花ごよみ

映画、本、写真など・

不発弾  相場英雄

2018-05-20 | 本 あ行(作家)

不発弾

バブル崩壊、外資が絡んだ
不適切な会計処理などを背景に
書かれた経済小説。

WOWOWのドラマ化を知り読みました。

不発弾とはバブル当時
多額の負債を抱えこんだ企業に
埋められた負の遺産。

実際起こった事件、人物などを
思い起こさせるような内容。

不適切会計処理を契機に暴き出される不正。

政治家と企業の癒着、
罪には問われない粉飾決算。
膨れ続ける負債隠し、責任逃れ…。

金融業界の裏側を歩んできた
一人の金融ブローカー(古賀)、
本当に悪いのは利益だけ追求して
責任を取ることのない経営者。

古賀の故郷大牟田市と東京が舞台。
古賀の不幸な生い立ち、
出口のない金融の世界に入り込んでしまった
古賀の人生。

追い詰める捜査二課の刑事、小堀
過去と現在が往来しながら
物語は進行して行きます。

佐知子の心の変化が
仕方がないとはいえ残念。


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屍人荘の殺人 今村 昌弘

2018-04-15 | 本 あ行(作家)

屍人荘の殺人

探偵を自称する大学生明智、
ワトソンの役割を担う後輩葉村。
そして探偵女子大生比留子。

三人が参加した映画研究部の夏合宿。
脅迫状、クローズドサークル、
そこにびっくり!!
ゾンビが登場。
解けない殺害方法。

「比留子が事件解決に
奔走していると知りつつ、
葉村は嘘をつこうとしている。
俺はワトソンなんかではないのに」

この文章に違和感を覚え
なんとか先を見通すことが
できました。

「このミステリーがすごい!」2018年版第1位
「週刊文春ミステリーベスト」第1位
「2018本格ミステリ・ベスト10」第1位
デビュー作でなんと3冠。

デビュー作ということですが
伏線も完璧に回収されていて、
満足、十分楽しめる小説でした。






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おもかげ  浅田次郎

2018-03-10 | 本 あ行(作家)

おもかげ

主人公は養護施設で育った竹脇正一。

商社マンとして、
定年退職を迎え、
その送別会の帰り道、
地下鉄の車内で倒れ、集中治療室へ。

意識不明となった正一。
意識が戻らない中、
ベットに横たわる彼が病院を抜け出し、
そこで体験する不思議な体験の数々。

現実と過去の世界。
社長となった同期。
幼なじみ。
妻、娘婿
戦争に奪われた人生。
生きるための母の選択
正一が過去の人物と出会い
自分の過去を彷徨う。

浅田次郎の、
過去と現在を行き来する
[地下鉄に乗って]
(メトロにのって)を思い出しました。

浅田次郎らしい温かさ、
魅力に溢れた小説。
最後に全てが繋がり、
彼の人生が見えてきます。
引きこまれる物語でした。




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AX  井坂幸太郎

2018-01-15 | 本 あ行(作家)

AX アックス (角川書店単行本)

妻の機嫌の善し悪しに
右往左往するに日々
妻の怒りを回避の方法を探る日々。

いつの日も妻に対して
ぴりぴりとした
緊張感を持ち続けている主人公、兜。

表の顔は文房具の営業マン。
裏の顔は凄腕の殺し屋。
足を洗おうとしたが…


愛する家族を守り抜いた兜、
兜の思いと決心。
切なさが残りました。

恐妻家というけれど
優しい夫、
そして素敵なお父さんでした。







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ジェリーフィッシュは凍らない 市川 憂人

2017-11-20 | 本 あ行(作家)

ジェリーフィッシュは凍らない

舞台は新開発の小型飛行船、
ジェリーフィッシュ。
ジェリーフィッシュを巡る事件。
架空の世界を描いています。

第26回鮎川哲也賞受賞作。

表紙の絵柄でジェリーフィッシュとは
どんなものか想像ができます。
魅力的な飛行船です。

関係者が全て他殺体、
「そして誰もいなくなった」という感じで、
ジェリーフィッシュの開発メンバーが
次々命を落としていきます。
全員死亡のクローズドサークル系ミステリー。

女性刑事マリアと、漣、
探偵役のコンビとなる刑事の
会話もいい感じ。

設定がU国という外国で、
登場人物はカタカナ、
動機も少しばかり弱いと感じましたが
テンポもよく、
飽きること無く
読み進めることができました。

構成も緻密で十分満足できる
濃厚なミステリー小説でした。
疑問が解消された時はほっとしました。



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八月は冷たい城  恩田陸

2017-06-26 | 本 あ行(作家)

八月は冷たい城 (ミステリーランド)

「七月に流れる花」は女の子、
こちらの「八月は冷たい城」は男の子。

「七月に流れる花」から話は繋がっていて
八月は七月よりさらにホラーの
色合いが強くなっています。

夏流城(かなしろ)での林間学校、
もの悲しい、流れる花の習慣、
鐘が三回なるとお地蔵さんのところに集合など
システム、流れる空気も
「七月に流れる花」と同じなので
読みやすかったです。
 
