先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

大須賀さん認定 白老町伝統文化継承者、アイヌ語の方言を研究【白老】

2024-03-10 | アイヌ民族関連

室蘭民報2024.03.09

「素晴らしさ知って」

町伝統文化継承者に認定された大須賀さん(前列中央)

 白老町教育委員会は、町指定無形民俗文化財「町伝統文化継承者」に大須賀るえ子さん(83)=緑丘=を認定した。言語区分では2人目。白老地方のアイヌ語方言研究を通して、アイヌ文化の周知に大きく貢献したことなどが評価された。4日には認定書授与式が本町の町コミュニティーセンターで開かれた。

 町教委などによると、大須賀さんは白老町生まれで、熊狩りの名人と呼ばれた白老の伝統的アイヌを代表する宮本イカシマトクを祖父に持つ。

 1941年、むかわ町に転居。23歳ごろに白老に戻り、ポロトコタンで母が経営していた民芸店で長年勤めていた。「50歳になるまでアイヌ語は一切分からなかった」と大須賀さん。旧アイヌ民族博物館の学芸課長から誘いを受け、外部講師を招いたアイヌ文化の講座を受講し始めた。

 徐々に言葉の意味が分かるようになり、興味を持ち始めた。90年からは「白老アイヌ語教室」に通った。98年には「白老楽しく・やさしいアイヌ語教室」を立ち上げたほか、ウエペケレ(昔話)など口承文芸筆録の翻訳などに力を注ぎ、翻訳本なども多数出版している。

 大須賀さんは「皆さまに評価していただき本当にうれしく、心よりお礼を申し上げる」と感謝。「アイヌの物語の素晴らしさを多くの人に知っていただきたい。できるだけ頑張る」と述べた。

 認定は1月16日付。町教委からの諮問を受け、町文化財等運営審議会(川西政幸会長)が選考基準に基づいて選考し、答申した。

 安藤尚志教育長は「白老町の匠として、今後もお元気でご研さんされ、アイヌ文化の魅力と素晴らしさを広く発信していただくことをご期待申し上げる」と祝った。

 陣屋町の仙台藩白老元陣屋資料館では、きょう9日から31日まで町伝統文化継承者展「白老アイヌ語伝承者大須賀るえ子」を開催し、大須賀さんの出版物や原稿資料など約80点を展示する。

https://hokkaido-nl.jp/article/33136


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ文様切り紙 神様の力借りて 浜頓別でワークショップ

2024-03-10 | アイヌ民族関連

会員限定記事

北海道新聞2024年3月9日 19:24

ワークショップでアイヌ文様の切り紙に挑む子どもたち

 【浜頓別】町立図書館で9日、アイヌ文様の切り紙ワークショップが開かれた。町民26人が参加し切り紙に挑み、ノートの表紙や色紙に飾り付けて楽しんだ。

 体験型の家庭教育支援事業として町教委が主催。講師には、札幌を拠点にデザインや音楽を通してアイヌ文化の継承に取り組んでいるTOYTOYさんが招かれた。TOYTOYさんは「アイヌ文化では道具を大事にします。鉛筆の神様やはさみの神様の力を借りて作ります」と説明した。・・・・・・・

 

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/985410/


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ文化を後世に 室工大でワークショップ

2024-03-10 | アイヌ民族関連

会員限定記事

北海道新聞2024年3月9日 19:18

「先住民文化とサイエンス」をテーマに意見を交わした座談会(室蘭工業大提供)

 室蘭工業大は、アイヌ文化に焦点を当てたワークショップを学内で開いた。約110人の参加者がアイヌ民族の歴史や文化を後世に伝える手法などについて理解を深めた。

 室工大も参加して2022年にスタートしたアイヌ民族の知恵を技術革新につなげるプロジェクトの一環。基調講演と座談会の2部構成で4日に行われた。

 漫画「ゴールデンカムイ」でアイヌ語を監修した言語学者の中川裕千葉大名誉教授は「アイヌ語やアイヌ文化に関心を持ってもらうという意味で、近年これほど大きな役割を果たした作品はない」と述べた。

