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ウポポイ誘客、白老町が後押し 国の戦略に協力 町民に無料パス配布、牛肉まつりで活性化

2024-03-28 | アイヌ民族関連

斎藤雅史 会員限定記事

北海道新聞2024年3月27日 22:14(3月27日 22:15更新)

 【白老】国土交通省が26日に発表した「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の誘客促進戦略は、年間来場者数100万人の政府目標達成に向け、地元の白老町や町内の団体にも協力を求めた。戦略では、町民の来場を促す取り組みや白老駅からウポポイへ向かう周辺のにぎわい創出も課題に挙がった。町は2024年度に町民に無料でウポポイの年間入場パスポートを配る事業を実施するなど、さまざまな形で後押しする考えだ。

今月26日にウポポイの伝統的コタンエリアを歩く観光客。来場者数増加に向け、地元白老町も協力が求められている

 誘客戦略は全35ページで、伝統衣装試着などの体験メニューの充実や来日外国人旅行客の誘致に向けて台湾の観光イベントに出展するなど、24年度から取り組む89の施策を列挙した。そのほか、人気声優を起用した音声ガイドやアイヌ文化を鑑賞しながら夕食を楽しむ富裕層向けプログラムなど将来的な検討課題も盛り込んだ。

 24年度から実施する施策で、白老町に関連するのは主に七つ=表=。「二十歳を祝う会」といった公的イベントでのウポポイの使用や、町内での体験型観光「アドベンチャートラベル(AT)」の商品開発などで、ウポポイと地元の連携により誘客につなげる考えだ。

 「白老町民の来場につながる負担軽減策の実施」については、町が24年度予算に高校生以上の町民に年間パスポートを配布する事業費1300万円を盛り込んでいる。開業当初の20年度にも実施したが手続きが煩雑だったこともあり、高校生以上の町民の申請率は33・9%にとどまった。その反省を生かし、24年度はウポポイの券売所で手続きが済むようにウポポイ運営本部と調整中だ。

 町としても力を入れる背景には町民の関心の低さがある。戦略をまとめる際に専門家が議論した有識者検討会でも「町民の来場が少ない」「『ポロトコタン』(旧アイヌ民族博物館の通称)の方が良かったという声が聞かれる」などの指摘があった。ウポポイ開業に伴い18年に閉館した旧アイヌ民族博物館は、町民が無料で入場でき、憩いの場となっていた。

 戦略でも「日常利用時の休憩場所の整備」「町民を対象に駐車場無料化の実証実験」を今後の対応方針として掲げている。大塩英男町長は「ポロトコタンのように気軽に行けるよう、町としてアイヌ政策推進交付金も利用し、支援したい」と話す。

 戦略にはウポポイ周辺地域の魅力向上を目指して「JR白老駅北観光インフォメーションセンター(ポロトミンタラ)を核としたにぎわいの創出」も盛り込まれた。

 町としては6月1、2日にポロトミンタラ周辺に会場を移して5年ぶりに開催する「白老牛肉まつり」などのイベントを中心に活性化を図る方針。

 ・・・・・・

※「ポロトミンタラ」の「ラ」は小さい字。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/993061/


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<ウイークリーとかち>十勝地域のイベント・ギャラリー・ライブ情報(27日付)

2024-03-28 | アイヌ民族関連

安倍友紀子 会員限定記事

北海道新聞2024年3月27日 5:00

<イベント>

■28、29日(木、金曜)

★1/fゆらぎコンサートシリーズ57ピアノ&チェロ春の二重奏コンサート 28日午後7時、帯広・とかちプラザ2階レインボーホール。ピアノ・法岡真央さん、チェロ・浜田遥さんが出演。一般2千円(当日は2500円)、学生千円(同1500円)。電話0155・22・7890

★「FMFM2024」フローモーションフリーマーケット=写真= 31日まで。午前11時~午後7時、帯広・フローモーション(西5南13)。売上金は東日本大震災遺児支援事業のあしなが育英会に全額寄付する。電話0155・21・5506

 ■30日(土曜)

★沖縄三線・唄・踊り 午後2時、帯広・とかちプラザ1階大集会室。知花時野さんら出演。一般2千円、小中高生500円。帯広音楽鑑賞協会、電話0155・23・9480

★独り語り劇「遠い約束」 午後5時(31日は午前11時)、幕別町百年記念ホール(大ホール)。一般3千円(当日は3500円)、高校生以下千円(同1500円)、未就学児入場不可。事務局、電話080・6519・2592

★親と子のミュージカル劇団パズル第21回公演「十一匹のネコの春休み」 午後6時半(31日は午後1時半)、帯広市民文化ホール(小ホール)。千円。同劇団親の会、電話090・1522・6764

 ■31日(日曜)

★音更町地域おこし協力隊員片山さやかによるヴァイオリンとピアノで楽しむクラシック&ポピュラーコンサート 午後2時、音更町文化センター。無料(要整理券)。未就学児入場不可。電話0155・31・5215

