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《直木賞候補作インタビュー》「今の社会にも“生贄”は存在する」アステカ神話と麻薬戦争、臓器密売ビジネスが交錯する佐藤究の「クライムノベル」『テスカトリポカ』

2021-07-11 | 先住民族関連
文春オンライン 2021/7/10 
「麻薬売買や臓器売買は、資本主義の究極の形だと思います。僕らの周りにも、一見普通の人でも、お金の話になると容赦ない人がいますよね。ビジネスの世界では、善悪関係なく法に触れさえしなければ良い、金儲けが全てという会社もあります。裏社会で生きる人々は、僕たちとは違う世界の人間のように思えるかもしれませんが、資本主義のシステムの上で生きているという点では、ある意味地続きなんです」
 佐藤究さん3年半ぶりの新作長編『テスカトリポカ』は、アステカ神話と麻薬戦争、臓器密売ビジネスが絡まり合う壮大なクライムノベルだ。
 メキシコの麻薬カルテルを仕切るバルミロ・カサソラは、残虐な男として恐れられていたが、麻薬抗争に敗れ、単身ジャカルタへ逃れる。そこで出会ったのが、かつて心臓外科医だった臓器ブローカーの日本人、末永。彼らに共通するのが“心臓”への並々ならぬ執着だった。バルミロは幼い頃、アステカの神々を信仰する先住民族の祖母から、滅びたアステカで行われていた人の心臓を神に捧げる儀式について教えられていた。彼は末永の企てる心臓の売買に、アステカの儀式を重ね合わせ、闇の世界に引き込まれていく。
「アステカの人身供犠は信じられない話かもしれませんが、実は今の社会にも“生贄”は存在します。SNSで誰かを吊し上げにするのは、そのひとつでしょう。そして臓器売買は、誰かの命のために、誰かの臓器を犠牲にするわけですから、アステカの儀式と同じ構造です」
犯罪と激しい暴力を描きながら、それらを解除する
 やがてバルミロと末永は臓器ビジネスの拡大を目指し日本へ向かう。川崎を拠点に活動を始めるが、自らの目的のためなら人殺しも厭わない。
 本作で重要な役割を担うもうひとりの人物が、メキシコ人の母と日本人の暴力団幹部の父を持つ土方(ひじかた)コシモだ。屈強な肉体を持つコシモは、ある事件で少年院へ送られるが、木工技術を評価され、施設を出ると工房で働き始める。だが、そこはバルミロらの犯罪の一端を担っており、コシモは知らず知らずのうちに巻き込まれていく。
「フェイクニュースや陰謀論がまかり通る昨今、フィクションに何ができるのだろう、とずっと考えていました。小説だからといってダークサイドの部分を執拗に描くだけでは、他の作品の二番煎じにしかならない。本作では、犯罪と激しい暴力を描きながら、それらを解除していくことを試みました」
 コシモは自らの置かれた状況に気づいたとき、どんな行動を起こすのか。読後は強烈なカタルシスを味わうこと間違いなしの大作だ。
さとうきわむ 1977年福岡県生まれ。2016年『QJKJQ』で江戸川乱歩賞受賞。18年『Ank: a mirroring ape』で大藪春彦賞および吉川英治文学新人賞を受賞。
テスカトリポカ
佐藤 究
KADOKAWA
2021年2月19日 発売
https://bunshun.jp/articles/-/46320

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医療従事者への感謝込めたオンラインライブ 20万人が同時視聴 蔡総統もPR/台湾

2021-07-11 | 先住民族関連
中央フォーカス台湾 7/10(土) 15:50
(台北中央社)新型コロナウイルスと戦う医療従事者への感謝を伝えるオンラインコンサートが9日に配信開始され、初日には約20万人の同時視聴者を集めた。
コンサートは、台湾の非政府組織(NGO)中華文化総会とインディーズレーベルの角頭音楽が共催。ロックバンドのクォーターバック(四分衛)、台湾原住民(先住民)プユマ族出身の歌手、サンプーイ(桑布伊)、シンガーソングライターのクー・ミンシュン(柯泯薰)、ジャズシンガーのターニャ(薛詒丹)が歌とメッセージで感謝を伝えた。
中華文化総会の会長を務める蔡英文(さいえいぶん)総統は9日、自身のインスタグラムを通じてコンサートのPRを展開。「全ての医療従事者はみな、コロナ対策における最大の功労者」とつづって関係者にエールを送った。その上で国民に対しても、これまで実施されてきた規制措置が13日から一部緩和されるが、警戒レベルを引き下げる段階には至っていないと念を押し、引き続き関連措置に協力してほしいと呼び掛けた。
オンラインコンサートは7月に計4回、週1回のペースで無料配信される。初回配信は金曜日の午後8時。中華文化総会や衛生福利部(保健省)のフェイスブックなど8つの配信プラットフォームで視聴できる。(王心妤/編集:塚越西穂)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0b6e5e86ba7e488cbfb7bdeac72be36e54676d54