・・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/985408/


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胸にアイヌ文様 勝利を華やかに レッドイーグルス、特別ユニホーム着用

2024-03-10 | アイヌ民族関連

会員限定記事

北海道新聞2024年3月9日 19:09

特別ユニホームを着て試合に臨むレッドイーグルスの選手たち

 アイスホッケーアジアリーグのレッドイーグルス北海道は9日、選手たちがアイヌ文様をアレンジした特別ユニホームを着用して栃木日光アイスバックスと苫小牧市のネピアアイスアリーナで対戦した。ファンも同じユニホームを身に着けて応援した。

 ユニホームはチームカラーの赤を基調に、アイヌ文様をアレンジした柄を胸元にあしらったデザイン。市がイーグルスと苫小牧アイヌ協会の協力で作製した。

・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/985403/


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

杉田氏、再びアイヌ中傷 「存在しない差別話す人」

2024-03-10 | アイヌ民族関連

共同通信2024/03/09

 自民党の杉田水脈衆院議員は8日付のX(旧ツイッター)投稿で、人権状況の改善を求めるアイヌ民族の関係者に触れ「日本に存在しない差別を話す人たち」と中傷した。杉田氏は昨年、アイヌや在日コリアンへの差別的言動を法務当局から人権侵犯認定された。投稿はレイシズム(人種差別主義)を再びあおった形だ。

 投稿では、アイヌ女性の健康保険加入状況を巡り、アイヌ側が虚偽の説明をしていると決め付けている。返信欄には杉田氏を称賛する声に交じり、悪質なヘイトスピーチが目立つ。杉田氏には、こうした書き込みを繰り返す「ネット右翼」と呼ばれる一部保守層の歓心を買う狙いがあるとみられる。

 アイヌ女性団体「メノコモシモシ」の多原良子代表の話 杉田水脈衆院議員は私たちに対し、幾度となく心ない言葉を浴びせてきた。その杉田氏が今回、差別をやめてほしいと訴える私たちを「存在しない差別を話す人たち」と侮辱した。ヘイトスピーチの扇動にほかならず、言葉にならない怒りと悲しみを感じる。貧困にあえぐアイヌ女性の中に、健康保険に加入できない人がいるのは実態調査から明らか。事実を直視せず、うそだと吹聴する主張こそがデマだ。しかも私が加入状況を報告した2009年の国連女性差別撤廃委員会に、杉田氏は来ていない。現場にいたとする杉田氏の書き込みは事実に反する。

https://nordot.app/1139101716109656676


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

杉田氏、再びアイヌ中傷 「存在しない差別話す人」

2024-03-10 | アイヌ民族関連

有料記事

北海道新聞2024年3月9日 17:00

 自民党の杉田水脈衆院議員は8日付のX(旧ツイッター)投稿で、人権状況の改善を求めるアイヌ民族の関係者に触れ「日本に存在しない差別を話す人たち」と中傷した。杉田氏は昨年、アイヌや在日コリアンへの差別的言動を法務当局から人権侵犯認定された。投稿はレイシズム(人種差別主義)を再びあおった形だ。

 投稿では、アイヌ女性の健康保険加入状況を巡り、アイヌ側が虚偽の説明をしていると決め付けている。返信欄には杉田氏を称賛する声に交じり、悪質なヘイトスピーチが目立つ。杉田氏には、こうした書き込みを繰り返す「ネット右翼」と呼ばれる一部保守層の歓心を買う狙いがあるとみられる。

 杉田氏は投稿で、アイヌ女性団体「メノコモシモシ」の多原良子代表の声を伝える共産党機関紙「しんぶん赤旗」の記事に言及。過去の国連女性差別撤廃委員会で多原氏が「アイヌの女性は健康保険に加入できず」と訴えたとする部分を引用し「(委員会は)うそを吹聴する場ではありません。私はこの現場にいて、日本には存在しない差別を話す人たちにとても違和感を感じました」と書き込んだ。

