JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

特小実験155km交信

2012年05月15日 | 奥山 移動運用


 昨年12月、仙台市の泉ケ岳と福島県田村市の移ケ岳との間、102kmの交信以来、しばらく途絶えていた特小トランシーバーによる交信実験。先週は、石巻市の硯上山と福島市の吾妻小富士134kmに挑戦したのですが、交信ならず、でした。

 今回、宮城県栗原市の栗駒山と福島県二本松市の麓山(はやま)との間、155kmの交信実験。

 栗駒山は標高1627m。宮城県の北端に位置し、東北全体の中でも、ほぼ中央にあります。2年前、この山頂で8エリア、襟裳岬アポイ岳の移動局と交信したことがあります(2mにて)。一方、相手局の麓山は標高870mの独立峰。富士山が見える北限の山のようで、移ケ岳と並んで、FBなロケーションのようです。カシミール3Dによると、距離155.8km、「見えます」判定。途中、泉ケ岳をかすめるのが気になるところです。


中間のピークが泉ヶ岳

 この日は、宮城、山形、秋田、岩手各県ともおおむね晴れの予報となっていました。栗駒山はこの4県境に位置します。夜間通行止めのゲートが開く9時を待って、登山口のいわかがみ平へ。上空は晴れているものの、風が強く、山頂あたりはガスがかかって、激しく流れていく様子が見てとれました。「山頂での無線運用はできないかもしれない」そんな不安がよぎりつつも、何組かのパーティの後に続き、雪渓を登り始めました。40分程登ると、ガスの中に突入。身の危険を感じるほどの突風に。実験開始時刻の午前11時にはまだ1時間早いものの、風を避けられる斜面に移動して、430メインで呼んでみたところ、すぐに相手局から応答あり。もう少しで麓山山頂とのこと。到着を待って実験を開始しました。当局の標高は山頂よりかなり下の1380m地点。


一瞬 姿を見せてくれた栗駒山山頂


 まずは430MHz。相手局0.3W、当局0.5Wで59-59。問題のない伝搬を確認し、特小実験開始。さっそく、こちらから何度かロングに呼びかけてみました。が、なかなか応答がありません。少し動き回ったり、アンテナを水平にしたり垂直にしたりを繰り返し、やっと相手局の変調を断片的にとらえることができました。こちらから31のレポート。何かを話しているのはわかるのですが、半分了解不能。その内、「31・・・確認・・・しました。こちら・・・51」。かろうじてレポート交換でき、10時11分交信成立。と言っても、きわめて不安定な信号で、会話が成り立つという感じではありません。いったん、実験を終了し、もう少し標高を稼ぐことにしました。


使用リグ アルインコDJ-R20D

 15分程登り、1408m小ピークの手前で風を避けながら、再度、実験開始。標高は1400m地点。こちらから呼びかけると、今度は麓山局からの明瞭な変調にすぐに手ごたえを感じました。先ほどとは明らかに違いますが、Sメーターはまったく振れず、リグを顔に近づけると了解度が下がってしまいます。音量を上げ、受信時は離して聞く、送信時は口元に近づける、そんな運用。またアンテナは、垂直でも水平でもなく、斜め40度あたりが最も良好でした。レポートは51-41。この状態で約1時間、安定して交信を続けることができました。

 はじめの1380m地点では、途中にある泉ケ岳が障害物となっていたと思われます。1400m地点に上がって、ほぼその影響から抜け出た、といった印象でした。特小10mWのQSOはいつもスリリングで、電波の通り道をうまく捉えないと交信できません。反射や山岳回折もあるにはあると思いますが、遠距離交信となれば、今回の実験でも「見通し」であるかどうかが絶対条件、そんな印象を持ちました。1627mの山頂であれば、なお安定した交信ができたと思われます。いづれにしても、特小トランシーバー10mW、155km交信成功。麓山局に感謝です。


 特小実験後、2mにてQRV。この日は、新潟でコンテストがあり、何局か応答させていただきました。新潟市、燕市、新発田市、長岡市など。また会津美里町の局ともQSOいただきました。交信距離180km~240kmほど。飯豊や吾妻連峰を超え、0エリア方向の伝搬も悪くないようです。


2/3λヘンテナ  リグDJ-S57 5W

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