先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

ウポポイフォトコンテスト 名寄の林さんグランプリ賞

2024-03-21 | アイヌ民族関連

北海道新聞2024年3月20日 21:01(3月20日 23:49更新)

一般の部でグランプリ賞に選ばれ、喜びを語る林真之介さん

 【白老】胆振管内白老町のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」で撮影した写真を対象とした「ウポポイフォトコンテスト2023」(アイヌ民族文化財団、北海道新聞社共催)の表彰式が20日、ウポポイで行われた。「一般の部」でグランプリ賞に選ばれた名寄市の自営業林真之介さん(53)の作品など入賞17点が発表された。

 3回目となる今回は、一般の部と新たに設けた「学生の部」に、道内外から計323点の応募があった。表彰式には、同財団の村木美幸ウポポイ運営本部長ら約30人が出席。村木本部長は「遊び心満載の作品など、どれもウポポイの魅力を切り取っている」とあいさつした。

・・・・・

入賞作は4月21日まで、ウポポイのエントランス棟に展示する。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/989763/


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アイヌ文化伝承「先駆け的存在」 上武さん死去、惜しむ声

2024-03-21 | アイヌ民族関連

室蘭民報2024/03/20 20:00

 16日に亡くなった元北海道ウタリ協会副理事長の上武やす...

ここから先の閲覧は有料です。

https://www.muromin.jp/news.php?id=104347


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映画『ゴールデンカムイ』キャラ再現とリアリティある演出…「実写化は不安」の声を払拭して高評価を集めた理由

2024-03-21 | アイヌ民族関連

ふたまん 2024.03.20 折田マカダミア

1月19日に公開され、3月12日までの公開54日間で観客動員数188万人、興行収入27.8億円を突破し大ヒット中の映画『ゴールデンカムイ』。

 3月20日からは、第2弾入場者プレゼントとして原作者・野田サトル氏描き下ろしA5サイズのアートボードが新たに配布される。全国合計30万人限定で配布されるこのアートボードは、1面はカーテンコールに登場する杉元・アシリパ(※「リ」は小文字が正式表記)・尾形・白石・鶴見・土方の姿と、野田氏の直筆メッセージが描かれたカラーイラスト、もう1面は3コマ・4コマ漫画のモノクロイラストが掲載されている。

『ゴールデンカムイ』の実写化が初めて発表された際には、SNSで原作読者からの不安の声も目立ったが、映画が公開され蓋を開けてみれば、一転して大絶賛の嵐。『るろうに剣心』や『銀魂』シリーズのように「成功した実写化映画」と高い評価を集めている。「なぜこんなにも人気が出たの?」と気になる人も多いのではないだろうか。

 すでに2024年秋には映画の続編となるドラマシリーズ版として『WOWOW 連続ドラマW ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-』の放送が決定し、新たなキャラクターのキャスティングも発表されている。実写化された『ゴールデンカムイ』の世界に入り込むのはまだ間に合う! 今回は同作が、予想以上の高評価を集めた理由を探りたい。

■今後のドラマシリーズの期待も高まるキャラ再現とリアリティ

 まず『ゴールデンカムイ』は、『週刊ヤングジャンプ』で2014年から2022年にかけて連載された漫画作品だ。日露戦争後の北海道を舞台に、元陸軍兵の杉元佐一とアイヌの少女・アシリパがアイヌが秘蔵している金塊を探す物語で、随所にアイヌ文化が散りばめられている。

 今回の映画では、コミックス全31巻のうち、3巻前半分までのエピソードが128分をかけて丁寧に描かれている。

 漫画などの実写化作品では、衣装をはじめとするキャラのルックスの再現度が重要だが、今回の映画はその点の満足度が非常に高い。今作は物語の序盤にあたる内容のため、まだまだ主要人物の一部しか登場していないものの、いずれの登場人物も、個性はありながらもあくまで当時の日本に実在していたのではないかと感じさせるようなリアリティがある。

 一部に特殊メイクを施したキャラもいるが、どのキャストを見ても骨格から原作キャラに似ているのだ。特にビジュアル発表時から多くの注目を集めていた玉木宏さん演じる鶴見中尉は、画面の中からも圧を感じるほどのカリスマ性を放っていた。

 同作はファンタジー作品ではない。物語開幕時から日露戦争の惨たらしさがまざまざと描かれており、そこをオブラートに包んだ表現にしなかった点も、原作のリアルな魅力を高めているのだろう。登場人物も、重要なキャラかと思いきやあっけなく死んでしまったりと、先の読めない面白さがある。