 多原氏は共同通信の取材に「少なくないアイヌ女性が、貧困のため保険加入できなかったのは事実」と強調。「民族の歴史と現実を否定する杉田氏の発言にショックを受けています」と話した。

 杉田氏が人権侵犯を認定されたのは、多原氏らを侮辱した2016年当時のブログ記事。「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」と記述し、問題化した。

 ・・・・・・

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/985376/


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<ウポポイ オルシペ>84 おばけのマールとすてきなことば アイヌ語や文化 絵本で紹介

2024-03-10 | アイヌ民族関連

会員限定記事

北海道新聞2024年3月9日 10:22

絵本「おばけのマールとすてきなことば」(左)と、その多言語版

 16日から第6回テーマ展示「ミナ ミナ おばけのマールとすてきなことば」が開催されます。第5回テーマ展示「A Night at the National Ainu Museum ~ウポポイナイトミュージアム~」に続き、絵本「おばけのマール」シリーズを主題とした展覧会で、「ミナ ミナ」はアイヌ語で「笑って 笑って」という意味です。

 「おばけのマール」シリーズは、札幌市在住のイラストレーターなかいれいさんと札幌市出身の絵本作家けーたろうさんによる人気の絵本です。札幌のまるやまに住むおばけ「マール」がいろいろな所へ出かけ、たくさんの友達とふれあいます。2005年刊行の「おばけのマールとまるやまどうぶつえん」から始まり、23年に第12作「おばけのマールとほしぞらのフルコース」が刊行されました。

 20年刊行の第10作「おばけのマールとすてきなことば」は、ウポポイ開業にあわせて制作された、ウポポイが舞台となっている絵本です。「すてきなことば」はアイヌ語のことで、絵本のページごとに「イランカラプテ」「ピリカ」など身近に使えるアイヌ語が書かれています。

・・・・・

 16、17日には、台湾最大の国立野外博物館である台湾原住民族文化園区の特別公演がウポポイで開催されます。トンボ玉の工芸体験、タトゥーステッカー体験、台湾原住民族クイズのほか、「ナルワン音楽舞踊団」特別公演が2日間で4回行われます。あわせてお楽しみください。

◆「イランカラプテ」の「プ」は小さい字

◆「ピリカ」の「リ」は小さい字

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/985307/


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

木原育子記者「記者としてできることをしたい」 アイヌ差別めぐる報道を評価、メディア・アンビシャス大賞表彰式

2024-03-10 | アイヌ民族関連

東京新聞2024年3月9日 21時37分

 市民の立場から優れた報道を表彰する団体「メディア・アンビシャス」の表彰式が9日、札幌市内であり、東京新聞特別報道部の木原育子記者によるアイヌ民族差別問題に関する報道に表彰状などが贈られた。

 木原記者は「アイヌ民族の歴史を伝えることは、私を含めた和人側の加害性に向き合うことだった。悩みながら伝えた」とあいさつ。「近年はSNS(交流サイト)を中心にアイヌ民族への差別や偏見が強まっている。明治政府が先住民の土地や言葉、文化を奪ったのと同じように、形を変えてアイヌ民族を追い詰めている。記者としてできることをしたい」と語った。

 報道はアイヌ民族の遺骨返還を巡る実態や先住民の権利問題に切り込む内容。選考委員は「丹念な取材により、植民地支配の歴史的背景に触れつつ、昨今の『アイヌ民族の商業利用』に関する無自覚な差別にも鋭く切り込んだ」と評価した。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/314221


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ゴールデンカムイ』で描かれた「アイヌ独自の星座」とは? 幼きアシㇼパと父・ウイルクが語り合う名場面には元ネタがあった