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/中 アイヌ権利、真の回復を 新法に改善の余地「国、議論して」 /北海道

2021-07-11 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2021/7/10 地方版 有料記事 1738文字
アイヌ民族としての思いを語る平取アイヌ協会会長の木村英彦さん=北海道平取町で2021年7月4日、高橋由衣撮影
アイヌ民族としての思いを語る平取アイヌ協会会長の木村英彦さん=北海道平取町で2021年7月4日、高橋由衣撮影
森林活用、サケ捕獲、先住権…
 「ちょっと行くか」。子どもの頃、アイヌとして生きた祖父が唐突に言った。森林の獣道を一緒に歩いた。山頂にたどり着くと、眼下に自分たちが暮らす集落が広がっていた――。
 約45年前の出来事。平取町二風谷地区に生まれ育った木村英彦さん(57)は「あれ一度きりだった。おっかないじいさんが、山に連れて行ってくれた」と思いを巡らせた。
 明治以降、政府の同化政策でアイヌ固有の生活や文化を奪われた時代をよく知る祖父。祖母との夫婦げんかはアイヌ語だったが、孫を前にアイヌについて語ることはなかった。「今思えば、自分が小さい時に教わったことを伝えようとしていたのかもしれない」
この記事は有料記事です。 残り1444文字(全文1738文字)
https://mainichi.jp/articles/20210710/ddl/k01/040/041000c

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略奪された先住民の大地 アメリカの罪過

2021-07-11 | 先住民族関連
CRI 2021-07-10 12:32
 アメリカは歴史上、幾度となく先住民族に対するジェノサイドの罪を繰り返してきた。人種差別と白人至上主義が横行するアメリカ社会で、先住民の生活は今でも困難を極めている。多くのアメリカ人がいまだに歴史を認めず、その罪を反省していないからだ。現地時間6日、フォックス・ニュースのキャスター、ジェシー・ウォッターズ氏は、ある下院議員の意見に反論しようとして、「アメリカ人は先住民から土地を盗んだのではない。戦争をして土地を獲得したのだ」と発言した。この迂闊なコメントに、ネット上ではバッシングが浴びせられている。あるネットユーザーは、「この土地は戦いで勝ち取ったものではない。植民者の手口は、ヨーロッパから致死性ウイルスを持ち込み、先住民にばら撒いて、この土地を『ノーマンズランド』にするというものだった。その後で、植民者はこの土地に入り込んできたのだ」とコメントしている。
 地図を見ればわかるように、現在のアメリカの大部分が建国当初には先住民が住んでいた土地だ。時が経つにつれて、東から西へと先住民の土地は徐々に消えていった。
 アメリカ政府は、様々な手を使って、現在のアメリカの領土の約3分の2にあたる600万平方キロメートルの土地を先住民から奪ったのだ。
 アメリカ政府は先住民のために「居留地」を設けているが、その居留地は主に不毛の地である中西部にあり、中には水、電気、食料などの基本的なライフラインすら保証されていない場所も多い。
 アメリカには「人権擁護」という名のこん棒を振り回す資格はない。先住民に対して犯した罪は、決して美化されたり忘れられたりしてはならない。
http://japanese.cri.cn/20210710/c529122c-b940-652b-474c-d6d2765a87da.html


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NZ選手団を「おもてなし」 びわ湖プリンス、バブル方式で対策

