goo blog サービス終了のお知らせ 

花ごよみ

映画、本、写真など・

楽園のカンヴァス  原田マハ

2013-07-14 | 本 な、は行(作家)


楽園のカンヴァス

アンリ・ルソーの代表作「夢」
その作品に酷似している「夢をみた」。

「夢をみた」の真贋を探るため
ルソーの研究者である、
ティムと織絵の2人が
その鑑定を求められる。
所有者が指定した鑑定条件。
それはルソーにまつわる物語を読むこと。


ティム・ブラウン、織絵と同じように
ルソーが絵を描いていた当時に
思いを巡らすことが出来ました。

ルソー、ピカソ、
セザンヌ、エル・グレコなど、
ネットで画像を探しながら
読み進めて行きました。

ルソーの代表作、
神秘的な作品「夢」
遠近法も明暗法も無視し、
独特の世界を描くルソーの才能を見抜き、
その作品に高い評価をしたピカソ。

ジョゼフの、
ルソーを受け入れる愛と、
ジョセフの妻であって、
ルソーのモデルになった、
ヤドヴィガに対しての深い愛。

ルソーの研究者ティムと
織絵のとのいきさつ。

ルソーの絵に関わった人々の情熱と
永遠が込められた作品「夢」。

緊張感もあって
絵の世界に誘い込まれました。

時を超えたラストシーンもきれいで、
心地よい余韻が残る物語でした。




コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブルーマーダー  誉田 哲也

2013-06-24 | 本 な、は行(作家)


ブルーマーダー

「インビジブル・レイン」で
警視庁捜査一課を追われた、
姫川玲子。

姫川班解散後、
池袋署の強行犯捜査係長に。

この作者特有の、
いつもおなじみのグロさ。
あまりにきついので、
残忍なシーンはなるべく
思い浮かべない様にして読みました。

今回は池袋周辺で起こった事件、
裏社会を震撼させた男
「ブルーマーダー」の捜査。

彼の犯行動機は何だったのか?
絶望だけでそこまでするか?
という感じで
ちょっと違和感が…
とにかくむなしすぎます。

ガンテツも登場、
いっしょに組みます。

姫川班復活はあるのかな。
期待したいです。

菊田の状況変化は、
びっくりしましたが
ラストでの菊田救出などで
姫川と菊田、
お互いの心が
交差してよかったです。
病室のシーンで泣けました。
姫川の思いが
やるせなかったです。






コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

海賊と呼ばれた男  百田尚樹

2013-04-18 | 本 な、は行(作家)

海賊とよばれた男 上 海賊とよばれた男 下

出光興産の創始者、
戦後日本の産業を支えた功労者である、
出光佐三という男の伝記的小説。
この本では「国岡鐵造」という名で、
描かれています。

まず、序章があって
第一章「朱夏」昭和20年~昭和22年
第二章「青春」明治18年~昭和20年
第三章「白秋」昭和22年~昭和28年
第四章「玄冬」昭和28年~昭和49年
時系列からいうと
第二章が先で、
第一章が後になっています。

国の命運を握っているのは石油、
ということで
敗戦後、困難の中、石油に着目した国岡鐵造。

石油を平和のために使う、
それが国岡商店の使命という信念を抱き、
人間としての魅力溢れる経営者、
国岡鐵造の壮絶な一生。

国岡商店では出勤簿なし、
定年なし馘首もなし、
店の者はみな家族という会社。
この小説の中の登場人物は
すべて実在した人物ということです。

「七人の魔女」と呼ばれる、
国際石油メジャーと
大英帝国に立ち向かい、
世界を驚かすことになっった
「日章丸」というタンカーのことなど
歴史的事実に基づき描かれているようです。

ドラマティックでテンポも速く、
文章も読みやすい小説でした。

熱い志と固い信念、
豊かな人間性、
無条件で資金を出してくれた、
日田氏をはじめ武知、東雲、正明、新田船長等
彼に惹かれ集う人たちも、
国岡鐵造と同じく、
苦難、挫折にも心が折れない
熱い思いをもった男達。
国岡の周囲の人たちも、
素晴らしい人たち。

会社が守った社員
自分も国岡商店の社員のように
国岡商店のなりゆきにドキドキしながら
読み進めて行きました。
いい結果を見ると
うれしい気持ちになります。

国岡鐵造の器の大きさ、
日本、店員、消費者のため
熱い信念と愛を持ち、
困難に堂々と立ち向かう勇ましい姿勢に、
引き込まれてしまいました。







コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

虚像の道化師 ガリレオ 7 東野圭吾

2013-02-24 | 本 な、は行(作家)