2024-03-10 | アイヌ民族関連

集英社オンライン2024.03.09

漫画『ゴールデンカムイ』で幼きアシㇼパと父・ウイルクが夜空を見上げ、星について語り合う場面がある。名場面のひとつでもあるこのシーンは、実際のアイヌの伝承をもとにしていたという。『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修者・中川裕氏が明かした物語の裏話が満載の新書『ゴールデンカムイ絵から学ぶアイヌ文化』(集英社新書)より一部抜粋、再構成してお届けする。

アイヌの星座について書かれた1冊の本

コミックス25巻241話には、アイヌの星座の話が出てきます。かつて北海道や樺太の澄んだ空気のもと、人工的な明かりが闇を追い払うようなことのない夜空を見上げていた人々は、当然のことながら星々の並びにいろいろな形を見て取り、そこにさまざまな物語を読み取っていました。

その伝承は、研究者の間でもあまり知られていませんでしたが、星の民俗学者と呼ばれる野尻抱影(のじりほうえい)氏の薫陶(くんとう)を得て、昭和20年代からアイヌの星についての伝承の調査を精力的に行った、末岡外美夫(すえおかとみお)氏の『アイヌの星』という本が1979年に旭川振興公社から刊行されました。

この本はアイヌの星の伝承を実地調査で記録・整理した画期的なものでした。そして、それをさらに著者自身によって増補・整理した『人間達(アイヌタリ)のみた星座と伝承』が、著者没後の2009年に、アイヌ文化振興・研究推進機構の助成で私家版として刊行されました。今後、アイヌの星に関してこの本を超えるような本が出るとは思えないほど、充実した内容のものです。

241話のアシㇼパとウイルク(註:アシㇼパの父)の思い出に関するエピソードも、この本を元にしたものです。

シアㇻサルㇱカムイノカノチウ「尾の長い熊の姿をした星」も、クノチウ「弓の星」もアイノチウ「矢の星」も、実は全部私たちの知っている「大熊座」や、その一部分にあたる星の組み合わせです。

絵でもわかるとおり、北斗七星がシアㇻサルㇱカムイノカノチウの背中から尻尾にかけての部分にあたっています。大熊座はローマ時代から知られている星座ですが、アイヌもそれを同じように熊として見ていたというのは、何か人間の感性の普遍的なものを感じさせます。

シアㇻサルㇱカムイノカノチウのノチウは「星」の意味。ノカは「形」です。シアㇻサルㇱというカムイの形をした星という意味ですが、アㇻサルㇱというのは、物語の中によく出てくる凶暴な熊の呼び名で、どちらかというと化物の部類です。

ある人の説明では、「尻尾の先っぽにだけ毛のある熊のようなもの」という話なので、尻尾に特徴があることは確かです。それにさらにシ「大きな」「本当の」という言葉がついています。北斗七星の柄杓(ひしゃく)の部分が、熊の尻尾にあたっていますので、そこから「尾の長い」という解釈が出てきたのかもしれません。

アシㇼパが父と見つけた「狼の星」

そして、この241話のエピソードの中核となるのは、ホㇿケウノチウ「狼の星」です。これは私たちの知っている「乙女座」にあたる星々です。末岡氏はこのホㇿケウノチウの由来話として、次のような物語を記録しています。

私は兄に育てられていたが、ある日自分でもそんなことを言おうとは思っていなかったのに、「村の下手にある沢伝いに行くと、大きな桂の木がある。そのうろにいる大マムシを食べたい」と私は兄に言った。兄がしぶしぶ私の言ったところに行くと、目と口のまわりに赤いきれをつけたような大マムシがいて、兄と戦い始めた。

私は天に向かって兄を助けてくれるよう祈った。すると何かのカムイがやってきて大マムシと戦っている様子で、やがて音が静まった。兄は生きてはいたが、動くこともできない。私もそのままそこにいて眠ってしまうと、夢の中に美しい女性が出てきてこう語った。

「お前は狼のカムイの娘で、幼いころ私が人間の世界にお前を置いていった。その時にお前を拾って育ててくれたのが、お前の兄なのだ。ところが、お前には大マムシのカムイが憑神(つきがみ)として憑いて、兄の言うことを聞こうともしない。そこで母親である私がお前にそう思わせて、ここに来させたのだ」

