JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

磁力浮遊コマ

2012年07月20日 | 地震予知器


 マグネット式地震予知器を作る過程で、磁石の面白さにはまってしまったことは以前に書きました。今回、かねて試してみたいと思っていた磁力で浮遊するコマに挑戦。地震予知器と直接関係ありません。番外編。



 10年ほど前、U-CASという名前で商品化され、試した方も多いと思います。今は、「UFOゴマ」と名前は変わっていますが、ほぼ同じものです。レビトロンというもっと洗練された外国製?も以前からあるようで、「浮遊実験」とか「磁力浮遊」などで検索すると、YouTubeの興味深い動画がたくさんヒットします。






 さて、この浮遊コマ、原理は「地震予知器その6」に記したリング磁石の特性を利用しています。リング中心部は吸着する力が働きますが、その上部の一カ所に反発する磁力が生まれます。このスポットに回転するコマをうまく納めると、落ちることなく宙に浮かぶというわけです。回転が止まれば、落下します(アーンショーの定理)。

 箱を開けると、マグネットで出来ているベース盤、同じくマグネットのコマ、おもり各種、プラスチック板、ベース盤の傾きを調整するクサビ2個、説明書が入っていました。ベース盤には強力なリング磁石がはめ込まれているのだと思います。説明にもテレビや精密機器に近づけないように注意書きがありました。

 まず水平な机の上にベース盤を置いてプラスチック板を乗せ、その中心でコマを回す。と、簡単に説明されているのですが・・・。回りません。回そうにもベース盤に吸い寄せられてバランスを崩してしまいます。勢いをつけて回そうものなら、今度は反発力が働いてあらぬところに飛んでいく、そんなことの繰り返し。空中に浮かすどころか、回すことすらできないのです。
 
 たぶん100回以上、そんな失敗を繰り返して、いい加減、あきらめかけた頃に、やっと回ってくれました。今も3回に1回くらいしか成功しません。手首を使わずに、親指と小指のみで素早くコマの軸を回すのがコツのようです。


ベース盤の上でコマを回す


 この状態で、プラスチック板を少し持ち上げると、スーッとコマの回転が安定するポイントがあります。その真上が浮遊スポットのはずですが、あっという間に、コマはバランスを失って飛んでいってしまいます。

 そこで、コマの重さの調整です。
 付属のおもりは、
 金属リング3g、1g 各2個
 プラスチックリング0.6g、0.3g、0.1g 各2個 

 合計10個のおもりを試しながら、最終的な調整は0.1g単位ということになります。重い方が安定して回転するのでは?と考え、金属リング4枚すべてを取り付けたところ、まったく浮上しません。次に、軽い方からプラスチックリング3枚1.5gで試したところ、浮上ポイントでふわっと浮く感じがありました。プラスチック板を外すというよりも、勝手にコマが浮き上がる感触。この時点で、やっと成功しそうな予感が出てきました。その後、何度かおもりを微調整し、1.8gにしたところ、ついに浮上しました!数秒間の完全浮遊。

 最終的に、プラスチックおもりすべてを使い(2g)、かつ、ベース盤の傾きをクサビで微妙に調整して、浮遊時間90秒まで伸ばすことができました。何の支えもなく、空中にふわりと回転しながら浮かぶコマ。磁力と重力の絶妙なバランス。実に不思議な光景です。




 磁力は刻々と様々な影響を受けて変化します。地震予知機は、地下の岩盤破壊に起因した磁界の変化を利用した装置です。浮遊コマの場合は、逆にそういう影響を受けない方がよいわけですが、そうはいきません。たとえば、木造家屋と鉄筋マンションでは浮遊する条件は異なるようです。また夕方にうまく浮いたとしても、翌朝も浮くとは限りません。温度や湿度による変化もあるようです。一度調整したからといって、それで良しとはいかないのです。磁力による絶妙な安定と共に、その変化を考えさせてくれるなかなか奥深い装置(玩具)と言えます。


〈浮遊時間を伸ばすいくつかの方法〉
 回転していることが浮遊の絶対条件です。浮遊物がコマである理由はそこにあります。コマは空中で回っているので、抵抗が少ない分、床で回すよりも長く回るはずです。回転が遅くなる要因は空気抵抗や磁力そのものと思われます。真空状態にすると数時間、浮遊し続けるとの報告を見つけました。研究室レベルの話しで、素人には難しいです。電磁波を与える方法というのも見つけました。具体的にどうするのかは不明ですが、自分としては、コイルを作製してコマを空中モーターにしてしまう、という方法を思い浮かべました。そんなことが可能なのかどうか、そのうち実験してみたいと思います。





コメント (4)
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