■4DX版で全身で体感するのがオススメ

 そこでこれから映画を見ようと思っている人に体感してほしいのが4DX版だ。映画のヒットを受け、2月16日からは4DX版の公開がスタートしており、先に挙げた戦場のシーンのみならず、野生動物とのアクションシーンや、物語後半の馬そりでのアクションシーンなどにあわせてシートが振動し、エンタメを全身で体感できる。

 今回は単行本3巻分の内容ということで、金塊を巡る戦いもまだそこまで本格的なものになっておらず、アイヌ文化にフォーカスがあたるシーンが多い。ヒグマやエゾオオカミはVFXと特殊造形を駆使して描かれるが、特に今回の映画の中でも何度も登場するヒグマの登場シーンも4DXでより間近に。畏敬の念を抱く存在として、または貴重な食料として、アイヌ文化とは切っても切れない存在なのだということが身を持って感じられる演出だ。

「クマ=人を襲う怖い存在」と思いがちだが、アイヌの人々にとってはあくまで自然の中でともに生きてきた存在。その丁寧な描かれ方にも感心してしまう。もちろん『ゴールデンカムイ』の代名詞でもあるアイヌ料理を食べるシーンも見ごたえがある。

 物語全体のダイジェストでなく、今回の映画ではあくまで序盤を丁寧に描くことを選択したことによって、丁寧にアイヌ文化を描くことができたのだろう。今後の、実写版『ゴールデンカムイ』の展開が楽しみになる第1作だ。

 エンタメ作品として気軽に楽しむもよし、しっかりとアイヌ文化について考えるもよしと、楽しみ方もたくさんある映画『ゴールデンカムイ』。体験するのは今からでもまだまだ間に合う。

■【動画】こうやって作ってたの!? 映画『ゴールデンカムイ』VFXメイキング

https://www.youtube.com/watch?v=13KPhjfqOYE&embeds_referring_euri=https%3A%2F%2Ffutaman.futabanet.jp%2F&source_ve_path=OTY3MTQ&feature=emb_imp_woyt

https://futaman.futabanet.jp/articles/-/126053?page=1#goog_rewarded


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月面葬めぐり米で論争、ナバホ族は反対

2024-03-21 | 先住民族関連

ザ・ウォール・ストリートジャーナル2024年3月20日 06:22 JST 

Aylin Woodward

サービス提供企業は宇宙に縁のあった故人の役に立っていると言うが、ナバホ族は月を神聖なものと考えている

30年前、宇宙マニアを自認するチャールズ・チェイファー氏はある奇抜な思いつきを改めて考えた。人はどこかに埋葬されなければならない。それなら宇宙はどうだろう、と。

 人間の――ときにはペットの――遺骨やDNAを宇宙に打ち上げるテキサス州ヒューストンの企業セレスティスは、こうして始まった。

この記事の続きを読むには WSJ を購読してください

https://jp.wsj.com/articles/space-burial-firm-creates-a-dust-up-by-sending-ashes-to-the-moon-f8364189


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「グリーン水素」、果実を先住民と共有 オーストラリアの新たな輸出商品に!?

2024-03-21 | 先住民族関連

日豪プレス2024.03.20

 オーストラリア再生可能エネルギー局(ARENA)が、フィージビリティー・スタディー(実現可能性調査)を開始した西オーストラリア州キンバリー地区のグリーン水素プロジェクト。今後見込まれる再エネ輸出の経済的恩恵を先住民と共有し、地域社会に還元する戦略だ。

 第1段階の実現可能性調査にかかる費用のうち、166万6,701豪ドル(約1億6,000万円)を地元の先住民系企業などで構成する合弁企業「アボリジナル・クリーン・エナジー・パートナーシップ」(ACEP)に拠出する。第1段階の実現可能性調査は即時に開始し、5カ月以内に終了する。

 ARENAのダレン・ミラー代表は「世界ではエネルギーの(化石燃料から再エネへの)移行と水素の開発競争が進んでいる。ARENAはACEPと連携して、先住民社会がいかにオーストラリアのグリーン水素開発に発言権と権益を拡大できるかを模索していく」と強調した。

 温室効果ガス削減に力を入れるオーストラリア政府は、グリーン水素の生産・輸出を促進している。将来的には、石炭や天然ガスなど化石燃料を代替する資源輸出の主力商品に育てる青写真を描いている。