2021-07-11 | 先住民族関連
毎日新聞 2021/07/10 11:56
 東京オリンピックに出場するニュージーランドのボート代表選手団は11日から大津市で事前合宿をする。滞在先となる、びわ湖大津プリンスホテル(同市におの浜4)の担当者は「徹底した新型コロナウイルス対策で、安心して滞在してもらい、大会の成功に寄与したい」と意気込む。
 選手団は男子15人、女子20人、チームドクターや管理栄養士らスタッフ18人の計53人。外部との接触を遮断される「バブル方式」で行動する。
 ホテルでは一般客とは別の出入り口を使う。選手団が宿泊する3フロアや最上階のレストランを貸し切りとし、専用エレベーターで移動する。シェフや客室清掃員ら合宿をサポートするホテルスタッフ約30人は4日に1回、新型コロナの抗原検査を受ける。
 自由に外に出られない選手団のため、ホテルスタッフは「おもてなし」にも工夫を凝らす。選手35人には、名前入りのタンブラーとメッセージカードをそれぞれの部屋に用意。タンブラーは桜をイメージしたデザインで、琵琶湖が描かれている。レストランには、英語やニュージーランド先住民族のマオリ語でホテルスタッフが応援メッセージを書いた同国国旗を飾った。滋賀や京都の観光名所の映像も流される。
 同ホテル事業戦略アシスタントマネジャー、竹内あずささん(43)は「スタッフも健康管理に注意し、万全の態勢で臨む。徹底した感染対策を取り、大会に向けてリラックスできるよう、心を込めておもてなししたい。コロナが落ち着いたら、また家族と旅行に来てもらえたら」と話している。
 選手団は10日深夜に関西国際空港に到着し、新型コロナのPCR検査を受けた後、11日未明に大津市に入る予定。事前合宿には、練習をサポートするモーターボート操縦士やバス運転手、ガイドら日本人スタッフ9人も帯同する。
 人口約500万人のニュージーランドの新型コロナ感染者数は9日現在で累計2765人、死者は26人となっている。【菅健吾】
https://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20210710k0000m040102000c.html

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入場者25万人 新型コロナ影響 政府目標の4分の1 アイヌ文化発信に成果 ウポポイ開業1年

2021-07-11 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 7/10(土) 13:07
 アイヌ文化の復興と発展のナショナルセンターとして国が白老町に整備した民族共生象徴空間(ウポポイ)が12日で開業から1年を迎えるのを前に、管理運営するアイヌ民族文化財団(本部札幌)は9日、ウポポイで記者会見を開いた。新型コロナウイルス感染流行の逆風に遭いながらも、オープン以降の入場者数は25万5000人に上ったとし、斉藤基也本部長は「ウポポイの使命であるアイヌ文化発信、普及啓発に一定の成果があったと評価していただけるのではないか」と述べた。
 昨年7月12日に開業したウポポイの入場者数は、今月7日(営業日数計285日)までに25万5190人となり、1日平均で895人(平日765人、土日祝日1106人)を数えた。受け入れ人数の制限、緊急事態宣言に伴う休館措置(6月1~20日)など新型コロナの影響で、年間100万人を掲げた政府目標の4分の1にとどまったものの、斉藤本部長は入場実績について「制約がある中でこれだけの方々に来場していただいた」と受け止めた。さらにコロナ収束後を見据えて、「展示や上演プログラムの充実を図りたい」と述べた。
 来場者のウポポイへの評価については「独自の聞き取り調査で満足・まあまあ満足を合わせて7割に上った」と説明。満足度を高めるため、「チセ(家屋)内覧プログラムを拡大したり、子ども向け行事を取り入れたりと来場者ニーズに応えてきたところ」とし、今後も取り組みを進める考えを示した。
 小中学校や高校の教育旅行の実績に関しては、初年度の2020年度に道内外の643校・計5万1562人が来場。今年度は7月7日までに797校(計7万8003人)から予約が入り、人数で既に前年実績の1・5倍となった。児童生徒の教育施設としての存在感も高まる中、斉藤本部長は「アイヌの文化歴史、世界観を学び、文化の多様性や人権尊重の気持ちを養っていただくために精進したい」と語った。
 文化伝承の担い手育成も施設の大きな役割とし、「旧アイヌ民族博物館の資料を教材に伝統的歌唱などを学ぶチームをつくり、伝統芸能のスキルアップを図っている。ウポポイの機能を果たせるよう努めたい」と述べた。
 一方、国立アイヌ民族博物館の入館者数は、今月7日までに19万3716人となり、1日平均で680人(平日615人、土日祝日783人)を数えた。佐々木史郎館長は「コロナ対策を続けてきた中ではまずまずの数字。今後イベントの種類を増やすなど、いろんな形の博物館の利用方法を提供したい」と述べた。調査研究については「科学分析装置も活用して研究活動を深め、成果を展示や教育に生かす博物館機能を軌道に乗せたい」とし、苫小牧市弁天で今年発見されたアイヌ民族の舟イタオマチプの共同研究を同市と進めていることも明かした。また、3月の日本テレビの情報番組でアイヌ民族への差別的表現があった問題を受け、小中学校の授業でアイヌ民族について正しく伝えてもらうため、教員対象の研修会を8月2日に開くことも説明した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d04a8b6600f0694563603da057663c8706644e8e

