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花ごよみ

映画、本、写真など・

俺俺 星野 智幸

2012-08-18 | 本 な、は行(作家)

俺俺

最初、オレオレ詐欺の物語かな?
と思いながら読み始めました。

たしかに、偶然携帯を拾った自分が、
「俺」じゃないと感じる『俺』の、
振り込め詐欺から、
この物語は始まりますが…
(書いていることがよく分からないと思います)

個の「俺」が、実は絶対的な俺でなく、
存在感の薄い「俺俺」。

最初は互いのために、
存在していたような俺等三人、
穏やかな境地で開放感の中にいる俺等、
分かり合えた俺等から、
「俺」の増殖が起こる。

そして増殖の結果の「俺山」の崩壊。
俺達は破綻し、
俺達の消去に至る。

空虚な存在の俺は、
もう自分が俺か、
俺俺か判別できなくなってしまい
無秩序になった世界を彷徨する。

テーマの思いつきは斬新で奇抜。
怖ろしくも不思議な感覚の小説です。

人生の意義も探せない絶望的な状況で、
あるはずのない世界を描いています。

この世はみんな画一的な俺俺、
…というのもまた
あり得るかとも思えますが…

無個性な人間社会、
現代に生きる人間の、
取り替え可能な社会を、
描いているのだけど…

物語としては中頃から、
一本調子の感がしてきて、
収まりがつかなくなってきたように感じ、
だんだん読み進めるのが
 きつくなってきました。

亀梨和也主演で映画化でされるそうです。
こんな現実離れした不思議な世界、
どう映画化されるのかな?

 


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ヒトリシズカ 誉田 哲也

2012-07-25 | 本 な、は行(作家)


ヒトリシズカ (双葉文庫)

「ジウ」「ストロベリーナイト」の、
誉田 哲也 の連作警察小説。

全く違う5つの事件が発生。
その5つの事件、
全てに現れる幻のような、
シズカという少女の影。
彼女の幻影が5つの短編を繋ぎます。

5つの短編に見え隠れする
一人の謎めいた少女、伊東静加。
この少女の目的とは?

警察は事件の謎に、
辿り着くことができるのか?

「闇一重(やみひとえ)」
「蛍蜘蛛(ほたるぐも)」
「腐屍蝶(ふしちょう)」
「罪時雨(つみしぐれ)」
「死舞盃(しまいさかずき)」
「独静加(ひとりしずか)」
これらのタイトルの短編からなる連作小説。

5編の短編がつながっていき、
最終章「独静加(ひとりしずか)」で、
恐るべき少女の、
またもう一つの意外な素顔と謎が
明らかにされます。

静加に対しての心理描写が少ないので
静加のあやうい存在感が余計に増し、
ミステリアスさが高まります。

今秋、WOWOWの「連続ドラマW」枠で、
ドラマ化されることを知りました。
哀しくて凶悪な少女、静加を、
誰がを演じるのか、
ドラマの配役、気になります。




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インビジブルレイン 誉田 哲也

2012-06-30 | 本 な、は行(作家)

インビジブルレイン

姫川玲子シリーズ

「柳井健斗」という名が、
捜査線上に出現しても、
捜査をしてはいけないという
上層部からの不思議な指示。

一連の事件の陰にあるのは九年前の事件。
その事件の背後に潜む暗い出来事。

警察のダメージ回避のため、
隠蔽されようとしている真実。

その事件に今回は、
姫川の恋が絡んできます。
姫川の相手はなんとやくざ!!

姫川と牧田という名のヤクザの
恋愛物語が主になっていました。

ヤクザ組織の話は込み入っていて
よく分からず流し読み。

今回、姫川班、それに菊田は、
あまり表に出てこず、
姫川の単独捜査が進んで行きます。

この物語、ドラマ「ストロベリーナイト」の、
映画版として、
制作されるということです。
姫川が恋する男、牧田役には、
大沢たかおがキャスティングされています。






 
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アゲイン (浜口 倫太郎)

2012-06-21 | 本 な、は行(作家)


アゲイン

今は亡き「おとん」はかつて漫才師だった。
父と同じ道を歩み,
ピン芸人として生きる戸田雄貴。

大阪、難破のFLAT劇場で
同期の若手芸人達と、
競い合う日常を送っている雄貴。

ある日、雄貴の住む所に、
異父妹の楓が訪れる。

なかなか芽が出ないピン芸人の兄と、
事情があって6年ぶりに会い、
いっしょに生活することになった、
小学生の妹、楓。
楓は大阪の小学校では、
みんなになじめない優等生。

そんな中、あこがれのカリスマ芸人、
保坂から大阪で映画制作という話が…
その映画の主役になる人物を、
芸人の中から選抜するという。

「お笑い」によって、、
楓の頑なになっていた心も変化、
芸人への偏見もなくなり
兄と妹、二人の絆が培われていきます。

個性たっぷりの登場人物達。
彼らの温かさ、
人と人との結びつき、
笑いが全編に散りばめてあって
楽しく読むことが出来ました。

読みやすく魅力を感じるストーリー。
いい物語でした。
戸田雄貴のこれからを、
知りたくなります。


第5回ポプラ社小説大賞特別賞受賞作




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傍聞き  長岡 弘樹

2012-05-31 | 本 な、は行(作家)


傍聞き (双葉文庫)

4つの短編からなる作品。

「迷走」は救急隊員、
「傍聞き」は刑事、
「899」は消防士、
「迷い箱」は更生保護施設の施設長、
短編全てが人を相手とした職業の人達が、
主人公になっています。

主人公達が関係する事件は、
他のミステリー小説に、
見受けられるような刑事物、
推理ものとはちょっとばかり、
雰囲気が違っていました。

業務上、遭遇した事柄に関する疑問が、
短編終了間際に解明される、
ということになっています。

謎だった行動の意外な意味が、
明かされるのです。

作品は全体的に静かな印象を受け、
また読みやい作品でした。

各場面に関しては、
むりやりって感もありますが
人の心の隅にある思いやり、
優しさが浮き彫りになっています。

辛い現実に対して、
温もりのある眼差しを感じられ
ほっとする読後感でした。


表題作「傍聞き」は、
2008年度日本推理作家協会賞短編部門受賞。





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贖罪の奏鳴曲  中山 七里

2012-05-10 | 本 な、は行(作家)


贖罪の奏鳴曲

重い罪を犯した過去を持つ、
弁護士御子柴が主人公。

御子柴の犯罪をにおわす冒頭。
追う警察。
明らかにされる御子柴の罪深い過去。

御子柴が手がけた保険金事件。
読み応えのある裁判シーンでした。

伏線はあっても気づかず
後になってなるほどと言う感じ。

この本は犯罪小説で、
悪徳弁護士、御子柴が
警察に追い詰められていく
ストーリーなのかなと思いながら
読み始めた本。

作者にうまくはめられました。
終わり近くになると、
最初読んだ暗い感じと、
全く違った雰囲気を
漂わせる不思議な作品でした。

読んでいる途中は
本のタイトルは忘れていました。

読み終えてから表紙を見て、
贖罪の奏鳴曲 というタイトルに、
なるほどと思いました。

金に汚いと言われながらも、
国選弁護人を引き受ける謎。

御子柴の償いがテーマだったんです。

帯には「どんでん返しが止まらない!」と
ありました。

ラストまで気を抜けない
展開になっていました。





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真夏の方程式 東野圭吾

2012-03-18 | 本 な、は行(作家)

真夏の方程式

夏休みに、伯母一家経営の、
美しい海辺の町に立つ旅館で、
過ごすことになった、
小学校5年生の少年、恭平。

仕事のため訪れた湯川も、
同じくその宿に宿泊。

もう1人いた宿泊客が、
翌朝、命を落としていた。

彼は元刑事だった。
これは事件か事故か?

彼がこの町に来た理由は?
湯川はなにに気づいたのか?

湯川博士登場の長編ガリレオシリーズ。


過去に犯してしまった罪を償わず
その秘密を覆い隠すため
また罪を重ねる。

加害者は何もなかったように生きている。

過去の事件と現在の事件との関連性。

罪のない善良な被害者である元刑事、
被害者、遺族は気の毒過ぎます。
このまま事件を事故のままで
終わらせていいのでしょうか?

事実を明らかにしないというのは
疑問に感じました。

過去の事件に対する、
旅館の娘である成美の行動も、
いまいちはっきりしなくて
共感には至りませんでした。

恭平はこれからの人生、
耐えられないほどの重荷を背負って、
生きていくことになります。

秘密を守りたいという理由だけで
大人達のしでかした行為は
許されないと思います。

恭平を見る湯川の、
温もりのある目が救いでした。




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マスカレード・ホテル  東野圭吾

2012-03-03 | 本 な、は行(作家)


マスカレード・ホテル

舞台はホテル。
連続して起こった不可解な事件。

次回の犯行現場と推論されたのは、
超一流ホテル、
コルテシア東京。

主人公はホテルマンに化けて
潜入捜査をするように命じられた、
刑事の新田浩介と、
コルテシア東京に勤務する、
優秀なフロントクラークで、
新田の教育係となった山岸尚美。

犯行を事前に阻止するため
協力体制をとる、
刑事の新田とホテル側の山岸尚美。

職業柄、疑いの心とおもてなしの心という
人に対して対照的な心と見方を持つ二人。

はじめは対立していた二人の心が
協力して手がかりを探し、
事件解決を目指していくうちに
徐々に接近していく。


それぞれの部署で働く人、
客としてホテルに来る人、
ホテル側のトラブル対応の仕方など
ホテルの内面も興味深く
覗くことができました。

新田浩介とコンビを組む、
所轄の刑事の能勢さん、
味わいのある人柄でいい感じです。

犯人は予想外の人で、
それぞれの事件の関連性も
動機も少し弱い…かな?

あっさりとした印象を持つ作品で、
感動、驚きといったものは、
心には起こらないですが
とても読みやすく、
結構楽しむことができました。



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プリズム  百田 尚樹

2012-02-24 | 本 な、は行(作家)


プリズム

図書館から借りてきた2冊の本、
プラチナデーターとプリズム)
どちらも解離性同一性障害がテーマ。

偶然にも同じ題材を扱った物語を、
2冊続けて読むことになってしまいました。

聡子という名の既婚女性が主人公。

彼女は岩本家に家庭教師として通うことになる。
ある日、その屋敷の庭で、ある青年に出会う。

出会うごとに変化する、
その青年の人格にとまどう聡子。

彼の過去と明かされた秘密を知りながらも
次第にその青年に惹かれていく。

でもその青年は実在しない人物だった。
私の前にいるあなたは一体誰?

聡子が会ってしまった青年は
「解離性同一性障害」という名の
病気を持っていた。

聡子は「解離性同一性障害」の、
多重人格の中の一つの
交代人格を持つ青年、
卓也に惹かれていきます。

幼い頃のひどい虐待が原因で、
解離性同一性障害になってしまった広志、
そこから分離した人格を持つ卓也。

存在しない人物である卓也に恋した聡子。
幻に恋してしまったような…

広志という人物からプリズムを通過して
一人、一人違う性格を持つ人格が
彼自身を乗っ取り
くるくる変化していくのです。

村田卓也、岩本広志、宮本純也、
タケシ、精一…
聡子は今、誰が現れているのか
分かるようになります。

この複数の姓と名前って、
広志が勝手に名付けたのかな?
ちょっと不思議に思いました。

広志に対して早く治癒して欲しいと、
思いながら読んでいました。
それなのに…
卓也と離れたくないという理由で、
広志の人格統合を拒否し
卓也との刹那的な愛に生きようとする
身勝手で自意識過剰気味の
聡子の行動には共感できませんでした。





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プラチナデータ 東野 圭吾

2012-02-19 | 本 な、は行(作家)


プラチナデーター

DNA捜査が行われることになった近未来、
犯罪に巻き込まれることになった
警視庁特殊捜査機関の科学者、
その科学者を追う刑事。

面白かったです。
追跡する側、逃げる側、
けっこう緊張感があって
先が気になって読むのを
止められません。

図書館で借りてきて
その日のうちに読んでしまいました。

テーマはDNA鑑定と二重人格。
DNA鑑定により管理され、
犯人の検挙率が上がるようになった社会。

しかし、ある事件については
「NOT FOUND」との
検索結果が…

主人公は逃げ延びて
事件はぜひ解決して欲しいと
願いながら読み進めていました。

でも登場人物にしてもなんか、
深く掘り下げたというのでもなく、
どこか物足りない気持ちが残りました。

さっと軽く読めたって感じです。

でも、2回書きますが
面白かったのは確かです。

神楽とリュウ、
二人の人格、いつか
融合できるのかな?

逃げる人、二宮和也、
追う人、 豊川 悦司で
映画化されるそうです。



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