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文化創造の芽生えも ウポポイ開業1年、佐々木館長に聞く 負の歴史発信「慎重に」

2021-07-10 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/10 05:00
 【白老】国が胆振管内白老町に整備したアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の中核施設、国立アイヌ民族博物館の佐々木史郎館長に、開業から1年間の文化発信の成果と今後の課題について聞いた。
 ――この1年で、アイヌ文化を発信する役割はどの程度果たせましたか。
 「コロナ禍の影響で一時休業するなど100パーセントの状態で営業できず、なかなか厳しいです。一方で、古式舞踊のステージでは若い職員が創意工夫で新しい演目をつくるなど、文化創造の芽生えも感じられました。内閣府が昨年11~12月に行った全国世論調査では『ウポポイに行ってみたい』という回答が6割を超え、今後に期待したいです」
 ――アイヌ民族の中には過去の同化政策や差別など「負の歴史」の発信が十分ではないという意見もあります。
 「そうした声がある一方、負の歴史ばかりを出さないでほしいという考えを持つアイヌの人たちもいます。生々しい差別の歴史を出したとき、社会にどんな影響をもたらすのかを慎重に見極める必要があります」
 ――インターネット上では今も「アイヌは先住民族ではない」といった誹謗(ひぼう)中傷があります。
 「そうした言説に惑わされている人たちに対し、事実に基づいて『それは間違っている』とホームページなどで明確に伝える取り組みを重点的に進めてきました。アイヌ民族に対する正しい理解を定着させることはウポポイが一番やらなければいけないことであり、地道に事実を積み重ねることが大切です」
 ――今後の運営方針は。
 「『新たなアイヌ文化の創造及び発展』という理念を実現させるために研究員、学芸員による研究結果を常に展示に反映させ、楽しみながらアイヌ文化を学んでもらえる場をつくりたいです」(聞き手・斎藤佑樹)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/565414

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人材育成の体制づくりを ウポポイ開業1年 専門家ら注文

2021-07-10 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/10 05:00
 12日で開業1年を迎えるアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)。道内のアイヌ民族や先住民族政策の専門家はウポポイ開業で情報発信力が向上したと評価する一方、「アイヌ民族への理解が進んだかきちんと検証すべきだ」と指摘し、アイヌ文化を継承する人材育成の充実も訴えている。
 「アイヌ民族に関心を持つ人が増えた。興味がなかった友人もウポポイには行きたいと話している」。札幌市在住のアイヌ民族の歌手川上容子さん(43)は、ウポポイ開業の効果を実感している。
 昨年7月の開業直後には自身も家族と訪れ、国立アイヌ民族博物館などを見学した。「来場者が気軽に参加できる体験講座や研修などを充実し、多くの人がアイヌ民族を理解する場になってほしい」と期待する。
 一方、日本テレビの差別表現問題やインターネット上のヘイトスピーチ(憎悪表現)が象徴するようにアイヌ民族への差別は今も社会に残る。北大アイヌ・先住民研究センターの加藤博文センター長はウポポイに教育旅行の児童生徒が数多く訪れていることを踏まえ、「若い世代に正しい歴史や文化を伝え、理解してもらう拠点施設としてウポポイの役割は重要だ」と強調する。
 ただ「ウポポイやアイヌ民族という名称はこの1年で社会に広く浸透したが、アイヌ民族への理解が広まったとまでは言えない」とも述べ、ウポポイが発信した情報が正しく伝わっているかを検証する作業が必要だと指摘する。
 人材育成も課題だ。若いアイヌ民族が道内各地から集まり、ウポポイで働くようになったことで、各地域の文化伝承の担い手が不足するとの懸念も出ている。加藤さんは「ウポポイで将来を担う人材を育て、地域に還元する仕組みも考えるべきだ」と提言する。
 明治大の駒見和夫教授(博物館教育)は「博物館は教育機関で、来場者が幅広い学びと気付きを得られる場だ。アイヌ民族や先住民族を切り口に物事の多様性を考える場になることを期待する。地域の人たちと議論できるコミュニティーとしての役割も担ってほしい」と求めた。(田鍋里奈)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/565413