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アニメ『シャーマンキング』15話“ホロホロ物語”初アニメ化!「霜焼けする」と歓喜の声

2021-07-11 | アイヌ民族関連
まいじつエンタ 2021年7月10日
武井宏之の人気コミックを原作としたアニメ『SHAMAN KING』(テレビ東京系)の第15話『歯車のかみあう時』が、7月8日に放送された。今回は大自然を愛するアイヌの末裔・ホロホロを主人公としたエピソードが繰り広げられ、ファンたちを大興奮させている。
リゼルグを仲間に加えた葉たちは、デュリンゴの町の途中にある雪山へ到着。そこでホロホロはスノーボードに夢中になり、葉たちに置き去りにされる。1人雪山に残ったホロホロだったが、持ち霊・コロロが姿を消した上、崖から落ちて大ケガを負うことに。そんなホロホロを救ったのは、雪山を守るナショナルパークレンジャー・ブルーベルだった。
三日三晩意識不明になる大ケガにも関わらず、すぐさまコロロを探しに行こうとするホロホロ。ブルーベルは狂暴な熊・アポロの存在を教えるが、ホロホロは聞く耳を持たない。むしろアポロと正面から向き合い、決死の働きかけで絆を深めていく。
ところがそこに遊びで動物を狩るハンターの魔の手が迫り、アポロは銃殺されてしまう。ホロホロは怒りを露わにすると、一部始終を見ていたコロロと共にハンターと戦うのだった──。
ホロホロの活躍を描いた今回のエピソードは、2001年に制作された旧アニメ版ではアニメオリジナルエピソードに差し替えられていた。そのため約20年越しに実現した初のアニメ化に、多くのファンが感極まっているようだ。
放送終了後には、ネット中で《20年間待ち続けたホロホロ物語がついにアニメで放送された!》《ホロホロクソかっけぇ…20年前もホロホロ推しだったの思い出した》《マジで霜焼けする》《今日のホロホロの回はマジ最高! 自分の中で一番好きな話だから終始興奮がおさまらん!》《ホロホロ物語、アニメ化してくれてありがとう》《原作読んだ当時、ホロホロの冷静だけど熱い思いと叫びに泣いたの思い出した》といった歓喜の声が相次いでいた。
作中では〝アイヌ民族の末裔〟というホロホロのルーツを踏まえて、熊のアポロを大切にする一幕も。その一方でアポロに傷つけられた際には、自身の夢である大フキ畑を作るまで「死なない」と豪語するなど、熱い一面ものぞかせていた。ホロホロの魅力が凝縮されたエピソードとなっているため、原作ファンから圧倒的な支持を得ているのも納得だ。
旧アニメではホロホロの魅力に気づけなかった人も、今作を見れば虜になること間違いなし。今後は他のメインキャラたちも掘り下げられ、あらためて人気が爆発するかもしれない。
文=大獄貴司
https://myjitsu.jp/enta/archives/92668