■ソース

ARENA backs First Nations hydrogen ambitions(ARENA)

https://nichigopress.jp/news-item/108148/


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粘信士・台北駐日経済文化代表処札幌分処長 北海道との交流深化に意欲

2024-03-21 | アイヌ民族関連

産経新聞2024.03.20

インタビューに応じる台北駐日経済文化代表処札幌分処の粘信士処長=14日、札幌市中央区(坂本隆浩撮影)© 産経新聞

台北駐日経済文化代表処札幌分処の粘信士処長は19日、産経新聞社のインタビュー取材に応じた。年明け以降、北海道と台湾の交流事業が加速化していることを歓迎するとともに「引き続き架け橋づくりに力を注ぎたい」と抱負を語る一方、台湾が抱える国際的な諸課題については「国際社会の応援をお願いしたい」と訴えた。

北海道では今月、台湾先住民族の博物館「台湾原住民族文化園区」の専属舞踏団が白老(しらおい)町のアイヌ文化振興拠点「民族共生象徴空間(通称ウポポイ)」で特別講演などを実施。台湾南部の台南市が札幌市内で観光物産交流会を開催するなど、新型コロナウイルス禍などで停滞していた交流活動が再び活発化している。

北海道では平成20年以降、23自治体・団体に日台親善協会が発足。台湾の自治体や博物館などと友好交流の協定を結ぶ動きも進む。胆振(いぶり)地方の安平(あびら)町は昨年4月、自治体名に同じ漢字を使用していたことが縁となり、台南市安平(あんぴん)区と友好協定を締結。白老町は先住民族に関する施設間協定の締結を契機に、定期的な訪問交流事業を行う。こうした活動は道内各地に広がっている。

修学旅行先に台湾を選ぶケースも増えている。同分処の調べでは昨年1年間、北海道から台湾を訪れた高校は7校で「これまでにない多さ」(粘処長)。2年前の北海道主催の教育旅行セミナーで台湾に関する情報を発信したことが奏功したほか、「地理的な近さや安全に海外の文化を学べるなどの理解が広がった」と手応えを語る。

日本との交流関係が深化する一方、国際的な課題には協力を呼びかける。

最近の台湾情勢をみると、台中間の事実上の停戦ラインである台湾海峡上空に設定された民間航空機の航路ルート「M503」について、中国が2月から一方的に中間線よりに移動させたことが明らかになった。これについて粘処長は「現状変更を狙ったもの。既成事実を作ろうとしている」などと述べ、国際社会に対して台湾への理解と支援を求めた。

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/粘信士-台北駐日経済文化代表処札幌分処長-北海道との交流深化に意欲/ar-BB1kda59


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阿寒の森と湖が見せる冬の顔。進化をめざす国立公園をスキーブランド「フィッシャー」と行く

2024-03-21 | アイヌ民族関連

Esquire2024/03/20  Ryutaro Hayashi

観光から体験へ。世界基準の国立公園をめざす動きが始まっています。

極寒の阿寒が熱い。いや、アツい。なんでも、新たな旅のスタイルに向けた取り組みが進められているのだということ。そんな噂を聞きつけて、オーストリア生まれのスキーブランド「FISCHER(フィッシャー)」からの招待で道東(どうとう:北海道東部)の阿寒湖へ。森と湖畔をめぐり、BCクロカンで凍った阿寒湖の上を冒険。見えてきたのは豊かな自然と、新たな姿を模索する国立公園の姿でした。

そこは豊かな自然と野生動物が暮らす楽園

今回訪れた阿寒湖があるのは、釧路空港から車で40分ほど北上したエリア。道東は北海道の中では比較的雪の少ないエリアとのことでしたが、それでも空港から町までの道中には多くの雪が残り、冬の北国の厳しさが顔をのぞかせています。いくつかの集落を過ぎると車窓の外には広大な森が広がり、野生の鹿の親子が出迎えてくれました。「いまの動物、見た!?」などと車内で騒いでいる間に、車は阿寒町阿寒湖温泉に到着。ここが今回の旅の宿泊地で、建ち並ぶホテル群に隣接するように冬の寒さで湖面が凍った阿寒湖が広がっています