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ウポポイ来場25万人 開業1年 目標の4分の1

2021-07-10 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/09 22:02
 【白老】12日で開業1年となる国のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」(胆振管内白老町)を運営するアイヌ民族文化財団(札幌)は9日、来場者数が7日時点で25万5100人になったと発表した。新型コロナウイルスの影響で一時休業や入場制限を行ったため、政府の来場者目標「年間100万人」の4分の1にとどまった。
 開業1年を控え、財団の斉藤基也運営本部長と、ウポポイの中核施設、国立アイヌ民族博物館の佐々木史郎館長が現地で記者会見し、明らかにした。
 斉藤本部長は「感染対策の制約の中、多くの人に豊かなアイヌ文化に触れてもらえた」と述べ、教育旅行で訪れた児童生徒が6月末までに706校、5万5400人に上ったことも紹介した。佐々木館長は「工芸品の制作体験や学芸員による展示解説が好評だった。今後もアイヌ民具に触れられる展示など新しい体験を提供したい」と語った。
 一方、ウポポイを所管する赤羽一嘉国土交通相は9日の閣議後会見で「新たなことを知ることができたとの満足の声は多数に上る」と手応えを強調しつつ、「感染対策を徹底しながら、来場者目標の達成に向け、誘客戦略をしっかりと構築し、コンテンツの充実に取り組む」と述べた。(斎藤佑樹、酒井聡平)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/565402

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伝統儀式で戦没者供養 上ノ国コシャマイン慰霊祭

2021-07-10 | アイヌ民族関連
北海道新聞 07/09 19:03

上ノ国町の夷王山で行われたコシャマイン慰霊祭
 【上ノ国】第28回コシャマイン慰霊祭(実行委主催)が、町内の夷王山で開かれ、1457年のコシャマインの戦いで命を落としたアイヌ民族と和人を慰霊する儀式を行った。
 1993年に簡易的な儀式を始め、94年から祭壇などを設けて本格的に行われている。慰霊祭は当初、アイヌ民族のみを供養していたが、かつて町内の勝山館跡で和人と共存していたことが分かり、共に供養するようになった。
 3日に行った慰霊祭では、カムイノミ(神への祈り)とイチャルパ(先祖供養)の儀式のほか、クリムセ(弓の舞)を披露し、山からクマが下りてきたことを伝える歌「クテサンナ」をうたった。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、夜の交流会は取りやめた。
 民族衣装をまとった6人と参加者3人が祭壇の前で炭火を囲み、イナウ(木幣)にトノト(神酒)をかけて供養した。実行委メンバーで造形作家の平田篤史さん(59)は「これからもアイヌ民族と和人の慰霊を行っていくので、興味のある人はぜひ参加してほしい」と話した。(宮崎将吾)
◆「イチャルパ」の「ル」と「クリムセ」の「ム」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/565318

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ウポポイ開業まもなく1年 運営財団“学校教育と連携に注力”(動画)

2021-07-10 | アイヌ民族関連
NHK 07月09日 20時50分

白老町にあるアイヌ文化の発信拠点、ウポポイが開業してまもなく1年を迎えます。運営する財団は9日、会見を開き、学校教育との連携に力を入れていく考えを示しました。
民族共生象徴空間=ウポポイは去年7月、白老町に開業し、年間の入場者数で100万人を目標とする中、7日までのおよそ1年間で25万5000人余りが訪れました。
このうちおよそ2割にあたる5万7000人は、全国から修学旅行などで訪れた小中学生や高校生だということです。
ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団の齊藤基也運営本部長は9日の記者会見で「新型コロナウイルスの影響がのしかかる中、これだけ多くの方々に貴重で豊かなアイヌ文化に触れてもらったことは一定の成果があったと評価できる。ウポポイがアイヌ文化の扇の要となり、ネットワークの拠点として文化の継承・創造・発展に注力してきたい」と述べました。
また、ウポポイの中核施設の国立アイヌ民族博物館は、これまでに大学との学術協定を結ぶなどして研究や調査の体制強化を進めてきました。
今後は学校の教諭を対象にした研修会を開くなどして、学校教育との連携にも力をいれていきたいとしています。
国立アイヌ民族博物館の佐々木史郎館長は「博物館の活動としてはまだスタートしたばかりだが、アイヌの歴史・文化の調査研究を深めて展示や教育活動に反映していく。博物館の機能を軌道にのせていきたい」と述べました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20210709/7000036392.html

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「ウポポイだより」 刺しゅう体験担当・小沼史子さん(動画)