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国連人権理事会で浮かび上がる中国の人権戦略

2021-07-11 | 先住民族関連
SWI 2021/07/10 09:00
創設15年を迎えた国連人権理事会(本部・ジュネーブ)が今、西洋諸国と中国の対決の主戦場となっている。
戦いの火ぶたを切ったのは国連人権高等弁務官のミシェル・バチェレ氏だ。加盟47カ国の代表者が集まる第47回会合の初日となった先月21日、香港の抗議デモや新疆ウイグル自治区の少数民族に対する中国政府について明確な見解を打ち出した。
バチェレ氏は香港の反体制活動を禁じる「香港国家安全維持法」について「深刻な懸念」を示し、ウイグル自治区で「とりわけ深刻な人権侵害が報告され続けている」として同地への立ち入りを認めるよう改めて求めた。
だが同氏の求めは中国代表によって却下された。中国政府は「中国の領土で不可侵の部分」について、いかなる外部権力の「干渉」も受け入れないと言い放った。劉玉印報道官も「事実を尊重」し「中国に対し誤った発言を止める」ようバチェレ氏に求めた。
名指しの応酬は会期中も続いた。カナダを筆頭に40カ国が少数派のイスラム民族に対する中国の拷問、人権侵害、強制労働を批判した。中国は北朝鮮、ベラルーシ、ベネズエラなどの同盟国とともに応戦。会合で移民に対する非人道的な対応と先住民の人権侵害を取り上げてカナダに反撃した。
激しいやり取りはさらに輪を広げた。欧州訪問したジョー・バイデン米大統領は、西洋の同盟国が団結し、中国が多国間主義に及ぼす影響力の増大を抑え込むべき時が来たと明言した。中国はこの数年、国連機関や国際電気通信連合(ITU)、食糧農業機関(FAO)などの国際機関で幹部ポストの候補者を輩出したり支持したりしてきた。
同時に、中国政府は人権理事会での選挙に勝つために大々的な選挙戦略を打ち出している。
「このように主要国連機関で中国人が活躍しているのは、新興国としての中国政府の巧みな外交的駆け引きと、世界第2位の経済大国としての地位を反映しているとも言える」。新アメリカ安全保障センターでアジア・太平洋を担当するアソシエイト・フェロー、クリスティン・リー他のサイトへ氏は、ニュースサイト「ポリティコ他のサイトへ」でこう分析した。
バイデン政権やリー氏のような西洋諸国の専門家は、ドナルド・トランプ前政権下で米国が人権理事会から撤退したために生じた空白を埋め、中国の伸張に利用していると考える。
「中国政府は自国に有利なように国連や他の国際機関を改変しようとしている。その痕跡は、米国のリーダーシップによる安定を失いバランスを崩したグローバルシステムに刻まれている」 (リー氏)
米国がオブザーバーとして人権理事会に復帰したことは、中国が人権理事会など世界会合で有利にアジェンダ設定を進めようとする試みを妨げる効果があるかもしれない。だが失われた土地を奪い返すのは困難だ。
専門家や外交官は長年、中国を世界市場や国際枠組みに統合することで、中国政府は人権を擁護せざるをえなくなると考えてきた。だが非政府組織(NGO)のヒューマン・ライツ・ウォッチによれば、実際に起こったのはその真逆だ。昨年9月に発表した論文他のサイトへで、「特に習近平政権下で、中国政府は国連の人権監視メカニズムによる中国の監視を弱めようとしている。それだけでなく、深刻な人権侵害を行う国の政府に説明責任を負わせるシステムを無力化しようとさえしている」と指摘した。
論文は「中国政府はもはや説明責任を免れるだけでは飽き足らず、人権理事会のようにいくぶん正義を実現するために設計された国際機関においてさえ、自由を抑圧する権利を主張する他の国を力づけようとしている」とも切り込んだ。
戦略:「協力」を採り入れる  
だが国連機関を無力化する方法は「脱退」に限らない。中国は2018年、「相互に有益な協力」に関する決議を共同提起した。ここで解釈される「協力」とは、人権の優先順位をつけるに当たりA国がB国を尊重することを意味する。それは人権に関する中国の言い分を支持し、中国政府の提起する決議に賛同するよう他国に働きかける効果的なツールとなった。
同決議は2年後に賛成23票、反対16票、棄権8票で採択された。賛成票を投じた国々には、ベラルーシや北朝鮮、ミャンマー、ロシア、シリア、ベネズエラなど多くの独裁政権が名を連ねた。
ジュネーブ国際開発高等研究所紛争・開発・平和構築研究センター(CCDP)他のサイトへの研究者、小林主茂他のサイトへ氏は、途上国の間では多くの意見の食い違いがあるものの、人権理事会では協力一致するという考え方の普及に中国は成功していると指摘する。「相互主義という概念が効果を発揮している」
米ウィリアム・アンド・メアリー大学の国際開発研究所、AidData他のサイトへが6月末に発表した世論調査では、途上国における中国の影響力がこの数年拡大し続けていることが明らかになった。中国が2020年に助言や支援を提供した国は113か国に上り、世界で8番目に影響力のある開発パートナーとなった。
小林氏は、「中国は近年、人権問題を内政とみなしていたこれまでの立場を変え、外交政策においてより積極的なアプローチを取っている」と話す。 「その過程で、中国は他の国と同じように、人権をめぐるストーリー作りに影響を及ぼそうとしている」
ある中国専門家は、中国は西洋諸国とは異なる人権観を持っており、その概念は主権という次元の下で理解しなければならないと説明する。
中国政府はその物の見方を普及するために人権理事会をどう利用するかを学んだ。
だがヒューマン・ライツ・ウォッチは、中国が「国際人権法を国家関係の問題に置き換えようと狙い、個人の権利を守るという国家の責任を無視し、基本的人権を交渉と妥協の対象として扱い、そして市民社会にとって意味のある役割はないと予見している」と指摘する。
中国代表団の言い分では、中国政府は「分裂を生むのではなく、協力を強めたい」と望んでいる。(英語からの翻訳・ムートゥ朋子)
https://www.swissinfo.ch/jpn/%E5%9B%BD%E9%80%A3%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E7%90%86%E4%BA%8B%E4%BC%9A%E3%81%A7%E6%B5%AE%E3%81%8B%E3%81%B3%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%82%8B%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E6%88%A6%E7%95%A5/46762842

