けして他人ごとではないことを肝に銘じたい。
7月26日の朝日新聞の1面に「介護事業の倒産 最多」の記事が掲載された。
東京商工リサーチの発表によると1~6月の倒産件数が81件だそうだ。
これは前年(51件)の1.5倍になる。
この81件を侮るなかれ。
倒産の件数であって廃業は含まれていない。
数字的に見えない廃業が“ハインリッヒの法則”のごとく多いと想像できる。
倒産の半数は訪問介護で、人材不足と物価高騰に耐えきれなかったようだ。
さらに、介護給付の財源不足から2024年度の介護報酬では、あろうことか引き下げになっている。
介護事業実態調査の結果、特養などが赤字に転落して、訪問介護は少し黒字だったのが影響している。
ただ、訪問介護の黒字は大型事業所であり、小規模事業所などは厳しい経営を強いられていた。
何ごとにも規模のメリットが働くものだ。
今回の最低賃金の引き上げはさらなる試練が待っている。
人が集まらない。
人員確保の困難さから廃業を決めるパターンも多いと聞く。
介護職員の月平均賃金は全産業平均より7万円近く低い。
それなのに介護報酬引き下げになったのは、ひっ迫する介護保険制度の崩壊に他ならない。
さて、ここで私が言いたいのは薬局業界の明日が見えるのではないかと言う予言である。
医療費財源は既に限界に来ている。
薬価の引き下げで何とかしのいできたが、それもそろそろ限界に近い。
国は“残す薬局”と“退場してもらう薬局”への誘導が始まるのではないだろうか。
そんな危惧をしていると「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」では「個々の薬局に必要な機能」として“残す薬局”の姿を示しているような気がする。
そして、その内容は「地域支援体制加算」の要件に集約されるのではないだろうか。
薬局は表面上の倒産はみられない。
ところが水面下では廃業や譲渡が増えている。
ここにも”ハインリッヒの法則“がありそうだ。
調剤報酬の何かがちょっとしたきっかけで引き下げになるとどうなるのだろうか。
引き下げのターゲットは「対物業務」が危ない。
対物業務は外部委託により効率化が見込まれる。
効率化が可能な報酬は、最も引き下げに適した報酬かもしれない。
そして、ちょっとした引き下げに弱いのは中小薬局になる。
介護業界と薬局業界の大きな違いは政治団体があるかないかだ。
政治団体の中で、小さくても全国に支部があるかどうかで政治力が変わる。
地方選挙に影響するからだ。
そう考えると日本薬剤師会の存在は大きい。
他の組織団体には地区ブロックはあっても市町村単位での組織がない。
がんばれ!
新体制に期待する。
早いもので明日からが8月になる。
暑いので明日から札幌での自宅待機が長く続く。