2021-07-10 | アイヌ民族関連
NHK07月09日 20時50分

「ウポポイだより」は刺しゅう体験を担当する小沼史子さんです。アイヌの伝統工芸を通して伝えたい思いがありました。
小沼さんはウポポイの工房を訪れた人にとげや渦巻きの形をした代表的なアイヌ文様を触れてもらいます。
「また来るねという一言がすごくうれしいです。入り口で興味を持ってもらい、手仕事だけでなく、アイヌ文化全てに目を向けられるようになってほしい」と話します。
小沼さんはアイヌの家庭で育ちました。しかし、その事実を認めたくなかった時期があり、「若いときはアイヌということに目を向けませんでした。背中を向けて歩いていた」と明かしました。
転機は曾祖母の貝澤こきんさんの写真を見たことです。
こきんさんは差別や偏見がある中で全国を渡り歩き、アイヌ文化の普及に取り組んだ女性でした。
小沼さんは「口に大きな入れ墨があり、歌っている写真や踊っている写真が数枚うちにありました。それを見たときにすごいなと思いました。本来なら隠したい部分なのに、それを堂々と隠しもしないでいたおばあちゃんって心の強い人だと思いました。私ももう隠すのをやめてアイヌだと堂々と言えるようになりたいなと思いました」と当時の思いを語りました。
20代後半になってアイヌ文化を本格的に学び始めた小沼さん。
1本の糸から様々な形や文様を生み出すアイヌ伝統の工芸。受け継がれてきた衣服づくりに取り組む中で、奥深さに気付きました。
小沼さんは「着物にひかれてきれいだな、作ってみたいなと思い、自分で作るようになりました。想像力の豊かさや遊び心が着物でも刺繍でも見えます。それが魅力です」と言います。
小沼さんは工芸を通じて自らのルーツに誇りを持つすばらしさを伝えたいと考えています。
小沼さんは「集団の枠からはみ出ると、それがおかしいと思われてします。でも見方を変えれば個性ですよね。だから、それを認められるような社会になってほしい。特に若い子には堂々と前向きにありのままで活躍してほしいと思います。隠すことは何もありません」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20210709/7000036394.html

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ウポポイ開業1年・みなで歌う世界へ/上 アイヌの実態、進まぬ教育 無知が招く差別、後絶えず /北海道

2021-07-10 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2021/7/9 地方版 有料記事 1850文字
「負の歴史」理解して
 「またやったのか」。札幌アイヌ協会会長の阿部一司さん(74)は携帯電話を耳に当てながら愕然(がくぜん)とした。「日本テレビがアイヌについて差別的な内容を放映した」。知人からの連絡を受け、あの日の出来事が脳裏をよぎった。「あれから27年もたったのに」
 日テレは3月12日、情報番組「スッキリ」でアイヌ民族の女性をテーマにしたドキュメンタリー作品を紹介。お笑い芸人の脳みそ夫さんが「この作品とかけまして動物を見つけたととく。その心は、あ、犬」と謎かけを披露した。アイヌ民族を動物と結びつけ揶揄(やゆ)する言動に「アイヌ民族への侮辱」と批判が殺到した。
 阿部さんは、1994年元日の夜の出来事を思い出した。
この記事は有料記事です。 残り1539文字(全文1850文字)
https://mainichi.jp/articles/20210709/ddl/k01/040/017000c

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これ、なんていう?北海道の公園で見かける「赤い実」の呼び名は…

2021-07-10 | アイヌ民族関連
北海道Likers 2021/07/09 21:30

これ、なんていう?北海道の公園で見かける「赤い実」の呼び名は…
秋口に公園などでよく見かける赤い実。子どものころ、実の部分を食べたことのある方もいるかもしれません。この実を、みなさんは何と呼んでいますか? 道民は「オンコ」もしくは「オンコの実」と呼ぶ方が多いでしょう。この「オンコ」という呼び名、実は北海道独特の呼び名なんです。今回は「オンコ」について紹介していきます。
「オンコ」の正式名称は?
「オンコ」の正式名称は「イチイ」。こちらの名称も聞いたことがあるという方も多いかもしれません。「イチイ」を「オンコ」と呼ぶのは北海道特有で、先住民族の呼び名だともいわれています。和歌の世界では「アララギ」ともいうようです。
耐寒性があるため、北海道や東北などをはじめとして、多くの場所に植えられています。みなさんが思い浮かべる真っ赤な実がなるのは9月ごろから。実は甘みがあり食べられます。「イチイ」は萌芽性が強く、刈込みにも耐えうる特性から、街路樹や庭園樹などに広く用いられているそう。西洋の庭園では、幾何学的に刈り込んだり、動物に似せた形を作ったりするのに用いられているんだとか。
「イチイ」という名前の由来
「イチイ」は漢字で「一位」と書きます。少し変わった名前ですよね。かつて聖徳太子が手にしていた“しゃく”に「イチイ」の木が用いられていたことに由来するそうです。“しゃく”とは、貴族が手に持つ細長い板のこと。ひな人形のお内裏様が持っているものです。聖徳太子が12冠位の最高位である「正一位」であったことから、材料の木に「一位(イチイ)」の名前がついたそうです。
札幌の街路樹としては残りわずか?
1972(昭和47)年、冬季オリンピック札幌大会をひかえた札幌では地下鉄の新設工事が進められていました。駅前通りは全面的な改造が行われ、新たな通りには、「ハルニレ」、「イチイ」、「アカシア」などが植えこまれたといいます。「イチイ」も北海道の新しいシンボル・ロードに一役買っていたんです!
現在の札幌では、街路樹としては円山の第一鳥居付近に数本植えられている程度だそうです。
「オンコ」が方言なのは意外でした。由来のエピソードも面白いですね。「オンコ」を見たとき、ふと思い出していただければ嬉しいです。
【参考】
イチイ-街路樹特性リスト / 札幌市
『北海道の街路樹 : 8題』前山 和彰 / 北海道浅井学園大学生涯学習研究所研究紀要『生涯学習研究と実践』第8号(2005)
【画像】四季写彩、ルートレス、miku / PIXTA(ピクスタ)
https://news.goo.ne.jp/article/hokkaidolikers/region/hokkaidolikers-20210709-40962.html

