日本裁判官ネットワークブログ
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北尾トロさんの「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」(文春文庫) が話題ですね。現実の裁判傍聴記のようですが,ほかにも,ブログに,裁判傍聴記を書き込む人が増えているような気がします。かつての裁判傍聴運動とはまた違った現象のように思います。これも,司法改革や裁判員制度に触発された裁判への関心の高まりの一つなのでしょうか。


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興味があって、中国の五経のひとつ「易経(周易)」を読んでいたら、「訟」(訴訟)について、こんな注釈がありました(書き下し。難しい漢字はひらがなにしました。)。「訟、まことありて塞(ふさ)がる。おそれて中すれば吉、終われば凶なり。大人を見るに利ろし。大川をわたるに利ろしからず」。その意味は、「さて、うったえは、中心にまことがありながら、相手のために妨げ塞がれることによってやむを得ず起こすものであるから、よく自ら驚懼して中道にかなった行動をとれば吉であるが、強引に訟を遂げようとすれば凶である。その是非の判断は・・剛健中正の大人にまみえて決してもらうのがよろしい。大川を渉るような冒険を試みるのはよろしくない」(岩波文庫 易経(上)」ということのようです。訴訟に臨む当事者の心構えか、訴訟における和解の極意のような気がして、びっくりしました。3000年以上前の文書とはとても思えませんでした。昔の文章を読んでいると、今に通じるものがあってじーんと来るときがありますね。日曜日の閑話休題でした。(瑞祥)

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読売新聞からです。評議の秘密保持義務の点からも議論を呼ぶでしょうね。

袴田事件支援団体の集会「無罪の心証」と元裁判官

 静岡県で1966年、みそ会社専務一家4人が殺害された「袴田事件」で、袴田巌死刑囚(71)(再審請求中)に対する1審・静岡地裁の死刑判決にかかわった元裁判官の熊本典道氏(69)が9日、東京都内で開かれた支援団体の集会に参加し、「自分は無罪の心証だったが、裁判長ともう1人の裁判官を説得できず、2対1の多数決で死刑判決を出してしまった」と明かした。

 熊本氏が、「評議の内容」を公の場で話したのは初めてで、再審支援に協力する意向も示した。

 裁判官が、判決に至るまでの議論の内容など評議の中身を明かすのは裁判所法に違反するが、熊本氏は「高裁や最高裁が間違いに気づいてくれることを願っていたが、かなわなかった。人の命を救うための緊急避難的な措置」と話した。


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立法作業が進む刑事裁判に対する被害者参加制度ですが,遺族の方からも色々な意見があるようです。以下は,共同通信の記事からです。

被害者参加制度で対策求める 反対派遺族ら
 犯罪被害者とその遺族が公判で被告人質問などに関与する「被害者参加人」制度の導入に反対する遺族らが7日「被害者と司法を考える会」を結成し、長勢法相あてに、制度導入前に必要な被害者対策などをまとめた要望書を提出した。同会は「裁判に参加すれば、加害者側から落ち度を指摘されるなどの2次被害や、参加しないと被害感情を過小にとられ、刑が軽減される可能性がある。後に報復を受ける恐れもある」と指摘。 


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ADR法  


ADR法とは,「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」といわれる法律で,この4月1日から施行されます。以下は,法務省のHPからの転載です。
これも,司法改革の一環でしょうね。認証制度が大きな役割を果たすのでしょうか。(瑞祥)

 本法律は,裁判外紛争解決手続の機能を充実することにより,紛争の当事者が解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし,国民の権利利益の適切な実現に資することを目的とするものです。
具体的には,
a 裁判外紛争解決手続の基本理念を定めること
b 裁判外紛争解決手続に関する国等の責務を定めること
c 裁判外紛争解決手続のうち,民間事業者の行う和解の仲介(調停,あっせん)の業務について,その業務の適正さを確保するための一定の要件に適合している ことを法務大臣が認証する制度を設けること
d cの認証を受けた民間事業者の和解の仲介の業務については,時効の中断,訴訟手続の中止等の特別の効果が与えられること
を主な内容としています。



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朝日新聞社「報道と人権委員会」での議論が、今日の朝刊で特集されています。
興味深い見解の相違部分を抜粋して紹介します。(チェックメイト)
(抜粋)
本林徹委員「前科・前歴などの問題もある。有罪か無罪か確定していない段階で、容疑者や被告が過去に関与した犯罪や人格についての論評を報じるのには賛同できない。」
藤森編集委員「容疑者や被告の属性が刑事政策に直結するような重大な内容だった場合、できるだけ早く社会に知らせるべきではないか。」「仮にそれが裁判の公正を若干阻害したとしても、報道にそれを上回る価値がある場合がある。」
長谷部恭男委員「事実認定中あるいはこれから事実認定を行う段階で、容疑者・被告の前科や属性について国民は知る権利があるのかといえば、私はないと思う。」

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下記は読売新聞のニュースからですが,皆さん,ご存じでしたか。これを読まれて,どう思われますか。司法への批判が当たっているかどうかは別にして,いろいろ考えさせられることが多いような気がします。
                記
インターネット掲示板「2ちゃんねる」への誹謗(ひぼう)中傷の書き込みなどを巡り、管理者西村博之氏(30)を相手取り、名誉棄損などを訴える民事訴訟が全国で50件以上起こされ、少なくとも43件で西村氏側の敗訴が確定していることが読売新聞の調べでわかった。

 この結果、西村氏に命じられた賠償額は約5800万円、仮処分命令などに従わないことによる「制裁金」が1日当たり約88万円、累計約4億3400万円に上るが、西村氏が自ら支払いに応じたケースはほとんどないと見られる。原告側は勝訴にもかかわらず賠償を得られない状態で、ネットの無法状態と司法の限界が露呈した形だ。

 西村氏に対する訴訟は2001年以降、東京地裁だけで50件以上が起こされ、うち40件の敗訴が確定。ほかにも札幌、大阪、神戸の各地裁で計3件の敗訴が確定している。

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2日の東京新聞社説「『尊厳死』判決 次は国がこたえる番だ」から。
本文の一部の抜粋にとどめますので、全文は同新聞のHPで御覧下さい。
個人的には同感です。(チェックメイト)
(以下抜粋)
 川崎協同病院の筋弛緩(しかん)剤事件で東京高裁の判決は、医師の刑を減軽したうえ「尊厳死問題は司法が解決する問題ではない」と国にボールを投げた。国はこれにこたえ、早急に法整備を図るべきだ。
(中略)
 尊厳死が絡む医療事件で、ここまで医師が置かれた状況に理解を示した判決はなかったのではないか。
 真剣に受け止めなければならないのは、尊厳死の問題は「司法が抜本的な解決を図る問題ではない」とし、尊厳死に関する法律の制定やガイドライン(指針)の策定を強く求めていることだ。それに向けて国を挙げて議論し、国民的な合意形成を図るべきだとも判決は指摘している。
(中略)
 判決の指摘通り、国民的な議論を行い、医療現場が困らないような明確な法的ルールをつくらないと、同様の事件の再発は防げないだろう。



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開設以来,毎日誰かが書き込みをしていたこのブログも,昨日は油断して,初めて空白の1日となりました。別に空白の1日を狙ったわけではありませんが・・(空白の1日というのも懐かしい言葉となりました。)。まあ,こんなこともないではなく,裁判官も忘れたり間違うことはもちろんあるのです。その是正のために,3審制があるわけで,このブログも,空白があったら,それに気づいて,空白が2日,3日とならないようにがんばりたいと思います。今後も宜しくお願いします。(瑞祥)

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以前にもお伝えした刑事裁判における被害者参加制度と付帯私訴制度が,来年秋から実施の方向になってきました。ただ,国会審議もありますし,まだまだ流動的な要素はあるでしょうね。以下は,毎日新聞からです。(瑞祥)

 犯罪被害者が公判に出席して被告へ直接質問などができる「被害者参加制度」と、被害者が刑事裁判に併せて被告に損害賠償請求できる「付帯私訴制度」が、08年秋に始まる見通しになった。その半年後の09年春には、国民が重大事件の審理に加わる裁判員制度もスタートし、日本の刑事裁判は転換期を迎える。
 両制度を盛り込んだ刑事訴訟法改正案が今国会で成立すると、最高裁は、被害者参加制度と付帯私訴制度を具体的にどのような手続きで進めるか、規則を定める作業に入る。また、実務を担当する裁判官や検察官に周知するのにも時間がかかり、すぐに両制度を実施するのは難しい。その一方で、導入時期が裁判員制度と重なれば、裁判所の負担が増し、混乱も予想されるため、法務省は、裁判員制度より半年程度先行して被害者参加制度と付帯私訴制度を実施する方針を固めた。
 このため、法務省は今国会に提出する法案で両制度の施行時期を「公布後1年6カ月以内」とすることにした。
 被害者参加制度では、被害者や遺族らが「被害者参加人」として法廷のさくの内側に入ることが認められ、被告や情状証人に直接質問したり、検察側の論告と同じように事実関係について意見を述べることができるようになる。付帯私訴制度は、刑事裁判の有罪判決が出た後に、同じ裁判官が引き続いて民事の損害賠償請求を審理するため、被害者側の立証負担が軽くなる利点がある。【


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