みどりおとこの正体が解明。
切ない家族の死、
正体の分からないものの襲来。
カマキリの斧など
不穏な空気が漂う中、
追い詰めらていく心。

光彦(てるひこ)たちが、
お城に行く理由。
夏の人の秘密。
みどりおとこの謎も解かれ
ホラーの雰囲気を漂わしながらも、
読み終われば切なさが残る
物語になっていました。



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七月に流れる花  恩田陸

2017-06-26 | 本 あ行(作家)

七月に流れる花 (ミステリーランド)

六月に夏流(かなし)という街に
転校してきたミチルが主人公。

中途半端な六月という時期に転校したので
友達もいない状態で
終業式を迎えることになる。

その終業式の日、
緑色をした人の影を鏡の中に見る。

逃げ出したミチルは、
緑色の人からの手紙を見つける。
手紙には夏の城――夏流城(かなしろ)での
林間学校への招待が
書かれていた。

そこで始まる五人の少女達との
三つの不思議なルールを
守った上での共同生活。

そのルールとは鐘が一度鳴ったら、
食堂に集合。
三度鳴るとお地蔵様にお参り。
水路に流れる花の色と数の報告。

なぜ少女は夏の城に招かれたのか?

不安がいっぱいの中でも
優しさを忘れない少女たちの生活。

流れる花とお地蔵様に参る意味、
ラストに哀しい謎は明かされます。

酒井駒子の装画が
この物語の儚い世界に
ぴったりあっていました。

不思議な空気感で包まれた小説でした。
関連作『八月は冷たい城』も読むつもりです。



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虹を待つ彼女   逸木 裕

2017-05-21 | 本 あ行(作家)

虹を待つ彼女

ヒロイン晴。
彼女はこの世にはもう存在しない
女性プログラマー。

その彼女を人工知能によって
甦らそうとする工藤。
人生に対して空虚さを感じていた工藤。
晴の人工知能を作るため、
彼女の人物像の調査過程で
恋愛感情を持っていくという物語。

リアルもバーチャルも
自分の脳が処理した情報、
なので同じ価値を持っていると。

晴の心の内、晴と関わった人、
調査を阻む脅迫者の存在。
人工知能の完成はあるのか
あまり各人物に深みはないけど
ストーリーは面白かったです。

第36回横溝正史ミステリー大賞受賞作品。
ミステリーに恋愛を絡ませた小説。

神秘的な雰囲気を纏った
晴の正体。

人工知能設計者である工藤は人として
共感できない人物でしたが
ラストに成長が見られます。
予測外の物語の終了させ方でした。

囲碁AIも採り入れられていてタイムリー。
受賞したときのタイトルは虹になるのを待て。







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蜂蜜と遠雷  恩田陸

2017-04-01 | 本 あ行(作家)

蜜蜂と遠雷

父と旅し自分のピアノを持たない
風間塵15歳。
天才少女であった過去を持つ栄伝亜夜20歳。 
名門ジュリアード音楽院のマサル19歳。
楽器店勤務のサラリーマン、高島明石28歳。

彼ら4人を主として、
ピアノコンクールに挑む人々の物語。

コンテスタント、審査員など、
物語の登場人物の視点から
コンクールを追っかけていきます。

心が成長、変化していく
4人のコンテスタント達。
彼らを通じて音楽の美しさが
描かれていました。

音楽を生き生きとした文章によって表現。
曲が分からなくても楽しめました。
まるで音が聞こえてくるようです。
描写力、表現力の豊かさに
満ちあふれていました。

演奏、曲がストーリーを持ったり、
景色になったり…。
不思議な感覚に導かれる小説です。

第156回直木賞を受賞作品。   


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暗黒女子   秋吉 理香子

2017-03-26 | 本 あ行(作家)

暗黒女子 (双葉文庫)

文学サークルのメンバー、
一人一人が語る、
事件が起きるまでの出来事。

それを記したリレー形式の
創作小説により物語が進行。

小説のテーマは「白石いつみの死」。

文学サークルの前会長、
いつみの死の真相を探っていく。

朗読小説の中では、
全て誰かが犯人になるように
うまい具合に創作されているといった
面白い構成でした。
全員が罪を誰かに仕向けると言った風に。

柔らかい口調で描かれた
セレブなミッション系女子高の
文学サークルの部員の語る言葉。

明かされるエピソードによって
見えてくる女子達の裏側。

複雑な心の動き、
表向きには仲良しに見えても
隠されたぎくしゃくとした関係。

読みやすい小説でしたが
美しい女子達の嫉妬、羨望、
深い心の闇が怖いです。

「暗黒女子」黒くて暗い、
陰湿で不可思議な女子。
タイトルが絶妙です。

映画化を知り読みました。
どういう風に朗読部分を
表現するのでしょう。






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