そのような夢を見た。起きると兄は元気になっており、私も美しい人間の娘となっていて、そばに白い雌犬の抜け殻があった。その後私は兄の世話をして暮らしていたが、しばらくしてまた夢を見た。夢の中で母は、これでカムイの世界に帰ることができると言って、天に去っていった。春になって日が暮れる頃に、東から心地よい風になって、星が美しく輝きながら上がってくる。それは狼のカムイであった私の母が天に上る姿なのである。

(『人間達のみた星座と伝承』280~289頁を中川が要約)

この物語の主人公である女の子は、兄に「大マムシを食べたい」などと言っているので気がつきませんが、実は物語の途中までは白い犬(狼)の姿なのですね。それが、母親に夢を見せられたところで、人間の女の子の姿に変身するわけで、だから彼女が目覚めたそばに白い狼の抜け殻が置かれているのです。

そして、この育ての兄と夫婦となって、幸せに暮らすという物語です。

狼というのは他の山の動物たちと違い、山の奥深くではなく天界に住んでいるとされています。だから狼のカムイに助けを求めると天界からやって来るのです。そして、再び天界へと去って行ってホㇿケウノチウになったというお話です。

241話では「ホㇿケウってどんなカムイ?」と訊いたアシㇼパに、ウイルクは「消えてしまったカムイだ」と答えます。これにはいろいろな意味が込められていますが、天に去って行って、星座になったこの狼の母親の物語も重ねることができそうです。

文/中川裕

『ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化』

中川裕

2024/2/16

1,650円

560ページ

ISBN:978-4087213027

https://shueisha.online/entertainment/199582


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アカデミー賞2024は、日本時間3月11日午前。見る方法、ノミネート作品、受賞予想は?【注目ポイント】

2024-03-10 | 先住民族関連

ハフポスト2024年03月09日 12時30分 JST若田悠希 / Yuki Wakata

作品賞の本命は「オッペンハイマー」。「バービー」の冷遇ニュースの裏で起きていることは? 日本からは「君たちはどう生きるか」など3作品がノミネートされています。

方法は?

日本では、WOWOWがアカデミー賞授賞式の模様を独占生中継

3月11日(月)午前7時から同時通訳付きで、WOWOWプライムおよびWOWOWオンデマンドで放送される。

アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターより生中継され、司会はコメディアンのジミー・キンメルが務める。

▼最高峰「作品賞」の受賞候補は全10作品

最注目の作品賞、ノミネートされたのは、以下の10作品

「アメリカン・フィクション」

「落下の解剖学」

「バービー」

「ザ・ホールドオーヴァーズ」

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」

「マエストロ:その音楽と愛と」

「オッペンハイマー」

「パスト ライブス/再会」

「哀れなるものたち」

「関心領域」

▼作品賞は「オッペンハイマー」が最有力視

ハリウッドで「最高の栄誉」とされる作品賞は、クリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」(日本公開は3月29日)が最有力視されている。SAG賞(全米映画俳優組合賞)などの前哨戦を制して勢いづいており、作品賞や監督賞など全部で何部門を受賞するかにも注目が集まっている。

本作は、第二次世界大戦で、原子爆弾を開発した物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの伝記映画。ヒット作でメディアや批評家の評価も高く、これまで「アカデミー賞で冷遇されている」とも言われてきたノーラン監督を推す声も多い。

一方で、大量破壊兵器である原爆を作った科学者に迫ったストーリーで、原爆が投下された広島と長崎の被害などについては直接的に描かれていない点は、見逃してはいけないだろう。ハフポストでは、シカゴのデュポール大学で「原爆論説」「核の時代」の講義を担当する宮本ゆき教授にインタビューを行い、本作がどうアメリカで受け止められているのか、そしてなぜ原爆や核兵器が肯定的に語られ続けてきたのか、考えた。

▼サプライズが起きるなら「落下の解剖学」か「関心領域」?

