが1日量1.5g出ているのである。
ちょっと想像してみてください。
食事の後ののど越しの良さを。
更に、一緒に飲む水の量もかなりとなります。
食事を減らさないと飲みきりませんね。


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次に控えしもの

2009-07-14 06:54:34 | 薬局
転換期を迎えたようだ。
「イオン、大衆薬を低価格で」の見出しが7月4日の日経新聞に掲載される。
今更何を、と言った感もあるが見逃せない。
スーパー各社は6月からの薬事法改正をチャンスと見て動きが激しい。
特にイオンはPB戦略を打ち出せるスケールを持っている。
そのイオンが自社のスーパー内に医薬品売り場を新設すると言うものである。
登録販売者による第2類、第3類の価格を大幅に引き下げての参入だ。
先日、マツモトキヨシが駅ナカに店舗を開始するとの記事もあった。
これもなかなかいい戦略である。
しかし、出店できる駅ナカには限界がある。
この記事で気になるのは下りの部分に、大衆薬の低価格販売を進める一方で、既存のスーパー内で調剤薬局を増やしていくとある。
やっぱり!
以前から書いているが最終目的は調剤にあり。
大手が本気になると怖い。
アメリカからの報告でも書いたが、調剤は内食思考の顧客を集めやすい。
中高年者世帯は内食傾向が強い。
乳幼児世帯も同じである。
実は、この層に処方せんが多く発生しているのもポイントである。

ますます既存薬局は厳冬の時代を向かえそうだ。



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始まっていますね。

2009-07-06 07:43:49 | 薬局
療養担当規則の効能・効果はいかがか。
厚生労働省保険局医療課は1日付で、後発品使用に否定的・消極的な医療機関や薬局に、指導強化を求める通知を地方厚生局に出した。
ご存知のように08年の診療報酬改定で療養担当規則も変わった。
医師には「後発品使用を考慮する努力義務」、薬剤師には「変更可処方せん持参患者への説明義務と調剤の努力義務」である。
これはどちらも「義務」となっているが、努力があるとないとでは意味合いが違う。
療養担当規則は、保険請求をする上で守らなければならないルールである。
そこで「義務」としているのだから、守らなければ請求させないとなる。
思いの他、きつい「義務」なのである。
中医協の調査では、処方せんを90%以上変更不可としている医師は、診療所で38.8%、病院で31.4%になるそうだ。
一方、33.5%の薬局が後発品調剤にあまり積極的ではないとの報告もある。
これらは集団的個別指導や個別指導の指導対象とするらしい。
医師の変更不可は比較的早い段階で対応が始まると思う。
マンツーマンの場合は、薬局へのプレッシャーも可能だからである。
要は、処方せんには変更不可をいれないが後発への切り替えは不可とする。
そうなると問題は薬局である。
更に、もう一度、療養担当規則を見てもらいたい。
「変更可処方せん持参患者への説明義務と調剤の努力義務」となっている。
ここで問題になるのが説明義務である。
先ず義務なので努力するのは当たり前となっている。
また以前にも書いたが、後発品への切り替えが進まない理由に、薬局での業務の流れに問題があるとの指摘がある。
処方せんを受け取って後発品への説明もなく、入力作業になるため、患者の後発品へのニーズ把握ができていないと言うものである。
薬を渡す段階で初めて患者が薬剤師に、後発品に関する情報を聞けることとなる。
この流れを変えなきゃ後発品への使用促進は進まないとなっている。
来年の調剤報酬改定はここにポイントがありそうだ。




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