羽田空港からの所要時間は95分。たまっていた原稿を書き終える間もなく、あっという間に到着した釧路空港。愛称は「たんちょう釧路空港」。「タンチョウの里」とも呼ばれる釧路の自然に由来する愛称です。この時期、羽田空港からは1日6便。

阿寒湖について説明する前に、まずは阿寒湖を擁する「阿寒摩周国立公園」について。

日本で初めて国立公園が指定されたのは1934年、この年に8つの国立公園が誕生しました。3月に指定された瀬戸内海、雲仙、霧島の3カ所が日本初の国立公園となりますが、阿寒摩周国立公園は同年12月に指定された歴史ある国立公園となります。サッカーJリーグでは、1993年の開幕元年にリーグに加盟していたチームを愛着込めて“オリジナル10”と呼びますが、言ってみれば阿寒摩周国立公園は、国立公園の“オリジナル8”的な存在というわけです。

阿寒摩周国立公園内には現在も噴気活動が続く火山性の山々と、それを包むようにエゾマツ、トドマツなどの亜高山帯針葉樹林、そしてナラなどの広葉樹を交えた針広混交林の深い天然林が広がっています。そして北西には標高1370mの雄阿寒岳(おあかんだけ)、南東には標高1499mの雌阿寒岳(めあかんだけ)を望む山麓、標高420mに今回訪れた阿寒湖があります。周辺には世界有数の透明度を誇る摩周湖、国内最大のカルデラ湖として知られる屈斜路湖が点在しています。

もし公園の名前に少しピンとこないなら、それは2017年に名称が変更されたからかもしれません。以前は、「阿寒国立公園」の名前で親しまれていました。

原生的な自然に恵まれる阿寒摩周国立公園には、距離や難易度の異なる充実したトレイルがそろっています。登山やトレッキング、森林散策に加え、カヌーやフィッシング、キャンプ、そして冬場はスキーなどアクティビティも充実。

春になれば森の中で新緑の香りを嗅ぎ、夏になればテントを張ってエゾマツやトドマツに囲まれて眠りに就くことも。カヌーやボートで阿寒湖にこぎ出すのは相当気持ちがいいはずですし、冬になれば世界基準のレースも開催される町自慢のスキー場で優雅にシュプールを描いてみたり、スノーボードで傾斜を攻めるのもアリ。疲れた身体は、温泉が優しく癒やしてくれるはずです。

国立公園満喫プロジェクトが進行中。“日本のヨセミテ”が誕生する日も⁉

思いっきり身体を動かした後は、文化的な体験も。

今回宿泊したのは阿寒湖畔の阿寒町阿寒湖温泉でしたが、この町には道内最大級のアイヌコミュニティ「阿寒湖アイヌコタン」が広がっています。ほかにも、「アイヌシアターイコㇿ」という国内初のアイヌ文化専用劇場があり、2022年には阿寒湖の目の前に「阿寒アートギャラリー」が完成しました。このギャラリーでは、地域の自然やアイヌ文化と向き合う芸術家の作品が展示されています。町を少し歩けば、先住民族の伝統文化の一端に出合えます。

Wolfgang Kaehler//Getty Images

アイヌ文化専用屋内劇場の「阿寒湖アイヌシアターイコㇿ」。ユネスコ世界無形文化遺産に指定された「アイヌ古式舞踊」や、映像や現代舞踊の演出を加えた「ロストカムイ」などの演目が鑑賞可能。

豊かな自然と古来の文化という観光資源に恵まれる阿寒摩周国立公園ですが、今後さらに進化する可能性も。この公園では「国立公園満喫プロジェクト」という環境省が提唱する計画が、数ある国立公園の中でも先行的かつ集中的に進められています。その大きな枠組みの中、現在はプロジェクトを推進するための具体的な取り組み内容にあたる「ステップアッププログラム2025」が策定され、実施されています。

国立公園満喫プロジェクトは、日本を訪れる外国人旅行者数の目標を6000万人とする政府の取り組みの一環という位置づけ。公園の魅力をより広く知ってもらうことが大きな柱となります。

その内容をざっとかみ砕いて説明すると、『その自然には、物語がある。』をテーマに、自然だけでなく地域の伝統文化や歴史、人の暮らしに触れられる国立公園を目指すというもの。ツアーオペレーターの育成や公園内の公共空間の整備などのアップグレードに加え、国立公園の新たな活用方法なども話し合われ最終的には世界水準のナショナルパークとしてブランド化を図ろうとする、なんとも壮大な計画です。