作品賞で、「オッペンハイマー」の受賞予想を覆し、サプライズを起こす可能性のある作品として、「落下の解剖学」と「関心領域」の2作品があがることも多い。カンヌ国際映画祭の最高賞「パルムドール」を受賞したのが前者で、その次の「グランプリ」を受賞したのが後者。両作ともアメリカの作品ではない「非アメリカ映画」だ。

「落下の解剖学」はフランス映画で、視覚障がいのある少年以外は誰も居合わせていなかった雪山の山荘で起きた転落事故をめぐる裁判を描き、ミステリーとして高く評価されている。メガホンをとったジュスティーヌ・トリエは監督賞の候補であり、脚本賞にもノミネートされている。

一方の「関心領域」は、製作国はイギリスで、劇中の言語はドイツ語。第2次世界大戦中、ナチス・ドイツがユダヤ人を虐殺したアウシュビッツ収容所強制収容所と壁一枚を隔てた屋敷に住む、収容所の所長とその家族の暮らしを描く。

ちなみに、この2作品に出演しているのがザンドラ・ヒュラーで、「落下の解剖学」から主演女優賞にノミネートされている。

▼バービーの冷遇の裏で起きていること。主演女優賞には先住民族にルーツのある俳優が初ノミネート

今回のアカデミー賞は、これら外国映画を含めたバラエティに富んだラインナップが揃った。

一方で、「バービー」が作品賞でノミネートされるも、主演のマーゴット・ロビーと監督のグレタ・ガーウィグがそれぞれ主演女優賞と監督賞の候補入りを逃したことは大きなニュースになった。これを受け、助演男優賞にノミネートされているライアン・ゴズリングは声明を出した。

「バービー」以外でも、候補入りはしなかったが高く評価されている監督・俳優として、米韓合作の「パスト ライブス/再会」のセリーヌ・ソン監督や、主演のグレタ・リーもいる。

主演女優賞で有力視されているのは、「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のリリー・グラッドストーンと、「哀れなるものたち」のエマ・ストーンの2人。

グラッドストーンは、初めて名前を聞くという人も多いかもしれない。モンタナ州ブラックフット族の出身で、これまで「ライフ・ゴーズ・オン」など、主にインディーズ映画に出演してきた。アメリカの先住民族にルーツのある俳優が主演女優賞にノミネートされるのは今回が初めてだ。

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」Apple

候補入りについてグラッドストーンは、DEADLINEのインタビューで、「とても名誉に思う」とした上で、「なぜアメリカの先住民族が初めて選ばれるのにこんなにも時間がかかったのか」「こういった部門にノミネートされる作品のほとんどは先住民の土地で撮影されたものなのに」と疑問を呈した。「キラーズ〜」では、作品に深みをもたらす上で欠かせない役を演じており、今後注目の俳優になるだろう。なお、演技部門でも「オッペンハイマー」の存在感は強い。助演男優賞では同作出演のロバート・ダウニー・Jr.が3度目のノミネートにして初受賞になるか、期待を集めている。

▼日本からは「君たちはどう生きるか」など3作品がノミネート

近年、日本映画もアカデミー賞にノミネートされることが増えており、2022年には、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が作品賞にノミネートされ日本作品で初の快挙となった。

今年は、宮﨑駿監督の「君たちはどう生きるか」が長編アニメーション賞、山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」が視覚効果賞、ドイツのヴィム・ヴェンダースが監督を務め、役所広司が主演の「PERFECT DAYS」は日本代表作品として国際長編映画賞に、それぞれノミネートされている。

特にジブリ映画は 「千と千尋の神隠し」が長編アニメーション賞を受賞するなどアメリカでも人気が高い。過去には「ハウルの動く城」と「風立ちぬ」もノミネートされた実績があるため、今回の「君たちはどう生きるか」も受賞の行方が注視されている。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_65cee60be4b04daca6967620


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする