花ごよみ

映画、本、写真など・

琥珀の夏  辻村深月

2022-08-02 | 本 さ、た行(作家)


「ミライの学校」で親から離れて、
自然の中で自主性をめざし
共同生活を送る子供たち。

親と一緒にいたいという、
自らの心に反して
閉鎖された環境で育った子供たち。

少女たちの繊細な心の揺らぎが
見事に表現され、
そのリアルさが心に突き刺さります。

小学生の頃、夏合宿として
「ミライの学校」に参加したことがあり
今は弁護士となって
過去と向き合うことになるノリコ。

閉鎖的な世界で出会ったノリコとミカ。
そして大人になって再開した法子と美夏。

何が間違いで何が正しかったのか、
答えを探せないなか展開する物語。
引き込まれました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元彼の遺言状 新川 帆立

2022-03-09 | 本 さ、た行(作家)
このミステリーがすごい受賞作。

元彼の遺言状には
「殺した人物に遺産を与える」という
内容が書かれていた。

関心があるのはお金だけという主人公。

「読み始めたら止まらない」ということですが
前半はテンポもよくなく、
登場人物にも魅力を感じられず
図書館の期限もきたので一旦返却しました。

でもなんとなく結末が気になり
一月ほど経ってまた借りてきて
続きを読みました。

読み進めていくうちに
少しずつ面白くなってきました。
でも犯人の動機などは
後であまり印象に残りません。

登場人物が多く人間関係も複雑で
何度も読み返し確認しました。

読み終えてから綾瀬はるかを主人公に
テレビ放映lされることを知りました。
イメージはちょっと違うように思えますが
この作品、ドラマになると結構面白そうです。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

インビジブル 坂上泉

2021-06-19 | 本 さ、た行(作家)

インビジブル

戦後の混沌とした大阪で起きた事件。

この時代特有の暗い空気感。
戦中の満州への開拓民、
アヘンを発端とした犯人の動機が
重く心に刺さります。

新人刑事新城と帝大卒警察官僚守屋の
バディーもの。
この二人が事件の真実を探っていきます。
魅力あるコンビです。

大阪城付近の昔の様子も
興味深く読みました。

高層ビルが林立する
現在のOBP(大阪ビジネスパーク)が
この本に書かれているような、
終戦後は秩序の乱れた地だったとは...

大阪城周辺、大阪の北部を
捜査していく物語は
この辺りの過去の状態を
新しく知ることもあって
面白かったです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

十字架のカルテ  知念実希人

2021-01-14 | 本 さ、た行(作家)

十字架のカルテ

テーマは犯罪者の精神鑑定。
精神鑑定医、影山司が主人公の
連作短編集。

影山司と助手の弓削凛が
犯罪者の責任能力を判定。

高校時代に親友を失い、
その犯人の名前、
罪も明かされないという事実をきっかけに
精神科医になった凛。

心神喪失の状態での
罪は罰しないという刑法39条。

裁判に関し重大な使命を
与えられた精神鑑定。

本当の精神疾患か、精神病の詐病、
あるいは故意、
犯罪者の深い心の闇を暴く。

ラストの「闇の貌」が特に
読み応えがありました。

解離性同一性障害(多重人格)の女性。
自らの中に潜む副人格を
操って意図的に殺人って!?
彼女の人格を呼び起こさせた環境など
弓削凛が暴く事件の真相とは?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

望み   雫井 脩介

2020-10-25 | 本 さ、た行(作家)


望み (角川文庫)

家を出て連絡がとれない息子。
息子が事件の被害者か加害者か?