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アイヌ文化巡る周遊バスの運行開始 札幌観光バス「セタプクサ号」

2021-07-10 | アイヌ民族関連
観光経済新聞 2021年7月9日

 札幌観光バス(札幌市)は7月3日から、アイヌ文化拠点を巡る日帰り周遊バス「セタプクサ号」=写真=の運行を開始する。セタプクサはアイヌ語で「すずらん」を意味する。車体はアペフチカムイ(火の神)をイメージした鮮やかな赤色の下地に白と青でアイヌ文様を力強く描いたもので、平取町在住の伝統工芸作家貝澤守さんと高野啓子さんの2人がデザインを手掛けた。
 運行は3日から10月17日までの土、日、祝日(9月23日を除く)の各日1便。JR札幌駅発着で、新千歳空港を経由してアイヌ文化の交流拠点である白老町の民族共生象徴空間「ウポポイ」と平取町の「二風谷コタン」を周遊する。ウポポイでは約2時間、二風谷コタンでは約50分の見学時間を取り、帰路に温泉施設にも立ち寄る。
 ガイドも同乗し、各地の見どころや見学ポイントなどを説明。アイヌ文化に対する学びを深めてもらう。乗車定員は15人で、料金は乗車コースによって2千円から3千円。
 ウポポイと二風谷コタンは100キロ離れており、双方を直接結ぶ交通機関がなかったが、昨年度から札幌観光バスが平取町のアイヌ政策推進交付金事業を受けて周遊バスを実現した。同社は「ぜひ、多くの皆さんに利用いただき、アイヌ文化に対する理解を深める機会にしてほしい」と話している。
https://www.kankokeizai.com/%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%83%8c%e6%96%87%e5%8c%96%e5%b7%a1%e3%82%8b%e5%91%a8%e9%81%8a%e3%83%90%e3%82%b9%e3%81%ae%e9%81%8b%e8%a1%8c%e9%96%8b%e5%a7%8b%e3%80%80%e6%9c%ad%e5%b9%8c%e8%a6%b3%e5%85%89%e3%83%90/

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上流部解禁へツアー 知床・カムイワッカ湯の滝 ガイド同行、20日まで試行

2021-07-10 | アイヌ民族関連
読売新聞 2021/07/10 05:00[読者会員限定]

 世界自然遺産・知床の名所の一つ、カムイワッカ湯の滝(斜里町)で、落石の危険があるとして15年にわたり立ち入り禁止が続く上流部の解禁に向けて今月からガイドツアーが始まった。利用再開を目指す試行事業で、20日まで危険な場所などについて現地研修を積んだ登録ガイドが上流部を案内する。
 カムイワッカ湯の滝は、観光向けに整備されていない手つかずの姿が魅力で、長靴などで容易に沢登りが楽しめる。温泉が流れ込むため、上流に行くほど温かくなり、滝つぼを天然の露天風呂として楽しむ観光客も多い。年間10万人が訪れた年もある。2006年、落石の危険が指摘され、五つある滝のうち、二の滝から上流が立ち入り禁止になった。
 現在、足を踏み入れられるのは道道沿いの入り口から約100メートルの一の滝付近まで。「カムイワッカ」はアイヌ語で「神の水」を意味し、地元の観光関係者などからは「知床の魅力向上につながる」と上流部の利用再開を求める声が強まり、昨年から、知床斜里町観光協会と林野庁、環境省、道、町などで協議。「管理運営方法によっては再開が可能」として試行事業を実施することになった。
 四の滝付近から上流はむき出しの岩壁が続き、落石の危険が高いため、ガイドツアーでは、五の滝までは行かず、四の滝の滝つぼの手前まで往復する。
 斜里町と知床斜里町観光協会などは23年度まで試行事業を繰り返す。ガイドなしの個人利用も視野に安全に楽しめる管理・運営方法を探り、24年度の利用再開を目指す。
 現地は携帯電話の圏外で、万一の場合の連絡体制も含めて検討すべき課題は多い。「欧米で人気のアドベンチャーツアーの要素もある」と、地元では実現を期待している。
 ツアーは、知床のほかのスポットなどと組み合わせるなど、ガイド事業者によってプランが様々ある。問い合わせは知床観光案内所(0152・24・2639)へ。
https://www.yomiuri.co.jp/local/hokkaido/news/20210709-OYTNT50152/

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