実現のためには、ここでは書ききれないほどに複雑な問題が数多く存在するのは確かでしょう。ですが、少なくともこの取り組みは、知らぬ間に忘れていた国立公園の価値やポテンシャルを改めて考え直す良いきっかけになるように思いました。もしかしたらいつの日か、アメリカにおけるヨセミテやイエローストーンなどと肩を並べるほどに有名な国立公園が日本にも数多く誕生するかもしれません。

阿寒湖の生き字引が語る“負の時代”からの再生

未来へのポテンシャルを感じられた今回の阿寒湖巡りですが、その阿寒湖も以前は汚染に悩んでいた歴史がありました。当時をよく知る松岡尚幸さんによると、「湖畔は一時、ヘドロでひどいありさまだった」と言います。

「もともとは、とてもきれいな湖だったんですよ。ボートで湖に出たら、手で水をすくってそのまま飲んでいたくらいですからね。それが観光客の増加などで人の手が多く入るようになった。排水が湖に流れ込むようになると、湖はヘドロ臭くて近づけたものじゃない。私が高校生くらいのときだから、50年以上前のことですかね」

排水処理設備が整備されて以降は徐々に水質は改善され、現在では水の透明度が9メートルにまで達したということ。それは阿寒湖が国立公園に指定される前とほぼ同水準とされる美しさ。一時からの自然環境改善の裏には設備完備だけでなく、自然に対する人々の意識に大きな変化があったことも想像に難くありません。

そんな再生物語を聞き、阿寒湖の自然がただ天から授かったものだけでなく、地元民の努力によって再び獲得された恵みでもあることを知ると、この町の自然もまた違って見えるように感じられました。

BCクロカンで凍結した阿寒湖の上を行く

2月半ばの訪問となった今回。オーストリア発祥のスキーブランド「フィッシャー(Fischer)」の案内で、その凍った湖面を利用して「BCクロカン」で阿寒湖を歩くという特別な体験もしてきました。ちなみにフィッシャーは1924年からスキー製造事業を行い、現在も個人経営の同族会社として歩みを続けている歴史あるブランドです。

そのBCクロカンですが、正式名称を「バックカントリー(BC)クロスカントリー(クロカン)」と言い、要はゲレンデではなく雪原や雪山を歩くために生まれたスキーとなります。よく似た存在に「クロスカントリースキー」がありますが、それはゲレンデ以外の雪山などの滑降を楽しむアルペンスキーを指すことが多いのだそうです。

ブランドやユーザーの歩く(滑る)スタイルによって多少の違いはあるものの、道具も他のスキーとは少し違います。今回はフィッシャーの道具を使用しましたが、まずBCクロカン用のブーツが軽くて実に歩きやすかったです。個人的にスキーと言えばプラスチック製ブーツのイメージを持っていましたが、レザーや特殊なファブリックが使用されていて、その印象はほぼ登山靴のよう。爽快感があり、雪山で履くからと言って特別に疲れやすいという印象もありません。スキー板は軽いうえに短く、扱いやすい。板にブーツを取り付けるビンディングは、つま先だけを固定するタイプでした。

ツアーインストラクター先導のもと、凍った阿寒湖の上へと歩き出します。「歩く」とは言っても、スキー板を前に押し出してから引きずるように動かすので、歩きと滑りのちょうど中間のような動きで前へ前へと進んでいきます。この時期の氷の厚さはおよそ20~30センチほど。多くの場所では凍結した氷の上を雪が覆い、実際に歩いた感覚は整備された雪の野道のようでした。

ブーツもスキー板も軽いので、とにかく取り回しが楽。ブーツの踵(かかと)がスキー板に固定されていないこともあり、普段通りに歩くような感覚でストレスなく湖の上を進んでいきます。雪道移動のハードルが低い(というか、ほぼない)ので気分に余裕が生まれ、おのずと視線は周囲の雄大な景色へ。普段は水で満たされている湖上だけに視界は抜群、360度見渡す限りに大自然が広がります。阿寒湖を挟むように屹立(きつりつ)する雄阿寒岳と雌阿寒岳を眺めながら、この地にまつわる説明をツアーインストラクターから受け、凍った湖の上を縦横無尽に散策していきます。

