裁く権利は誰にあるのか?
蹂躙され無残にも、
死に至った愛娘への復讐の為、
犯人を追いかける父親。
人間性のかけらさえもない未成年の犯人。
どうにもならない世の中の不条理に対して、
父親のとった敵討ちという行動。
感情的には共感もする。
でも、その行為は法律的には当然認められない。
じゃ父親はどうすればいいのか?
どうすれば心の平穏をつかむことが出来るのか?
答えはきっと出て来ない。
少年法の壁は加害者を守る。
全ての法は被害者に冷酷。
深く重い物語です。
暗すぎるけど…。
でも、引き込まれてしまいます。
暗く沈んだ父親の心に、
ペンションの女性との交流のみが、
破滅の中にいて救いのないこの父親に、
わずかにでも心の癒しを与えている。
予想を裏切るラスト。
この物語の結末はこのラスト以外に、
納得のいく解決方法はないのかも知れません。
NHKでドラマ化された真保裕一の(繋がれた明日)では
刑の終了が罪の償いか?
というのを(さまよう刃)とは違う立場から
問題提起しようとしていました。
少年法によって守られた犯人に対して、
復讐を考える親 。
その犯人を親から遮断しようとする警察 。
刑事達の心の葛藤。
正義って一体何?
考えさせられる物語でした。