★今万亭(なうまんてい)大人落語俱楽部「百年寄席」 午後3時、幕別町百年記念ホール(講堂)。「今万亭大人のアマチュア落語俱楽部」のメンバーと師匠の笑生十八番(しょうせいおはこ)さんが出演。無料。電話0155・56・8600

★アンサンブルのしらべ 午後3時、中札内文化創造センター。一般千円(当日は1500円)、高校生以下500円(同千円)。ピアノ・法岡真央さん、チェロ・浜田遥さん、フルート・赤部里美さんが出演。文化活動推進会(佐久間さん)電話090・7659・2681

 ■4月1~3日(月-水曜)

★春休みイベント第2弾「チーズ自販機設置記念イベント」 4月1~6日午前10時、午後1時半、3時、芽室・明治なるほどファクトリー十勝(東芽室北1線15)。ECサイトなどでしか購入できなかった「明治北海道十勝カマンブルー」とカマンベールチーズの食べ比べ(全3種類)、工場見学、クッキングシートがもらえる(所要時間約70分)。2~6人で要申し込み、無料(各回定員10組)。チーズは1階エントランスの自販機で購入も可能。電話0155・61・3710

★世界自閉症啓発デーinとかち 4月2日午後6時半、帯広市総合体育館「よつ葉アリーナ十勝」1階研修室。「ライト・イット・アップ・ブルー」の点灯式を行い、同体育館の外壁一部を1時間ほど青いライトで照らす。午後6時45分からはアンサンブルグループ「奏楽(そら)」のコンサートを開催。無料。1日からパネル展と自閉症に関する本の展示を行う。幕別町図書館、芽室町図書館、8日から音更町図書館、1日から帯広市役所(パネル展のみ)、2日から帯広市図書館(本のみ)。北海道自閉症協会十勝分会(大沢さん)電話0155・37・0909

■サキドリ

★チョコっとアフリカ! 4月13日午後2時半、JICA北海道センター(帯広)レストラン「おびくっく」。ガーナに滞在していたJICA海外協力隊経験者の講演や同センターの案内、カカオニブからチョコレート作りの体験を行う。5日まで要申し込み(定員30人)、無料(別途1ドリンクの注文が必要)。同センター、電話0155・35・1210

<ギャラリー>

◆水ばしょう絵の会グループ展 29日まで。午前9時~午後9時(最終日は4時)、芽室町中央公民館。丹代さん、電話0155・62・1781

◆2023年度フォトクラブ昴年度賞展 31日まで(木曜定休)。午前10時~午後7時(最終日は4時)、帯広・いっきゅうフォトギャラリー。電話0155・33・0910

◆紅露はるか個展「森へ還る~Returntotheforest~」 4月7日まで。午前10時~午後7時、帯広・マテックプロダクツ2階ギャラリー(西22南3)。電話0155・35・7711

◆石飛俊之「屋根裏部屋の写真展」 4月3~7日。午前11時~午後7時(最終日は4時)、帯広・ガレリアオリザ(ミントカフェ内)。電話0155・67・4039

◆中井さくら個展「FOXLAND」=写真= 4月12日まで(月、水、金曜のみ開催)。午前10時~午後5時、帯広・地域活動拠点「ポプケ」(西21南2)。障害者支援施設「愛灯学園」電話0155・37・5777

◆高橋俊子「趣味の版画展」 4月2~14日(5、8日休館)。午前10時~午後6時(木曜は8時、最終日は5時)、音更町図書館。高橋さん、電話080・1877・3475

◆芽室アイヌ協会サラニプ(編み袋)作品展 4月1~25日(火曜休館)。午前10時~午後6時(木曜は8時)、芽室町図書館。電話0155・62・1166

(サラニプのプは小さい字)

・・・・・・・(安倍友紀子)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/992078/


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北海道「アイヌ文化」じっくり学ぶ高校の真の狙い アイヌ文化の伝承者に言語、工芸、歴史を学ぶ

2024-03-28 | アイヌ民族関連

東洋経済/27(水) 8:02配信

地域の豊かな教育資源を生かし、「点」から体系的な学びへ

写真:東洋経済education × ICT

苫小牧市から直線距離で東に約40km。北海道平取高校は、道南部の沙流郡平取町に位置する公立高校だ。2024年度から学校独自の設定科目「アイヌ文化」を掲げ、地域みらい留学で全国からの入学者を受け入れる。少子化によって、今や生徒の獲得は公立高校にとっても欠かせない任務となり、各地で高校の魅力化・特色化が進んでいる。2年前に同校校長に着任した鈴木浩氏に、地域の課題や今後の目標についても詳しく聞く。

【写真を見る】アイヌ文様を刺繍する男子生徒。アイヌの丸木舟「チプ」なども地域の博物館で見ることができる

この4月から学校設定科目「アイヌ文化」を導入し、道外からの新入生を受け入れる北海道平取高校。学校長を務める鈴木浩氏に、新科目開始までの経緯を聞いた。

「平取町はアイヌ文化の拠点のひとつである地です。これまでも地域の小中学校や高校では、アイヌ文化の伝承者を外部講師に招いた体験授業を行ってきました」

アイヌ文化の残るエリアは北海道各地にあり、道外も含め、その文化や歴史について学ぶことができる高校はほかにもある。だが平取高校では、3年間かけてじっくり理解を深めることが特徴だ。

「アイヌの文様の刺繍を習ったり言葉を教わったりという従来の体験にも、子どもたちは積極的に取り組んできました。楽しいとの声が多く好評を博してもいましたが、それはあくまで単発的な『点』でした。私たちは高校生という年齢を対象とすることもあり、より長期的で系統的な学びが構築できると考えました。アイヌ文化の学習を、点から線、面へと、さらに発展した学校設定科目にすることにしたのです」

教員らや道教育委員会、平取町とも話し合い、方向性を固めた鈴木氏。その後は自ら地域の伝承者を訪ね、高校での教育において、これまで以上の協力を得たいと願い出た。

「伝承者の皆さんにも、先住民族への理解を深めるのはいい取り組みだと言っていただきました。平取町にはアイヌ語に堪能だったり、木工や刺繍の第一人者であったりと、講師を務めてくださる方が多くいる。これは本校ならではの強みだと考えています」

学校で新たな取り組みが検討される際には、多忙な教員のリソースをどう確保するかという懸念が生まれる。だが前述のとおり、この「アイヌ文化」はゼロからスタートするものではない。伝承者も多く暮らしているほか、町にはアイヌ博物館や資料館もあり、人的にも施設面でも教育資源は豊富だった。

従来の学びを地域の力で深化させるのは、高校の魅力化・特色化の取り組みとして理想的だといえるだろう。同校ではカリキュラムの構想時点から地域や外部学識者の意見を聞きつつ、校内研修も実施し、地域一丸となって内容を練ってきた。

授業は週に1度、年間で35時間のいわゆる「1単位」で行う。1年生では言語を学び、アイヌの考え方についての理解を深める。2年生では木工や刺繍などの工芸を体験し、3年生では近現代に至るまでのアイヌの歴史や精神世界などについて学習する予定だ。

アイヌ文化への理解を深め、社会的弱者との共生を考える

「アイヌ文化」の授業開始とともに、平取高校は「ダイバーシティ&インクルージョンを学ぶ高校」という目標を掲げる。地域の意見を取り入れるべく通年の学校見学を受け入れたり、校則なども生徒会主導で生徒が話し合う制度を取り入れたりと、改革を進めている。また、高校のすぐ隣には特別支援学校があるため、こちらと連携した授業も活発に行っている。

多様性や共生は学校教育の現場でも求められる理念だが、旧来の教育を受けてきた生徒たちにはなかなかピンと来ないものだろう。先日もこんなことがあった。

「生理が来ると腹痛などの症状が重く、学校に来られないことがしばしばある女子生徒がいました。欠席が増えてしまうことについて、彼女は親しい教員に『大人は生理休暇があるのにね』と言ったそうです。しかし生徒自身は、そんな学校の現状に不満があるというわけでもありませんでした」

おそらくその女子生徒は、規則が変えられる可能性にすら思い至らなかったのだろう。これはまず、学校側がその姿勢を示す必要がある――そう感じた鈴木氏はさっそく校内にはかり、生理での体調不良は、申請すれば欠席ではなく公欠扱いにできる制度を整えた。

「これからは欠席にしなくて済むよと教員が伝えると、その生徒はとても喜んでくれたそうです。こちらもとても嬉しかったですね。こうした経験から、生徒の自己有用感がどんどん育ってくれればと考えています」

また、全国で進む過疎化は平取町にとっても悩みの種だ。高校の生徒数も年々減り続けており、現在はそれぞれの学年につき1クラスのみ、全校3クラスで構成されている。さらに1クラスの人数も、この数年は20人以下で推移している。自治体にも学校存続への危機感があり、高校の魅力化や特色化の推進は「待ったなしの急務だった」と鈴木氏は言う。

「札幌からも距離があり、周辺でもJRの廃線が進んでいます。冬は寒く、気候や地理的な不利があるのは事実です。しかし、小さな学校だからこそ柔軟な対応ができるし、こうした土地だからこそ学べることもあるはずです」

例えば平取高校では、地域の高齢者や外国人との交流も積極的に実施しているが、ここから感じ取れることも多いだろう。町の人口の3割を超える高齢化率のこと。減少する労働人口を外国人が補い、町の主たる産業である農業を支えていること――。これらは決して平取町だけの特別な事情ではなく、現代を生きるすべての日本人が直面する問題だ。

「地域に根差した学びで、生徒たちには多様性や共生について考えてほしい。アイヌに対しても、過去には理解が不足していた時代があり、それは今も課題です。この国の先住民族について知ることには大きな意味があるでしょう。アイヌ文化を理解することは、そのほかのマイノリティーや社会的弱者への理解をも深める相乗効果を生むと思います。みんなが共生できる社会はどんなものか、その実現のために自分は何ができるか、そういったことを考えられる人になってほしいのです」

目標は「アイヌ文化といえば」と言われる高校になること

独自科目の設置には、時流の追い風も大きく影響した。北海道を舞台にした漫画『ゴールデンカムイ』(野田サトル/集英社)が大ヒットし、アニメや映画にもなった。また2020年には、国立アイヌ民族博物館などを含むウポポイ(民族共生象徴空間)が白老町にオープンした。アイヌのことがメディアで取り上げられる機会も多くなり、関心を持つ人は確実に増えている。

鈴木氏も、受験生への説明会で全国を回っていると、「漫画がきっかけでアイヌ文化を学びたいと思うようになった」などと話す中学生に出会うそうだ。だが、初年度の生徒募集は千客万来とは運んでいない。取材時点では入学者数は確定していなかったが、鈴木氏はその感触をこう語った。

「今年も道外からの応募があり、健闘はしていると思いますが――率直なところ、大盛況とまではいえません。とはいえ、全国の高校の例を見ても、1年目からそううまくいくものではないことは覚悟している。こちらも腰を据えて、来年度以降の受験生にもしっかりアピールを続けていくつもりです」

具体的な動きはこれからだが、高校卒業後の進路にも「アイヌ文化」の授業の特色を生かしていきたいと語る。

「アイヌの研究ができる大学といえば、道内では北海道大学と札幌大学が挙げられます。ゆくゆくはこうした大学からも講師を招くなど、高大連携も図っていけたらと考えています」

さらなる野望は、自ら挙げた「アイヌの研究ができる大学」と肩を並べることだ。

「全国的にも、『アイヌの研究ができる高校といえば平取高校』と言ってもらえるようになりたい。そしてアイヌ文化の学びから、日本によりよいコミュニティを作る人を育てていきたい。小さな学校ですが、私たちは大きな夢を抱いています」

(文:鈴木絢子、注記のない写真:denkei / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

https://news.yahoo.co.jp/articles/9ebc76e6bc97cf3976677145adaed26cd2d66b05


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チキサニで衣類の作品展 アイヌ民族伝統技法で作る

2024-03-28 | アイヌ民族関連

苫小牧民報2024.03.27

白老町内で暮らすアイヌ民族が伝統技法で作った衣類の作品展が町末広町のしらおいイオル事務所チキサニで開かれている。31日まで。

会員たちの秀作が並ぶ会場

 町内で伝統工芸の復元や伝承に取り組むアイヌ伝統工芸サークル「テケカラぺ」(山崎シマ子代表)の会員が1年かけて仕上げたチカルカルペ(木綿衣)6点が展示されている。

 山崎さんが講師を務める白老民族芸能保存会(長谷川邦彦代表)の会員が手掛けたはんてん8点も並ぶ。

 チキサニの担当者は「民族の伝統的な技法を守りながら制作された木綿衣と作り手のアイデアや個性が光るはんてんから、伝統と革新の両面に触れてほしい」と呼び掛けている。

 問い合わせはチキサニ 電話0144(82)6301。

https://hokkaido-nl.jp/article/33351


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中華文化総会、5月11日と12日に京都で台湾カルチャーフェス「TAIWAN PLUS」を開催

2024-03-28 | 先住民族関連

台湾ツディー2024/03/27

中華文化総会は26日、京都府庁旧本館で記者会見を開き、5月11日と12日に京都で開催する日本最大の台湾カルチャーフェス「TAIWAN PLUS」について説明した。過去最大規模となる100を超える台湾ブランドの商品を持ち込む。写真は「TAIWAN PLUS」コラボの金牌台湾プレミアムビール。(中華文化総会)

中華文化総会は26日、京都府庁旧本館で記者会見を開き、5月11日と12日に京都で開催する日本最大の台湾カルチャーフェス「TAIWAN PLUS」について説明した。中華文化総会はこれまで東京で同イベントを開催してきたが、京都での開催は初めて。過去最大規模となる100を超える台湾ブランドの商品を持ち込む。

 記者会見では、今回のイベントが京都府、誠品生活、株式会社日本サルベージサービスの共催により開催されることが発表された。また、記者会見には台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(=駐日大使に相当)、京都府の鈴木一弥副知事、京都府議会の林正樹副議長、文化部の日本窓口である台北駐日経済文化代表処台湾文化センターの王淑芳主任らが出席した。

 52年前に京都大学に留学したという謝長廷代表は、京都について「非常に懐かしく、親しみを感じる」と述べた。また、「TAIWAN PLUS」はすでに台湾のカルチャーイベントを代表する存在となっており、京都や近畿地方の人々に多く足を運んで欲しいと呼びかけた。

 中華文化総会の李厚慶秘書長は、「TAIWAN PLUS」の参加者が、初開催となった2018年の延べ5万5,000人から、昨年は延べ22万人に成長したことを挙げ、台湾と日本の友好関係の向上を示すものだと喜んだ。李厚慶秘書長はまた、今回の京都での開催は過去最大規模になり、タピオカミルクティや鹹豆漿(=塩豆乳)、パイナップルケーキだけでなく、台湾のナイトマーケットや台湾の漫画なども加わることを明らかにした。

 今年のイベントのタイトルは「TAIWAN PLUS 2024 京都新宝島」となる。「島」のコンセプトを強調し、音楽、マーケット、展示などをそれぞれ、「島民の声」、「島民のマーケット」、「島の博物館」と名付ける。

 「島民の声」では、金馬奨(ゴールデン・ホース・アワード)や金曲奨(ゴールデン・メロディ・アワード)などの受賞経験を持つ音楽プロデューサー、李欣芸さんが音楽総監を務め、台湾の国宝級民謡歌手である陳明章氏や、台東県のプユマ族集落を拠点とする「Puyuma家族楽団(プユマ・ファミリー・バンド)」、金曲奨を受賞した客家(ハッカ)シンガーの謝宇威さん、シンガーソングライターの呉蓓雅(PiA)さんなどが、日本のパフォーマーと一緒になってステージを作り上げる。日本からは金剛流能楽師の金剛龍謹さん、箏曲家の大谷祥子さん、箏・三絃演奏家の菊重絃生さんらが登場する。

 「島民のマーケット」では「TAIWAN PLUS 2024 京都新宝島」の限定グッズが多数販売される。例年高い人気を誇る「TAIWAN PLUS」コラボの金牌台湾プレミアムビールが今年も登場する。先住民族行政を担当する原住民族委員会は、同会が運営する台湾最大の先住民族グッズ専門のオンラインショップ「LiMA」から、台湾先住民族の工芸品や特色あるグルメなどを日本へ持ち込む。中華文化総会は連江県(離島の馬祖)と2年に1度、「馬祖国際芸術島」(馬祖ビエンナーレ)を開催しており(3回目は2025年開催)、今年は特別にこのマーケットに参加して作品を展示する。

 「島の博物館」は台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー(TAICCA、文化内容策進院)、中華民国対外貿易発展協会(TAITRA、日本での名称は台湾貿易センター)、新港奉天宮などが協力するもので、台湾のオリジナル文化をテーマにした博物館を設置する。台湾の地理をコンセプトにした5つの漫画作品や、生活に欠かせない台湾製の優れた商品などを展示するという。

 「TAIWAN PLUS 2024 京都新宝島」

日期|2024年5月11-12日(入場無料)

時間|11:00-18:00

場所|京都市勧業館「みやこめっせ」第3展示場

 https://jp.taiwantoday.tw/news.php?unit=151&post=250450&unitname=ニュース-政治&postname=中華文化総会、5月11日と12日に京都で台湾カルチャーフェス「TAIWAN-PLUS」を開催


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神話の護りびと。「ことばには、それぞれの宇宙があります」

2024-03-28 | 先住民族関連

TABI LABO2024/03/27

カナダ北西に浮かぶハイダグワイ──。

そこは、1万年以上前から先住民ハイダ族の暮らす離島。文明から一歩距離を置いた手付かずの自然が残るこの土地に写真家・イラストレーター上村幸平さんは移住を決意しました。

「自然との関わりの中での人間らしい営み」をテーマにZ世代の価値観で捉える最果ての地。自然とともに生きる人々を追う連載企画です。

「神話を語るということは、私たちの存在そのものなのです」。

杖を片手に力強く佇む老女は、顔に刻まれた深いシワからはおよそ想像できないような芯の通った声でそう語った。

「私は、神話を語りつぐことを生業とするストーリー・テラーの家系に生まれました。長老たちは子どもが語り人になり得るかどうかを、生まれ落ちた時すぐに見分けるのです。選ばれし子どもたちは赤子の頃から、白髪の長老たちに語り手としての教育を受けました」。

間の置き方、息遣い、微妙な抑揚のつけ方。この女性──ナナイ・グワーガナドは、本物のストーリー・テラーだ。僕は半ば身を乗り出すようにして、彼女の口から放たれる次の言葉をじっと待った。

1月半ばのひどく冷え込んだ日、僕はハイダグワイ中部に位置するスキディゲート村にいた。村のロングハウス(先住民の伝統的家屋)には、島内のみならず、アラスカに点在するハイダ族のコミュニティからもたくさんの長老たちが集まっていた。

今日から5日間、ハイダ族固有の言語である「ハイダ語」についての会合が開かれる。会場は久しぶりの再会を祝福し合う人々でいっぱいだった。

神話についてのワークショップの時間になると、ひとりの老婦がゆっくりと皆の前に進み出た。真っ白な頭髪は丁寧に括られ、首からはイーグルの紋様が彫られた大きなシルバーのペンダントを下げ、細い腕には太いゴールドの腕輪がいくつも輝いている。

「ハイダ族の装飾品や衣装はその人物の地位や家系を反映する」とどこかで聞いたことがあった。豪華絢爛な数々のアクセサリーは、彼女がこの島における重要人物のひとりだということを雄弁に物語っていた。

ナナイ・グワーガナド(『ナナイ』はハイダ語で『おばあちゃん』の意)はスキディゲート村の精神的支柱のような存在である。彼女はハイダ族の中でも特に伝統的な由緒正しい家系に生まれ、神話を語り伝える存在として大切に育てられた。

カナダの植民地主義政策のもとで多くの先住民が自分たちの文化的アイデンティティを失っていくなか、「ハイダとして生きるということ」を体現する彼女のような存在がいかに大きかったか。そんな一人の老女の逸話はこれまでたくさん耳にしていたが、こうして実際に話を聞くのは初めてだった。

「とある一族のお話をしましょう」

グワーガナドは椅子にゆっくりと腰掛け、おもむろに語り始めた。

「族長に連れられた村民が旅に出ていたときの話です。長い一日が終わって海岸にキャンプを立てた後、族長は孫に火の面倒を見るよう言いました。その夜少年が火の番をしていると、草むらから一匹のカエルが飛び出してきました。退屈していたのでしょう、少年はおもしろ半分でそのカエルを捕まえ、火に投げ入れてしまったのです」。

彼女はまず初めにハイダ語で語り、そして英語に訳して意味を伝えてくれる。

この地で1万年以上も生を営んできたハイダの人々といつも共にあったハイダ語。悠久の歴史を持つその言語は今、消滅の危機にある。

西洋人による植民地化の過程で先住民の文化や風習は野蛮なものとして禁止・違法化された。子どもが民族言語を話すと親が逮捕されるような状況のなかで、先住民は言葉と文化を奪われ、精神的なよりどころを無くしてしまったのである。

腹と喉の底から搾り出すようなハイダ語特有の発音を滑らかに駆使しつつ、グワーガナドは続ける。

「すると、カエルを飲み込んだ火は恐ろしい音を立て始めたのです。それと同時に、少年は突然胸に激しい痛みを感じました。手足も動かず、呼吸もままなりません。族長が異変に気づいた頃には少年は火の横で息絶え、周りに飛び散った大きな火の玉がキャンプを飲み込んでいったのです」。

『皆、カヌーに乗り込め。逃げるんだ!』族長は村人たちをカヌーに乗せ、燃え盛るキャンプ地を捨てて沖へと逃げていく。火の玉は空からも降り始め、カヌーを、そして村人たちを焼き尽す。全身が焼かれる苦しみの中、族長が最後に聞いたのは、天の創世主の怒りの声だった……。

「ひとりの少年のいのちへのリスペクトを欠いた行為が、ひとつの村を消滅させたのよ。ハイダの哲学に反することをすると、大きな代償を伴うという教訓ね」。

先住民の文化にようやく光が当たり始め、ハイダグワイでも言語保全の取り組みが始まった時、ハイダ語を理解できる人々は既にほんの一握りしかいなかった。ネイティブスピーカーとしてハイダ語を話す長老たちの音声データを収録し、彼らの語る内容から辞書の編纂なども進められてきた。それでも話者たちの高齢化は進み、今では十数人に満たないとも聞く。見通しは決して良好ではない。

話し終えて一息つき、彼女は慈愛に満ちた表情で僕たちの方を向いて言う。

「でも、本当に大切なことはハイダ語でしか語ることができないのです。ことばにはそれぞれの宇宙があります。いくら頑張っても、訳して伝えることのできないこともあるのです」。

彼女は再び姿勢を正し、自らに蓄積されたことばを細かく点検するように、別のストーリーを語り出す。僕は心地のいい彼女の語り口に耳を傾ける。そして、この神話が、この言語がずっと続いていくことを願った。

https://tabi-labo.com/309101/adventures-of-raven05


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ペルーの市民権と差別をめぐる50年にわたる闘いを映すドキュメント「革命する大地」予告編公開

2024-03-28 | 先住民族関連

映画.COM2024年3月27日 14:00

南米ペルーの歴史を学ぶ(C)2019 Autocinema

南米ペルーの市民権と差別をめぐる50年にわたる闘いを描き、ペルー史上最大となる9万人以上の観客動員数を記録したドキュメンタリー「革命する大地」の予告編が公開された。

1968年10月のクーデターで第50代ペルー共和国大統領に就任したフアン・ベラスコ・アルバラード率いる軍部革命政権が行ったペルー革命。69年に公布された農地改革法は、それまでのペルーの土地と市民権をめぐる闘争に重大な変化をもたらした。ペルー国内には、ベラスコ大統領のことを、先住民を半奴隷状態から解放した英雄とみなす人々と、地主寡頭制の解体への不満から独裁者とみなす人々がいる。

本作は、ゴンサロ・ベナべンテ・セコ監督が、日本で初めて公開されたペルー映画「みどりの壁」や「革命児トゥパク・アマル」「豚と天国」など、ペルー革命からベラスコ政権の瓦解までの社会の変化を鮮明にとらえた映画の引用をはじめ、現代ペルーの知識人や政治家、文化人へのインタビューやアーカイブ映像などを通して、革命の記憶を再構築していく。

このほど公開された予告編も、ペルー革命前夜として、スペインからの独立を宣言してもなお続くスペイン植民地時代からの半封建主義的なペルーの社会構造の一端がわかる映像となっている。

4月27日から、新宿K’s cinemaほか全国順次公開。

https://eiga.com/news/20240327/12/


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『タイタニック』『アバター』『アバター:WoW』 初の4K UHD&初のコレクターズ・エディションが発売スタート!

2024-03-28 | 先住民族関連

ムービーウォーカー2024/3/27 17:00

世界興収上位4位のうち3作を占めるという、前人未到の偉業を成し遂げたジェームズ・キャメロンの大ヒット作初の4K UHD、初のコレクターズ・エディションが3月27日より発売される。

【写真を見る】ボーナス・コンテンツをはじめ豪華な映像が多数収録

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』デジタル配信中(購入/レンタル)4K UHD コレクターズ・エディション(数量限定)発売中[c] 2024 20th Century Studios.発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン

2024年は、世界興収第1位という驚異的な記録を持つ『アバター(2009)』(09)の製作15周年という記念すべきアニバーサリーイヤー。これを機に、「アバター 4K UHD コレクターズ・エディション(数量限定)」、続編として大きな話題を呼んだ『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(22)の「4K UHDコレクターズ・エディション(数量限定)」が販売される。

『アバター(2009)』の本編は、リマスター版(2022年)162分と特別編171分、エクステンデッド・エディション178分の3種類を収録。また、日本初のディスク化となるブルーレイ3Dに本編が収録されるほか、2枚のブルーレイのボーナス・ディスクには、「ジョン・ランドーによる制作秘話」や「未公開シーン」など新規コンテンツ4種が追加され、約10時間超のボーナス・コンテンツが収録されている。

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は、「『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の思い出」や「段階別に見るモーションキャプチャー」、未公開シーンやメイキング映像など、ブルーレイのボーナス・ディスク丸々1枚分におよぶ9種もの新規コンテンツが追加され、8時間を超えるボーナス・コンテンツが2枚組となって登場。

さらに、レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが主演を務め、タイタニック号沈没事故の史実をもとに、2人の恋と運命を描いたスペクタクル巨編『タイタニック(1997)』(97)の究極版となる「4K UHD 25周年アニバーサリー・エディション(数量限定)」と、単品の「4K UHD」も発売開始となる。初マスターとなる4K UHDディスクには、日本テレビ版吹替(石田彰バージョン)の本編が初収録されたほか、キャメロンら3種の音声解説を収録。また、ブルーレイのボーナス・コンテンツには、キャメロンや製作のジョン・ランドー、ウィンスレットらが撮影秘話などを語る新映像や、キャメロンが「ボートの綱はナイフで切れるのか?」、「ジャックは生き残れたのでは?」といった疑問を検証するドキュメンタリーなどの新しいコンテンツ4種を含む6時間を超える豪華な映像を楽しむことができる。

また、「4K UHD 25周年アニバーサリー・エディション(数量限定)」は、製作25周年を記念して作られた豪華「ブックレット」や「タイタニック号の設計図」、「ジャックからローズへ宛てたメモ」などの小道具のレプリカ、さらに、主題歌「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」の楽譜をセットにした数量限定の至高の愛蔵版となっている。

キャメロンが贈る、圧倒的映像美で描かれる叙事詩的SFシリーズ、美しくもせつない運命の恋の4K UHD&コレクターズ・エディションを手に入れ、ぜひ家でも楽しんでほしい!
文/サンクレイオ翼

https://moviewalker.jp/news/article/1189876/


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誕生100周年「木彫りの熊」、ちょっと前からブームなの知ってる?

2024-03-28 | アイヌ民族関連

ゲーテ3/27(水) 16:30配信TEXT=鈴木芳雄

木彫りの熊が空前のブームというと、あの、鮭を口に咥えたあれ? って言われるかもしれないけど、ちょっと違います。尾張徳川家の殿様がスイスから持ち込んで、そこから始まる木彫り熊の歴史。個性と技術力に富んだ作家たちが見せてくれる様々な熊は知ってしまったら、必ず欲しくなる感じ。折しも2024年はその木彫り熊100周年なのだそうだ。

【作品写真】誕生100周年「木彫りの熊」

尾張徳川家第19代当主が北海道に持ち込んだ木彫り熊

少し前から、木彫りの熊が大変なブームになっていることに気づいていたのだが、北海道八雲町で最初の木彫り熊が発表されてから、2024年はちょうど100年目にあたるとのこと。そして、事後報告になって申し訳ないのだが、3月20日から26日まで伊勢丹新宿店であった「北海道の熊彫100周年記念『熊は100歳100祭』」に出ていた木彫り熊をいくつかお見せしよう。

八雲町というのは、たとえば函館から小樽方面に陸路で行く場合、必ず通る土地だ。というのも、太平洋と日本海という2つの海に唯一面している町が八雲町なのである。そもそも、明治維新の廃藩で職を失った旧尾張藩士を救済すべく、明治期初頭、尾張徳川家第17代当主、徳川慶勝(よしかつ)がこの北の大地に活路を見出した。

大正12年、尾張徳川家第19代当主、徳川義親(よしちか)は渡欧した際に購入した木彫り熊を日本に持ち帰り、八雲町の農民たちに示し、冬の農閑期に楽しみながら制作でき、販売すれば現金収入を得られ生活改善に役立つことから、翌大正13年「第一回農村美術工芸品評会」を開催したのだ。そこから今年はちょうど100年後ということになる。

出品された作品、販売された作品の一部を紹介しよう。トップに上げた画像は加藤貞夫の熊(八雲町木彫り熊資料館蔵)。

加藤貞夫(1926-2013)は八雲町生まれ。神奈川県・湯河原で指物師の技術を学んだあと、1949年に八雲町に帰郷。八雲鉱山で技術職として働いた。1960年頃から熊彫を学ぶ。一時転勤で本州へ渡るも1975年頃に八雲町に戻り、木彫り熊の制作に専念。2010年の上海万博ではブドウの木に登る熊の作品が展示された。

その入手困難さから、北海道内でも“幻の熊”と呼ばれた柴崎重行の作品をはじめ、戦前に八雲農民美術研究会で彫られたものから、根本勲、引間二郎といったこの世界では著名な作家の作品まで、「八雲町木彫り熊資料館」が所蔵する名作の数々がこのイベントに展示された。道外初となる展示作品も多く、八雲町の熊彫の凄みを生で感じられる貴重な機会となった。

柴崎重行(1905-1991)は八雲町鉛川生まれ。家業の農業を手伝いながら、彫刻を開始。昭和3年、講習会に参加し、熊彫を行うようになった。戦後、ハツリ彫りという手法が高い評価を受け、その作品は「幻の熊」と呼ばれ八雲町を代表する作家になった。

柴崎重行の次男、柴崎宏明さんはこう話している。

「(柴崎重行の熊は)目標とする形は最初からなくて、一つひとつ、作っていく過程で作品ができあがっていく。表現したかったのは、たとえば喜怒哀楽や強さや弱さといった、人間なら誰しもが抱えているもの。それらを表すのに、たまたま熊がいい材料だったじゃないかな。作品を見た人に、何かを感じてもらえるものを彫りたい、と考えていたんだと思います」

 『熊彫図鑑』

美術館で大規模な展覧会が開催された作家も

藤戸竹喜(1934-2018)は北海道美幌町でアイヌ民族の両親のもとに生まれ、旭川市で育つ。木彫り熊の職人だった父に12歳の頃から師事した。一気呵成に彫り進められる熊や動物の姿は生きているかのように躍動し、旺盛な生命力を感じさせる一方で、仕上げに行われる毛彫りは細密で、硬い木であることを忘れさせるような柔らかな質感を生み出している。2021年、東京ステーションギャラリーで「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜」が開催された作家である。

今回の伊勢丹新宿店での会期中、隣接した販売ブースでは、高野夕輝、高旗将雄など熊彫を後世へ引き継ぐ現代作家の作品や極めて希少なビンテージ作品の販売も行われた。柴崎重行作品は15点以上。東京ステーションギャラリーで個展が開催され話題となった藤戸竹喜の作品も5点が並んだ。どちらも、地元北海道でも販売されているのを見かけることすらない作家で、この規模の販売は関東エリアで初。貴重な作品を購入するには優先入場の権利の予約が必要だった。

見れば見るほど、欲しくなってくる。

参考資料:

東京903会『熊彫図鑑』プレコグ・スタジオ 2019年

内田鋼一・編『熊と鷹』BANKO archive design museum 2021年

https://news.yahoo.co.jp/articles/7f61c49ead8485874982b8a8e0ecf4aea1beb9c0


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