冬ならではの自然に包まれるゆったり過ごす贅沢な冒険

自然の声に耳を傾け、冬の大自然をゆっくりと眺めながら自然の中へと分け入っていくBCクロカンならではの体験。それはとてもぜいたくな時間に感じられ、スピードや爽快感、技の難易度を求めるスキーやスノーボードとは違う観点で楽しむ冬の雪原は他にはない魅力に満ちていました。

ましてや今回の訪問では、阿寒湖にまつわる歴史やこの町の文化、国立公園としての未来像にも触れることも。そのおかげでしょうか、ゆっくりと噛みしめるようにこの地と対話し、大自然を少し奥行きのある視点で眺められたように思います。

BCクロカンを2時間半楽しんだ感想としては、とにかく手軽で簡単。普段スキーをしない人でも簡単に楽しめるアクティビティだということ。スキー旅行の中のプログラムのひとつに入れるのもよさそうです。そして、春から秋にかけて森の中でトレイルやハイキングを楽しむのと同じように、「アウトドア」という文脈の中で楽しめるのがBCクロカンの魅力であるように感じました。

今回主催したフィッシャーの担当者によると、BCクロカンは北欧ではすでに暮らしに密着した存在であるとのこと。日本での認知度はまだそれほど高くはありませんが、仲間との会話を楽しみながら、ゆっくりと冬の自然と対話するにはうってつけのアウトドア。次のスノーシーズンには、BCクロカンで豊かな冬時間を過ごしてみるのもよいかもしれません。

https://www.esquire.com/jp/lifestyle/travel/a60169201/explore-for-akan-lake-with-fischer/


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環境保護とサステイナブルに取り組む先駆者たちを讃える、「ロレックス賞」の2023年度受賞者が発表

2024-03-21 | 先住民族関連

Pen 2024.03.20 文:並木浩一

未来の世代のために地球を守り、生活を向上させるための野心的なプロジェクトに取り組む個人を支援する「ロレックス賞」。その2023年の受賞者5人が発表された。彼らの活躍のフィールドはケニア、コートジボワール、ゴビ砂漠、アンデス高地、インドネシア。世界中のさまざまな場所、しかもそれぞれ異なる分野で展開されるパイオニアたちの革新的な試みに、「ロレックス賞」はスポットライトを当てる。

「パーペチュアル」の名のもとに展開する、ロレックスの支援活動

「ロレックス賞」が始まったのは1976年のことだ。世界初の防水腕時計「オイスター」の誕生50周年を記念して創設されたこの賞は、世界に関する知識を向上させ、環境を保護し、生息地や種の保全をサポート、人間の福利を向上させる革新的なプロジェクトを行う個人を支援している。当初は1回限りの予定だったが、2年に1度の開催となり、創設以来48年間で160人の受賞者、65カ国でのプロジェクトを支援してきた。

さらにロレックスは2019年に「ロレックス パーペチュアル プラネット イニシアチヴ」を立ち上げ、科学技術を駆使して世界の環境問題を理解し、生態系のバランスを回復する解決策を考案する、個人と組織を支援する活動を強化した。「ロレックス賞」は現在この「ロレックス パーペチュアル プラネット イニシアチヴ」の一環として位置付けられ、環境、科学と医療、応用技術、文化遺産、探検の分野にフォーカスしたプロジェクトを支援する。そして、受賞者はプロジェクトのための資金を提供され、歴代受賞者たちのネットワークに参加することができる。

世界的に著名な専門家やリーダーたち10人の選考委員により選出された、2023年度の受賞者と彼らの活動を紹介しよう。

森林保護から衣料品ブランドまで、多様な取り組みをサポート

かつてインカ帝国を興したと言われるケチュア族の農民の家系出身、ペルー人の生物学者コンスタンティーノ・アウッカ・チュータス。©Rolex/Sofia Lopez Mañan

受賞者のひとり、コンスタンティーノ・アウッカ・チュータスは、ペルー人の生物学者だ。彼はわずか2%まで原生林が減少しているアンデス山脈の高地で先住民コミュニティと協力し、地域の森林再生活動と固有の生態系の保護に取り組んでいる。現地では氷河の後退や急速な森林伐採による土壌の浸食、水資源の減少といった環境変化の悪循環に陥っていた。

チュータスはその対策として地域固有の在来樹木を植樹する活動を開始。既にペルーだけでも450万本もの植樹を行い、60以上の地域コミュニティと関係を結び、アンデス高地諸国の山間部に16の保護区を創設した。彼が自然保護活動家たちと共同設立した、森林再生活動をアンデス中に広めるNGOの「アクシオン・アンディナ」は、エクアドル、チリ、ボリビア、アルゼンチン、ペルーで展開。コロンビアやベネズエラにも拡大して100万ヘクタールの植樹を予定している。