虚像の道化師 ガリレオ 7

「ガリレオシリーズ」の短編集。
4編から成り立っています。

第一話「幻惑す(まどわす)」
道場から転落した新興宗教の信者の男。
男が勝手に窓から飛び降りたと、
その場にいた者たちが証言。

教祖はその男に対して、
指も触れることなく、
念力で男を転落させてしまったと自首。
教祖の念力は本物か?
それともトリックなのか?
湯川が科学的にそれを見破る。

第二話「心聴る(きこえる)」
逮捕された男の供述。
幻聴のせいなのか?
幻聴の正体は?
すっきりしない事件の真相に迫ります。

第三話「偽装う(よそおう)」
ガリレオの優しさが感じられる話。
込み入った家族関係。
密室で行われた偽装された犯行に、
湯川が迫ります。

第四話「演技る(えんじる)」
凶器は芝居で使おうとしていたナイフ。
劇団の関係者にはアリバイが‥

物理学者、湯川は福山雅治、
このイメージが頭から抜けません。

全編を通し、心の迷いや、
犯罪に至るまでの動機など、
いまいち深さがなく、
なにかもう一つもの足りなく思ってしまいます。
やっぱり短編と言うことで、
仕方がないのでしょうね。

でも湯川の推理が冴える4作、
4作それぞれ楽しむことはできました。





コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

少女不十分  西尾維新

2013-01-10 | 本 な、は行(作家)

少女不十分 (講談社ノベルス)

読み始めてすぐ、
作者の長々と続く、
回りくどい文章に
なんだか変わった小説だなと感じました。

登場人物は作家と少女U。

希薄な感情を持ち、
異常な行動をする少女U。
変人と自覚し偏った行動をする作家。

作家のトラウマとなった過去の出来事。
物語造りの基礎となった特別な出来事。

ある交通事故を目撃したことを端緒に
少女Uに監禁され、飼われる日々。

その少女の異常さには原因があって
納得した時には、
別に異常ではなかったのではと。

読み進めていくと不思議な少女とは
認められなくなり、
現実的にも充分あり得るのではないかと。

人為的に違った価値観を、
形成されてしまったこの少女、
決して(少女不十分)ではなく
別の視点から見ると、
不幸にも完璧な少女(少女十分)に、
なってしまったのです。

後半になってからは面白く、
この小説の世界に
引き込まれてしまいました。

読み終えてしばらくすると、
記憶が薄れていく小説が多い中で
自分の中では印象に残る小説となるでしょう。
とても楽しむことが出来ました。
読後感も良かったです。

このようなことをしてしまった
この少女が可愛そうな、
気分になってしまいます。

少女Uがどうにかして過去を乗り越えて
幸せな普通の人生を送れますようにと、
願ってしまいました。
表紙の少女も可愛いです。





コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いつか陽のあたる場所で 乃南 アサ

2013-01-06 | 本 な、は行(作家)

いつか陽のあたる場所で (新潮文庫)

小森谷芭子と江口綾香、
芭子29歳、綾香41歳。

刑務所で服役をしていたという
わけありの苦く暗い
過去を持つ二人。

他人には絶対知られたくない過去ゆえ
緊張から逃れられない二人は、
身を潜めるようにして、
下町の谷中で生活をしている。

マッサージルームで、
受付の仕事をしている芭子、
新しい人生を歩んで行きたくても、
心の中に壁を作ってしまい、
人との交流を避けてしまう。

パン屋で働く綾香、
自分の店をいつか
持ってみたいと願う彼女は
一歩足を進めだしたが…

性格も年も違っていても
二人の友情は強く、
お互い相手のことを、
気遣いながら生きている。

罪を償った後も、
過去の受刑を人に知られたら
これからの人生の道に、
シャッターを下ろされ、
前へは進めない世の中の厳しさ。

家族に絶縁された芭子、
綾香の罪の痛みなど
重い現実はあっても心の灯りを失わず
二人が励まし合い、
現実を乗り越えて行くのを
期待したい気持ちになりました。

タイトルの様に、
いつか陽のあたる場所で
それぞれこれからの、
新らしい人生を歩んで欲しい。

ドラマ化されました。
HPはこちらです。
1月8日からNHKで、
上戸彩と飯島直子の
W主演で放送されます。






コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

禁断の魔術 ガリレオ8 東野 圭吾

2012-12-04 | 本 な、は行(作家)

禁断の魔術 ガリレオ8

「透視す」(みとうす)「曲球る」(まがる)
「念波る」(おくる)の短編3編と、
「猛射つ」(うつ)の中編1編の、
計4編で構成。

「透視す」(みとうす)
透視とは超能力?
それとも手品?
継母と娘の関係。

「曲球る」(まがる)
戦力外通告を受けたプロ野球の投手
彼の妻の愛の深さが心に響く。

「念波る」(おくる)
双子の姉妹。
双子のテレパシーについて
調べた結果は…

「猛射つ」(うつ)
フリーライターが命を奪われた理由。
姉の復讐に突き進む弟。
彼の企てた計画とは?

4編の中でも特に印象に残ったのは、
最後のこの「猛射つ」

この編だけは他の短編とは違い
ページ数も多く、
中編になっています。

姉の生命を奪った者に対し
弟である古芝伸吾の復讐。

古芝伸吾の行動に、
心を痛める湯川。

湯川は自分が教えた、
科学技術の誤用に胸を痛めていた。

古芝伸吾を救うために、
湯川がとった心打つ行為。

科学技術によって
人間の生命を脅かすことは許せない。
伸吾の亡き父の言葉を、
伸吾に告げる湯川の姿に
ジンときました。

草薙との関係も、
そこに絡んでくる薫も含めて、
いい感じに描かれていました。

湯川の、科学者として、
人間としての責任からの行動が、
心に残りました。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナミヤ雑貨店の奇蹟 東野 圭吾

2012-11-10 | 本 な、は行(作家)


ナミヤ雑貨店の奇蹟

ナミヤ雑貨店は、
どんな悩みにも応えてくれる、
不思議な雑貨店。

郵便口と牛乳箱を使い、
悩みの相談を請け負っている。

その雑貨店から
児童擁護施設「丸光園」と、
関係した人達の繋がりが見えてきます。

第一章 回答は牛乳箱に
第二章 夜更けにハーモニカを
第三章 シビックで朝まで
第四章 黙祷はビートルズで
第五章 空の上から祈りを
以上 短編5編の連作。

現在、過去、未来と、
時空を超えた連携が成されたストーリー。

相談内容についての回答が、
過去と未来の関連性を見越し、
とてもいい具合に展開されていました。

登場人物達は全て、
児童養護施設丸光園と関連しながら
雑貨店から始まり、
分岐、交差しながら
物語は進められていきます。

読後感もいい感じで、
優しいベールに包まれているかのよう。
東野 圭吾 にしては温かいのです。
ラストへと向かう
収束の仕方もよかったです。





コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あなたが愛した記憶  誉田 哲也

2012-10-11 | 本 な、は行(作家)

あなたが愛した記憶

この作者独特の毎度の残虐な表現、
不気味な空気が充満の冒頭。

民代と彩奈とのジャングルジムのシーン辺りから
一気に本の世界に入り込んでしまいます。

読み進めていくうちに謎が一つ一つ解明。
最後にはうまくつながっていきます。

ラストから戻ってプロローグを読むと納得。

結末の曾根崎の心にはつらさがありましたが
また救いも見えてきます。

記憶と人格の継承が子に、
悪の人格の引き継ぎが
起こってしまうなんて…

特別な遺伝子がなせる作用に、
翻弄される登場人物達。

魂が乗り移ったもう一つの存在、
二人で共有することは不可能で
もう一つの肉体は処分。

…な~んてあり得ない世界ですが
読んでいる途中はあまり気になりません。

発想はおもしろいものがありました。
でもこの本の不気味さは、
結構後を引きます。






コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カッコウの卵は誰のもの  東野 圭吾

2012-09-06 | 本 な、は行(作家)


カッコウの卵は誰のもの

父親はスキーの元日本代表、
彼には同じスキーヤーである、
風美という娘がいる。

彼女の母親、智代は、
風美が2歳になる前に
自ら命を断っていた。

父親である緋田は風美の母、
智代の遺品から、
風美の出生の秘密を知ってしまう。

そんななかスポーツ医学的研究の見地から、
緋田父子の遺伝子パターンを、
調べたいとの要請が来る。
そして風美への脅迫状が…

娘の出生の秘密が明かされることは
どうしても避けたい父親。
そして娘の幸せを何より望む父親。
親子の絆の危機にどう立ち向かうのか。

どんな結末が待っているのか
早く先を読みたい気持ちになります。

色々な疑念も払拭されていき
なるほどそういうことかと
ラストは霧が晴れた様な感じです。

人の行動パターンとして、
そんなことまでするのかな?
という点もありましたが…

東野圭吾の作品だから、
激似の人という文字に「分身」のように、
もしかして親子じゃなくて
クローン?
なんて思ってしまいました。

あっ、こちらの表紙、卵!!

この作品結局、
心の弱い人はいても
悪い人は登場しませんでした。
それだけに切なさが残る
物語でした。




コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする