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万歩計の話

2009年06月08日 | ムサシ
1 万歩計を買った。私の健康上の最大の課題である肥満解消作戦の一環として毎日1万歩歩こうと思ったのである。種々の試行錯誤を経て,この6月から満を持して本格的な減量作戦を開始した。栄養失調などの心配がないように,シッカリ食べながらということになる。このたび失敗するなら,もう二度と減量を口にすることはしないつもりである。
 ところが困ったことに,万歩計で測定した結果,既に毎日1万歩を歩いていることが判明したのである。犬との散歩で毎朝約3500歩(約35分,100メ-トルを6回走る)歩いており,事務所にこもったままの日は約8000歩,法廷などに外出する日は1万歩を超えていることが分かったのである。目標1万歩では減量にならない。目標を高めて1万5000歩に変更したが,なかなか大変である。

2 今から15年も前のことであるが,約10キロ痩せたことがある。そのときは家族と焼肉を食べに行ってもビールを飲まなかったから,かなり本気だったと思う。ただ家族に言わせると(自分では全く気がつかなかったが),私がいつもイライラして機嫌が悪かったそうで,「そんなに機嫌が悪くなるのなら,痩せなくてもいい。」と家族に顰蹙(ひんしゅく)を買っていたというのである。反省!

3 今回はニコニコ減量で行くことにしよう。減量のための作戦もほぼ完成しているが,わずかな隙が計画を失敗させるし,日頃の節制が宴会などの機会に反動となって,ビ-ルを飲みまくったりして,また別の顰蹙を買うという恐れもないわけではない。
 5月末に,わがトレ-ニング計画表に種々の工夫を加えて改良した。新たな決意表明である。成功のためには飲酒の喜びよりも,減量の喜びの方が遙かに大きくなる必要がある。毎朝精密体重計で体重を測定し記録しているが,その瞬間の喜びの大きさが勝負であろう。

4 私は健康法に関して多くの意見やアイディアがあり,それを多くの機会に発言してきた。最近私の小学校時代以降の各種の同窓会などによく出席するが,同年齢の友人たちを見て,「自分はこんなにも老人だったのか」と思い知らされてギョッとすることが多い。66歳の同級生が(年相応に)みんな(中には例外の人もいるが)年老いてしまったような印象である。若さを保つにはそれなりの方法があるが,かなり工夫と努力が必要である。しかし意識して努力すれば,確実に成果を挙げることは可能であると思う。しかしながら私の友人達は,私が年齢から見てかなり若いと認めつつも,「遺伝だろう」とか,「お前が異状なのだ」などと言って,不思議なことに私の健康法を多少なりとも参考にしようという気には余りならないようである。その原因は単に私が肥満体(約80キロ)であるというひとことに尽きるように思うのである。

5 確か刑事法の団藤重光元東大法学部教授(のち最高裁判事)だったと思うが,「私が1日勉強を怠ると,わが国の刑事法学の進歩が1日遅れる」と言われたと聞いたように思う。誰かの本で読んだ記憶であるが,定かではない。その自信はさすがというところであるが,勉強家として有名であった団藤先生は私の高校の先輩であり,長年年賀状の返事を頂いていたうえ,かつて私たちが新任判事補であったとき,最高裁判事としての新任判事補研鑽の講演の中で,「若い諸君が,未熟であることを恐れずに,合議事件の評議の際に,経験の深い裁判長に対して,毅然として自分の意見を主張するようでなければ,わが国の司法は発展しないだろう。大胆で優れた地裁の判決が最高裁の判決を発展させるのだ。わが国の司法の将来は,若い諸君の肩にかかっている。」と講演されて,感動したことがあった。

6 私も団藤教授の論理を借用して,「私の減量が1日遅れると,私の友人たちの老化が1日進行する」などと,いささか荒唐無稽な論理で,友人たちに老化防止にもっと関心を持ってもらうためにも,このたび減量に本気で取り組むのだという話である。団藤教授からは,「後輩とはいえ,余りにも話のレベルが違い過ぎるのではないか」と叱られそうである。もっとも例え私が減量に成功したとしても,私の友人たちは,私の研究と努力の成果を認めず,相変わらず「遺伝だろう」で済ましてしまうのではないかという気がする。(ムサシ)