ケニア人社会起業家のベス・コイギは、太陽エネルギーを用いて空気から水を採取する革新的な装置を提供する、マジックウォーター社の共同設立者だ。彼女の母国のケニアでは、人口の半分が清潔な飲料水を利用できていないという。一方で彼女の大気水生成装置は乾燥地帯でも大気中から水を抽出、ろ過し、ミネラルを添加して清潔な飲料水とする一体型装置である。

この装置がいままでに乾燥地帯や半乾燥地帯に供給され、毎月20万リットル以上の清浄な水を1900人以上に提供してきた。さらに現在、ケニア北部の極度の乾燥地帯・トゥルカナにあるアフリカ最大級の難民キャンプであるカクマ難民キャンプと、カロベイエイ居住地区の中心部で、生成した水を適正な価格で販売する「ウォーターキオスク」計画を進めている。

コートジボワール初の霊長類学者であるインザ・コネは、西アフリカの最後の原生林のひとつといわれる広大な湿地帯のタノエ・エヒ森林を「地域管理の自然保護区」にすることに尽力した。1万1000ヘクタールの森林には固有種の動植物が少なくとも45種が生息し、絶滅の危機にある霊長類もいる、生物多様性のショーケースだ。

しかしながらコートジボワールでは、人間の活動により原生林はわずか2%まで減少している。彼は2006年、タノエ・エヒの11農村とともに保護プログラムを確立し、開発計画から森林を守った。かつては狩猟者だった地元住民も、森の専門家として知識を調査のために提供する。2021年、森林はコミュニティが管理する自然保護区として正式指定された。

インドネシアのデニカ・リアディニ=フレッシュは、再生可能な”farm-to-Closet”(農場からクローゼットまで)を一貫して行う衣料品サプライチェーンを設立した社会起業家だ。もともとは開発経済学者であった彼女は、幸福を意味する「スッカチッタ」という名の衣料ブランドを起業した。

製品は協力農家での再生可能農法によるコットンの栽培から始まり、女性たちが収穫し、紡ぎ、織り出した後に、天然植物由来の染料で染色される。このサステイナブルなビジネスは、32カ国で顧客を獲得している。一方で彼女は農村に工芸学校を設立し、そこで女性たちは伝統的な農業と織物の生産技術、製品の収益化を可能にするビジネススキルを学ぶ。現在までに農家から織物職人、裁縫職人ら1400人以上がプロジェクトに参加しているが、2030年までにはその数を1万人に増やして、荒廃した1000ヘクタールの土壌を再生する計画が進行中だ。またインドネシア内の僻地までスッカチッタのトレーニングを広げるアプリを開発中である。

シャオチュアン・リュウはリモートセンシング=遠隔検知のスペシャリストであり、中国の月探査機と火星探査機の開発で重要な役割を果たした実績がある。その科学的専門知識はいま、中国とモンゴルのゴビ砂漠地域で野生のラクダを衛星追跡し、未来に向けた保護の支援活動を行なっている。何千年も前からモンゴルと中国にまたがるゴビ砂漠に生息してきた野生のラクダは、現在約1000頭まで減少。月面ローバーの試行運転の候補地として乾燥した岩だらけのゴビ砂漠を訪れたリュウは、滞在中に野生のラクダの窮状を知った。現在、彼はチームとともに、衛星トラッカーと遠隔検知技術を利用して群れを追跡。「中国野生ラクダ国立公園」と「中国・モンゴル越境野生ラクダ自然保護区」の2カ所の新設を視野に入れ、生息地の調査を続けている。

今回も多種多様なプロジェクトに挑む受賞者たちが揃った「ロレックス賞」だが、ロレックスは彼らをサポートするだけではなく、45年以上にわたり、そのネットワークの中で受賞者たちを引き合わせてきた。新世代の受賞者たちに知識を伝えたり、補完的な専門分野を共有したり、この唯一無二のグループは、お互いのスキルや専門知識によって、さらに大きな影響力を生み出し、地球の環境問題の解決策を見いだそうとしているのである。

日本ロレックス

TEL:0120-929-570
2023年度ロレックス賞受賞者は
こちら

https://www.pen-online.jp/article/015490.html


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