落日
映画監督の香から、
新作映画についての
問い合わせを受けた脚本家の千尋。
15年前の『笹塚町一家殺害事件』
高校生の妹、沙良を殺害、
放火により両親も死。
すでに判決も確定。
そんな事件をテーマにして
映画を作りたいとの相談。
笹塚町が故郷だった千尋。
兄に殺害された立石沙良。
香の生い立ちの重さ。
千尋の姉と力輝斗(沙良の兄)との関係。
力輝斗と香。香と千尋、
真実が徐々に明らかになるにつれ
お互いが関わりをもち、
登場人物がつながっていきます。
あり得ないほどのつながりに
うまくいきすぎの感が...
でもとにかく心は落ち着きました。
直木賞候補になりました。
返却日が迫っていて
一旦返却すると30人ほど
待たないといけないことが
分かったので返却日前日、
1日で読み終えました。
湊かなえさんの「落日」の紹介をされていますので、コメントしたいと思います。
この物語は、1章から6章と、その前と後と間のエピソード1~7と言う構成になっていますね。
章の方では、映画監督の香と脚本家の千尋の話で、エピソードの方では、サラちゃんと言う少女と知り合った香が描かれていますね。
この二つの話の繋がりは、読んですぐに判ります。千尋の生まれ育った田舎町で起こった一家殺人事件は、彼女が中学生の時の事でした。
千尋の姉で、当時高校生だった千穂の同級生の立石沙良さんが被害者で、香は幼稚園の頃、沙良と知り合います。
香は何故この事件を取り上げようとしたのか、そこで何を描こうとしたのか。
そして、千尋は香の作る映画にどの様に関わっていくのか、そこにどう向き合っていくのだろうか?
そんな単純な思いがまず浮かぶのですが、何せこの小説を描いているのはあの湊かなえさんです。
最初の方で「自分の見たい世界だけ書くのではなく、大勢の人たちが目を背けている世界を書く。」と言う言葉が出てきます。
イヤミスの女王と言われる湊かなえさんは、一体どの様な「目を背ける世界」を描くのでしょうか。
15年前の事件を調べる話が中心となりますが、裁判の記録を読んでも、精神鑑定書を読んでも、真実は見えてきません。
香が辛かった時に、励ましてくれた手は、誰の物か、沙良の虚言癖は本当なのか、力輝斗は何故犯行に及んだのか、そして千尋の姉の千穂とは?------。
それらのいろいろの事は、最後に明かされるのですが、これは「救い」なのでしょうか。
もしかしたら、自分は全く見当違いの感想を語ってしまうのではと怖くなってしまいました。
でもこれだけは言えます。湊かなえさんの描写力は凄いです。
読んでいて、鳥肌が立つような場面が幾つもありました。
いつも読んでいてくださっているとのこと
ありがとうございます。
最近は本の感想さぼっていますが
また自分の記録のためにも書いておいたほうが
いいかなと思いました。
細かいことは忘れてしまいましたが
この本読み進んでいくと
過去を乗り越えて少しだけ
光が見えてきたような
そんな気がしました。
とにかく湊かなえさんの描写力は
見事ですね。
WOWOWで連続ドラマ化されるそうです。
9月放送、配信予定のようです。