本のタイトルである『望み』
母親と父親の望みは逆方向。
母親は息子が加害者でも生きていて欲しい。
父親は被害者あって欲しいと。
まさに二人の望みは絶望的な望み。

母親がお腹を空かしているだろう息子に
差し入れの弁当の準備を思いつく場面、
本を読んだ後も
思い出しては、涙を誘います。

映画化され上映されていますが
もう見なくていいような・・・⁠⁠⁠
悲しくてつらい、心が苦しくなる
重いテーマの小説でした。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

傲慢と善良   辻村深月

2020-04-29 | 本 さ、た行(作家)

傲慢と善良

婚活で知り合った二人。
突然婚約者が行方不明に。
彼女を探し続ける彼に、
明かされる色々な事情。

相手に対して
傲慢と善良を
持つということは
誰にでもあること。

でもそれを解決しないかぎり
二人が一緒に生活することは難しい。

結婚へのあこがれを持ちつつ、
焦り、しがらみ、親の呪縛。

タイトルにある傲慢と善良、
人間の心の動きが
丁寧に表現された言葉によって
明確になってくる。

人の心の奥を抉り出すことで
現実味を帯びてきます。

青空と逃げる
早苗と力。
この作品にも終盤に登場していました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ノワールをまとう女  神護かずみ

2020-04-21 | 本 さ、た行(作家)

ノワールをまとう女

雇い主である元総会屋の
ボス原田の命を受け
企業の炎上案件を
解決する仕事を請け負う西澤奈美。

炎上元のデモ団体に潜入、
裏工作しヘイトの沈静化を図る。

話し相手はAIなど
今の世の中を描写。

全体的に流れる
暗くて静かな雰囲気。

クールで強い女の反面、
脆い一面ものぞかせ、
魅力的にもみえるけど
あまり心にぐっと来ることは
なかったです。

恋人は同性。
仕事は裏稼業、
一人称で描かれていて
ハードボイルドっぽく書かれた作品ですが
もし主人公の性別が違っていたら
ありがちな物語のような..
黒幕の存在も予想できるし...

江戸川乱歩賞受賞作品。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まらそん侍 土橋章宏

2019-02-16 | 本 さ、た行(作家)

幕末まらそん侍 (ハルキ文庫)

舞台は幕末の上野国安中藩、
安中藩主・板倉勝明は
日本初のマラソン(遠足 とおあし)大会を行う。
それに参加した藩士たちを描いています。

映画化を知り読みました。
映画のタイトルはサムライマラソン。
土橋章宏というと「超高速!参勤交代」の作家で
映画化された作品も楽しめたので
この本の映画化も面白い気がします。

「遠足(とおあし)」 「逢引き」「隠密」
「賭け」「風車の槍」と
5つの章から成り立っている
連作短遍小説。

各章の主人公が他の章にも絡む
構成になっています。
各章それぞれが藩士達の人情味溢れる物語。

殿様の命令には従うより他はない
家臣達の奮闘、
それぞれの人間模様、
涙と笑いが心に響き、
読後は心がほっこりする物語でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

官邸襲撃   高嶋 哲夫

2019-01-12 | 本 さ、た行(作家)

官邸襲撃

武装テログループが首相官邸を占拠。
人質となったのは
総理大臣、米国務長官、駐米大使等。

たった一人でテロリスト立ち向かう
日本初女性首相付きの
女性警護官、夏目明日香。

武装したテロリスト集団VS女性警護官。

日米政府間の連携の悪さから、
あらゆる作戦は失敗。

物語の内容としては結構よくある話。

テロ集団の探す人物、(プリンセス)は、
早い段階で分かりました。

スピード感のある展開なので
楽しく読めましたが、
単身テロリストに対し立ち向かうことになった
主人公がスーパーウーマン過ぎて
リアリティーがなく、
それゆえ安心して読めるという
利点もありました。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

歪んだ波紋  塩田 武士

2018-09-30 | 本 さ、た行(作家)

歪んだ波紋

マスメディアの誤報、
フェイクニュースをテーマにした
5つの連作短編集。
短編が繋がり最後に集約。

登場人物が多く、
本を読み返す場面も。

マスメディアの
誤報、虚報、捏造によって、
人生を変えられてしまうこと、
歪んだ波紋を作ってしまったことに対し 
どれくらい発信者は
責任を負っているのか、
問題を提起しています。

記者達の倫理観に
歪みがないことを願いたいです。

メディアの怖さ、
誤報が悪意によって導かれ
無意識に真実から遠ざかるよう
方向づけられたとしたら
不安になります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする