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花ごよみ

映画、本、写真など・

神去なあなあ夜話 三浦しをん

2014-03-05 | 本 ま、や行(作家)

神去なあなあ夜話

「神去なあなあ日常」の続編
今回もほのぼのとした話が
詰まっています。

勇気の神去村の生活も、
少しは余裕が感じられるように
なってきました。
神去村の空気に
なじんできたようで
うれしくなります。

生活に溶けこんだファンタジー、
不思議な伝え話…
神去村の人々がまとう
ゆるゆるの空気、
なあなあの日常もまたいいものです。

神去村ののどかな風景が
目に浮かんで来るように
描かれています。
風景描写も優れていました。

百年後の人たちの幸せを祈って
山の手入れをし続けることを、
勇気は知ります。
そしてその行為には、
愛と信頼が知らず知らず
すり込まれていることに気づきます。
勇気も成長しました。

繁ばあちゃん、
「まんじゅうみたい座っている」だけの
おばあちゃんだったはずなのに
今回はすごいです。
なんと勇気のパソコンに
勝手に触れて操作しています。
魅力たっぷりの繁ばあちゃんでした。

なあなあ日常~夜話とあまり日数を
経ることなしに読みました。
特にこの本はすぐに
読み終えてしまいました。

読後感もいいです。
人の温かさが心地よい物語でした。







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まほろ駅前狂騒曲  三浦しをん

2014-03-02 | 本 ま、や行(作家)


まほろ駅前狂騒曲

怪しい無農薬野菜販売団体、
岡の横中バス間引き運転に対しての
執拗な抗議、
はるちゃん預かり…
色々なことがごちゃ混ぜになって大騒ぎ。

まほろ駅前で起こった騒動。
タイトルのように狂騒曲。

今回も多田と行天、
この二人の
期待通りの活躍があります

はるちゃんがいつものメンバーに
プラスされたことで
ハラハラしたりほっこりしたり…
ほんと可愛いです。
多田さんの可愛がり方も笑いを誘います。
今回は愛らしいはるちゃんの、
存在が大きいです。

はるちゃんを中心にしたことで
多田と行天、二人の心の傷の
修復が成されます。

今作では二人の過去が明かされます。
つらい過去を乗り越えて
より深い理解、
結びつきが生じました。

多田の恋も進展があります。
二人のこれからの人生は
一歩前に歩み出した気がします。

優しさに覆われた
まったりとした雰囲気が好きです。

帯のバスジャック(?)には
びっくりしましたが
結構楽しいバスジャックでした。

まほろシリーズのこの作品
今回も面白かったです。





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神去なあなあ日常 三浦しをん

2014-02-21 | 本 ま、や行(作家)


神去なあなあ日常 (徳間文庫)

都会で生活していたが、
高校卒業後の就職に際して
横浜から神去村に送り込まれた勇気。

見習いとして林業に関わることになり
最初は慣れない仕事に戸惑います。

脱走を企てたり、
悪戦苦闘しながらも
山の生活に慣れていき、
成長していく物語です。

林業がテーマの小説で、
楽しくて心温まる話が
詰まっています。

主人公勇気が同居している、
林業の申し子の兄貴分のヨキ。
繁ばあちゃん達村の人々、
犬のノコまでが魅力的。
生きていく力を感じ取れるストーリーです。

魅力のある神去のそれぞれの四季。
神去村の日常のゆったりとした時の流れ
自然の厳しさ、
優しさが描かれていますが、
おまつりはかなり怖いです。
実際にあるのかな?

「なあなあ」という言葉も
のどかでいい言葉です。

テンポもいいので、
楽しく読むことができました。
爽やかな気分になります。

「神去なあなあ夜話」という
第二弾もあるようです。




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村上海賊の娘 上巻 下巻  和田竜

2014-02-13 | 本 ま、や行(作家)

 
村上海賊の娘 上巻 村上海賊の娘 下巻

瀬戸内海の海賊、
能島村上家の当主、
村上武吉の娘の景姫という架空の人物、
醜女といわれその上、大女。
彼女がこの物語のヒロイン。

織田軍が包囲した石山本願寺に
兵糧入れをしようとする、
毛利方の村上海賊と、
阻止しようとする織田側の泉州海賊との戦いを
描いています。

信長と一向宗の戦いである
第一次木津川口の戦いが
史実に基づき書かれています。

地元では醜女といわれる彼女は
真鍋七五三兵衛をはじめとして
泉州海賊にとってはかなりの美人、
別嬪さんと誉めたたえられます。

泉州の侍や紀州の傭兵。
鉄砲傭兵集団 「雑賀衆」の
伝説の鉄砲使い雑賀孫市も登場します。

木津川口で火花を散らす
村上海賊と真鍋海賊の長~い戦闘描写。
想像力の不足から、
戦いの様子を頭の中で
思い浮かべることができない
場面もありましたが…

景姫と七五三兵衛の戦いは
かなりの迫力。

敵方となる真鍋の海賊は
とても愉快に描かれていて、
魅力的な脇役になっています。
軽妙な泉州弁は
迫力ある戦闘場面の中で
いっとき気がゆるみます。

眞鍋道夢斎と乃美宗勝の会話シーンも
激しい戦いの中で
緊張感がほぐされるシーンでした。

景姫の弟の景親は
臆病者から勇者に成長します。

登場人物がそれぞれ個性的で
人物の数が多くても読んでいて
それほど頭が混乱するということはなかったです。

とにかく登場人物が、
生き生きと描かれ
それぞれの見せ場も盛られていて
楽しく読むことができました。








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史上最強の内閣  室積光

2013-12-09 | 本 ま、や行(作家)

史上最強の内閣 (小学館文庫)
室積 光

登場人物は実在の人物のパロディ、
面白い設定になっています。

個性的なキャラクター達、
彼等の行動はあり得そうです。

そして今の政治問題を、
皮肉をもって描いています。
現実感もあり、
メッセージ性もありました。

内閣は「二軍」であって
非常事態時には、
京都に控えている「一軍」の
影の内閣が登場。

影の内閣は、
明治から遡り戦国時代に至る、
歴史上の人物をモデルにしていて
名前からその人物を特定できます。

馬鹿馬鹿しいところもあり
こんなにパロディ化してしまって、
大丈夫なのかな、
許されるのかな、
という部分も見受けられますが
この作品に関しては
大丈夫なんでしょうね。

とにかくテンポがよく、
軽く読める小説でした。



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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上 春樹

2013-09-23 | 本 ま、や行(作家)

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色を持つ名前の友人達4名と
名前に色を持たない多崎つくる。

親密で調和のとれた関係を保っていた
友人4人から
唐突に絶縁を通告、
友人達との一体感から疎外され、
心に深い傷を負った「つくる」。

絶望の淵から歳月を経て
16年目に、友と再会。
そこで分かった理由と真実。

色を含む名前を持つ友人達。
カラフルな友人と
名前に色を持たない多崎つくる。

つくるの心の傷のかさぶたを
はがすための巡礼。
長~いタイトルですが、
意味はこういうことだったんです。

彼の心の中で進行するストーリー。

独特の文章表現と世界観。

読みやすくそして
理解しやすい文章でした。
分からない語も出てきますが
それはGoogle 音声検索で。

読み終えても、
灰田が消えた理由、
沙羅との関係など
解決されず残っています。
なにか物足りない気分は残りますが
そのことが余計に
ミステリアスさを滲ませて
印象に残る物語となりました。






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利休にたずねよ  山本 兼一

2013-09-18 | 本 ま、や行(作家)

利休にたずねよ (PHP文芸文庫)

利休の周囲にいる人々、
彼等の目に映った利休を綴りながら、
利休という人物の中枢に迫ります。

利休の周辺の人物、
過去の恋などを描きながら
利休の人となりを探っていきます

その手法は最後の日から遡り、
若い日までという、
独特の描き方で書き記しています。
後ろのページから
読み進めていくのも
またおもしろいかも。

茶道、美に命をそそぎ、
並はずれた審美眼を持つ利休。

侘びの精神の中にいても
人としての熱い心をもって、
美というものにこだわり
あまりに自我を押し通した故に
秀吉に受けいられなくなってしまう。

利休に対して現実的、
世俗的な秀吉。
永遠に交差することのない二人。

秀吉と対比することによって
利休の謎が解明されていき
利休の人物像が浮かび上がってきます。

市川海老蔵主演で映画化されます。
どんな映画になるのかな?



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愛に乱暴  吉田 修一

2013-08-20 | 本 ま、や行(作家)

愛に乱暴

この本の主人公である桃子、
不実な夫に対して、
彼女は本当に愛を持っていたのか?
それとも無意識に、
自分の過去を正当化したくて
単に夫に執着していただけなのか?

主人公、夫、義母…
登場人物全て
共感できる人物がいない。

不倫中の女性の日記、
彼女の普段の生活、
不倫をされている妻の日記、
というパターンで
進められて行きますが
読んでいる途中で、
なにか誤った方向に
進行しているんではないかと
気持ち悪さを感じてしまいます。

桃子が女と会う前日の、
わくわくして浮かれている様子など
まるで女性作家なのかと
思ってしまうほどのリアリティー。
揺れ動く桃子の心の闇の、
描き方が上手いです。

床下の穴とかチェインソーとか
理解不能な妻の行動、
何かが起こりそうな不安感、
緊張感も…

やったことはやり返される、
奪った夫をまた奪われるにしても
それほどの価値のない夫のために
異常をきたすほどの
危うい精神状態に
陥ってしまうなんて…
すっきりしない読後感。






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清須会議  三谷幸喜

2013-07-21 | 本 ま、や行(作家)


清須会議

時代は安土桃山、
本能寺の変、
織田信長がこの世から去り
清洲会議という、
織田氏の継嗣者選びと、
領地分配に関して行われた会議。

清須会議においての、
柴田勝家、羽柴秀吉、丹羽長秀、池田恒興等、
各自の心中を「現代語訳」して
読ませます。

「親父殿」柴田勝家の、
愚直さに対して
あまりにも軽すぎる秀吉、
織田家の後継者選びに関して、
勝家は信長の三男・織田信孝
秀吉は信長の嫡孫の信忠の嫡男、
三法師を擁立。

結果、秀吉は、
光秀討伐の功労者ということを前面に出し
後継者には三法師が決定。

秀吉は後見人としての地位を得、
彼の天下統一にとつながっていく。

織田家の兄弟達、
丹羽長秀、前田利家、池田恒興、黒田官兵衛
寧々、お市の方などが絡み合い
それぞれの思惑、裏工作などがつづられ
物語は進行していく。


歴史上の会議である清洲会議を
登場人物の言葉で、
ユーモアを加えてふくらませ
心の動き、時の推移を描いています。
それも現代語訳で。
なのでとっても分かりやすく読めます。

柴田勝家、羽柴秀吉、
両人の想い人である、
お市の方の悪女っぷり。

信長の次男、織田信雄の
リアルうつけって、
信雄にぴったりの言葉。
信長はうつけを装っていたけど
織田信雄はうつけそのものでリアルうつけ。

彼等の心の裏側って
本当にこんな感じだったんじゃないかなと、
憶測できて登場人物達の、
興味がふくらみます。

映画化されます。

キャスティングも豪華!!






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さよなら渓谷  吉田 修一

2013-06-20 | 本 ま、や行(作家)

さよなら渓谷 (新潮文庫)

事件があった家、
その隣に住む男女の物語。

予想していた物語の進行とは
違う方向に進んでいきました。

過去の事件のせいで
一生消えることのない、
不幸の重みを背負った、
二人の心の動向がうまく描かれていて
リアルさを感じました。

消えることのない暗い過去、
生涯、癒されることのない、
深い心の傷。

この先、ずっと罪悪感と、
心の葛藤を抱えながら
二人は生きて行かなければならない。

二人の行動は深い意味を持ち
理解できるものでした。

二人だけにしか存在しない
不思議でゆがんだ共存関係。

愛と切なさが混じり合い、
読んでいて
心が重くなる物語でした。

映画化されます。
主役のかなこには真木よう子
その夫役には大西信満が
キャスティングされています。
6月22日に公開ということです。



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