花ごよみ

映画、本、写真など・

黒牢城  米澤穂信

2022-01-19 | 本 ま、や行(作家)


黒牢城 (角川書店単行本)

信長に謀反した摂津守
荒木村重が有岡城に籠城。

敗色が迫り重い空気が漂う
城内で起こる不可解な事件。

有岡城主・荒木村重は、
織田方使者として来た
黒田官兵衛を有岡城に幽閉。

村重は地下牢へ降りて行って
土牢に閉じ込められた
黒田官兵衛に事件の推理を委ねる。

ラストの竹中半兵衛の判断。
黒田官兵衛の息子の
松壽丸(黒田長政)も登場。

過去の大河ドラマの影響で
どうしても官兵衛が岡田准一、
荒木村重は田中哲司がちらつきます。

戦国時代の歴史小説のミステリー、
読み応えのある小説でした。

今日、この作品が直木賞に選ばれました。
これから図書館で
借りにくくなるかもしれないので
早く読んでいてよかった。

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カケラ   湊かなえ

2021-08-30 | 本 ま、や行(作家)

カケラ (集英社文芸単行本)

主人公は美容外科医の久乃。

各章ごと、事件に関係した人が、
久乃のところに訪れ、
その人物の独白で物語が進んでいきます。

登場人物の相関がつかみにくく
あまり盛り上がりもなくて、
読み進めるのがしんどくなってきました。

6章になってやっと方向が見えた感じ。

ドーナツに囲まれ自殺した
女子高生の真実が明かされていきます。

その人の考え方、ものの見方によって、
真実が変わっていき、
本当はなにかが分からなくなくなる。

優しさとその奥に潜む悪意、
心が歪んだ人たちが多く、
人の残酷さ傲慢さに、
気分が重くなってきます。

湊かなえらしさが
いっぱい詰まった作品。
やりきれない気持ちが残りました。
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さよならの儀式   宮部みゆき

2020-05-19 | 本 ま、や行(作家)

さよならの儀式

8編の短編からなる作品。

「母の法律」
母の法律「マザー法」。
虐待を受ける子供とその親を救済。
記憶沈殿装置で記憶操作、
それでも救えない家族。

「戦闘員」
孤独な老人が
防犯カメラの
侵略者の影に気付く。

「わたしとワタシ」
45歳のわたしと、
30年前のワタシとの出会い。

「さよならの儀式」
一緒に暮らしてきた
仲良しロボットの廃棄処分、
ロボットとの別離。

「星に願いを」
漂着した宇宙人が妹に入り込む。

「聖痕」
ネット上での少年Aは、
特別の存在に。
遺伝子上の父が息子を調査。

「海神の裔」
日本の小さな村に、
「屍者」のトムさんがやってきた。

「保安官の明日」
保安官の再生。


それぞれのさよなら、心の変化...
宮部みゆきの感性、
らしさが見え隠れする
不思議な作品でした。
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検事の死命  柚月裕子

2020-02-23 | 本 ま、や行(作家)

検事の死命 (角川文庫)

佐方貞人シリーズ。

検事の死命は4話からなる作品。

第一話は「心を掬う」
佐方が郵便物の紛失事件から真相を導く。

第二話は、「業をおろす」
佐方の父親が自ら示談や、
執行猶予を放棄し
刑務所行きを選択。
佐方の父・陽世の業もおろせて
過去の事件の真実も明らかに。

第三話「死命を賭ける」と
第四話は「死命を決する」は
連作になっています。
佐方が死命を賭けた法廷劇。


「罪はまっとうに裁かれなければならない」
という志のためにだけ
権力、圧力に屈せず仕事をこなし
真実を追求する姿勢。
応援したくなります。
緊張感もあって
読みごたえがありました。

ドラマでは上川隆也主演で
シリーズ化されています。


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影踏み  横山 秀夫

2019-12-21 | 本 ま、や行(作家)

影踏み (祥伝社文庫)

弟の声が真壁修一には聞こえる。

今は亡き双子の弟、啓二との会話。

物語は真壁の出所から始まっていきます。

真壁は人間味豊かなノビ師。
ノビ師とは人が寝静まった深夜、
住宅に忍び込んで
現金を盗む侵入盗。

ダークヒーローです。

母親の放火で父母と双子の弟(啓ニ)を
失くしてしまった修一。

過去のトラウマを抱えながら
ノビ師として生きていく。
そしてノビ師の技術が
事件の真相を解明してく。

かつて弟も好きだった、
今は保母の久子、
同じ人を好きになる、
双子ってつらいです。
久子との関係がじれったいです。
ノビ師から足を洗い
久子との穏やかな暮らしを望みたいです。

映画化されました。
映画も見ました。
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落日 湊かなえ

2019-12-19 | 本 ま、や行(作家)

落日

映画監督の香から、
新作映画についての
問い合わせを受けた脚本家の千尋。

15年前の『笹塚町一家殺害事件』
高校生の妹、沙良を殺害、
放火により両親も死。

すでに判決も確定。
そんな事件をテーマにして
映画を作りたいとの相談。

笹塚町が故郷だった千尋。

兄に殺害された立石沙良。
香の生い立ちの重さ。

千尋の姉と力輝斗(沙良の兄)との関係。
力輝斗と香。香と千尋、
真実が徐々に明らかになるにつれ
お互いが関わりをもち、
登場人物がつながっていきます。

あり得ないほどのつながりに
うまくいきすぎの感が...
でもとにかく心は落ち着きました。

直木賞候補になりました。
返却日が迫っていて
一旦返却すると30人ほど
待たないといけないことが
分かったので返却日前日、
1日で読み終えました。
コメント (2)
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犯罪小説集  吉田 修一

2019-04-04 | 本 ま、や行(作家)

犯罪小説集 (角川文庫)

5編の短編集。
普通の人間が、
何かの機会に人生が狂ってしまい
堕ちていく様を描いています。

全ての物語が、救いもなく
重苦しい気持ちが残ります。

人の心の闇の部分を
リアルに描き出します。
心を病み、追い込まれて、
犯罪者となっていく過程が哀しいです。

「青田Y字路」と「万屋善次郎」は
淡泊とも言える、
作家の描き方が
余計に怖さを増幅させ
印象に残りました。

映画化を知り読みました。
映画では「青田Y字路」と「万屋善次郎」を
組み合わせた物語だそうです。
綾野剛、佐藤浩市が出演。
(楽園)というタイトルで
2019年秋に公開ということです。

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昨日がなければ明日もない  宮部 みゆき 

2019-03-10 | 本 ま、や行(作家)

昨日がなければ明日もない

「希望荘」以来2年ぶりとなる
杉村三郎シリーズ第5作目の作品。
3つの中篇からなります。

テーマは「杉村vs.〝ちょっと困った〟女たち」
いつもながら読みやすい物語でした。

「絶対零度」
連絡が付かない娘の安否が知りたいという
母親からの依頼。
娘の夫と夫が逆らえない
ホッケー部の先輩たちの闇。

「華燭」
結婚式に出席する女子高校生の付き添いの依頼。
同フロアで行われる、
2件の結婚式がキャンセル。

「昨日がなければ明日もない」
表題作。
親権を手放した息子が交通事故に。
その慰謝料をもらいたい、
自己中シングルマザーの依頼。

杉村三郎の心に翳りをもたらす依頼が悲しいです。
帯にある「杉村vs.〝ちょっと困った〟女たち」
ちょっとどころが、
たちの悪すぎる人達が登場。

探偵という仕事を進めていく結果、
明かされる真実。
そして重苦しい結末。
彼のまっすぐな心が切なく
読後感はかなり悪いです。

不愉快な人間達の中で
ほんわかとした大家さん一家が救いです。
コメント (2)
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熱帯  森見登美彦

2019-03-10 | 本 ま、や行(作家)

熱帯

「沈黙読書会」に誘われ知る
『熱帯』という本の存在。

「沈黙読書会」のメンバーの
誰もが読んでいても、
未だ読み終えることができない
謎の本「熱帯」を巡る物語。

吉田山かいわいの光景など
京都の描写はリアルで
情景が浮かんできます。

物語が進むに連れ
登場する語り手が変わっていき、
時代も場所も変わっていき、
物語の行き着き先が
分からなくなってきます。

本の中ので迷子になったような‥
不思議な世界観の物語でした。

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スケルトンキー 道尾秀介

2019-01-12 | 本 ま、や行(作家)

スケルトン・キー

施設で育った錠也が主人公の物語のはずが…
物語の中頃に明かされた本当の主人公。

ラスト近い辺りから急展開。

ちりばめられた伏線、
登場人物の関係も
うまく作られ過ぎのような感じが…

必要以上に人が亡くなるし、
冷酷なサイコパスが多く登場する暗い話。

間戸村さんと、
園長にほっとしました。
サイコパスを自覚し、
自分をセーブするため
危険な仕事に就く
錠也の心が痛ましいです。

ラストに少しだけ明かりが見えました。
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