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文化の地域性 伝承課題 開業1年 国立アイヌ民族博物館 佐々木館長に聞く

2021-07-11 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/10 18:57
 アイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が12日で開業から1年を迎える。ウポポイの中核施設、国立アイヌ民族博物館の佐々木史郎館長(63)は北海道新聞のインタビューで、アイヌ文化の伝承や研究を巡るこれまでの成果と課題、今後の活動方針について語った。
 ――開業から1年を振り返り、博物館の取り組みの成果を教えてください。
 「新型コロナウイルスの感染対策の入場制限などで苦労しましたが、昨年10月に制限が緩和されてからは順調に来館者を伸ばすことができました。入れ替えを含めると総計1115点の資料を展示し、アイヌの視点からの歴史や文化を伝えることができました。調査研究としては昨年12月からのテーマ展示で、エックス線コンピューター断層撮影装置(CT)を使い、アイヌ民族が儀礼などで使っていたシキナ(ござ)を丸めた状態で撮影し、展開した画像を紹介しました。糸のかけ方や結び方、材料の並べ方など、これまで分からなかった細部の分析結果を解説し、技術の復元につながる研究の一端を知ってもらうことができました」
 ――アイヌ民族の儀礼など、精神文化の伝承の取り組みはいかがですか。
 「儀礼は各地の違いが非常に大きく、祭具のパスイ(箸)の動かし方一つをとってもさまざまな違いがあります。アイヌ文化のうち、儀礼については研究が最も遅れている分野です。若い職員が継承に取り組むとき、旧アイヌ民族博物館の職員の指導や過去の資料で学ぶ以外は現在、それぞれ出身地の儀礼を研究してもらうしかありません。ウポポイとして地域性の違いをどのように捉えて伝えていくかは今後の課題です」
 ――アイヌ文化が根付く道内の他地域とはどう連携していますか。
 「博物館では平取や阿寒の人たちが制作したアイヌ民具などを展示しながら、地域の違いを説明しているほか、刺しゅうやアイヌ語は各地の伝承者を招いて指導をしてもらっています。解説パネルのアイヌ語は各地の方言がそのまま使われており、今後もこのような地域の特色はできる限り展示に反映させます。博物館で道内全体のアイヌ文化を見た後で地方のアイヌ文化に触れてもらう、あるいはその逆の形で、人の流れをつくれればと思います」
 ――学芸員や研究員を中心に、展示や研究を担う人材の育成は進みましたか。
 「展示のつくり方や運営のノウハウは蓄積されてきています。ただ、この1年間は開業準備や初めてのお客さんへの対応があり、思うように研究ができていなかった部分もあります。今後はそれぞれが研究に打ち込みながら、成果発表の場として展示を活用する、というサイクルをつくりたいです」
 ――今後の目標を教えてください。
 「研究成果を今よりも積極的に展示に反映していきます。アイヌ民族への正しい理解を促進するため、学校教諭を対象にした研修会を開くほか、多くの人にアイヌ文化に興味を持ってもらうため、災害や感染症など最近の話題とアイヌ文化を絡めた講演会なども開催していきたいです」(聞き手・斎藤佑樹)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/565642

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