『i 新聞記者ドキュメント』
デイビット・ハルバースタムが好きです。
元を辿れば、立花隆の『アメリカジャーナリズム報告』の中で
『ベスト&ブライテスト』が紹介されていたところからだった。
ベトナム戦争をめぐる内幕がとにかく面白い。
そして、『メディアの権力』へ。
アメリカのジャーナリズム(新聞、雑誌、TV)の中に、
いかに「個人」や「家族」や「民族」が投影されているか。
ある意味衝撃的ですらあった。
アメリカと比べるのもなんだが、日本のメディアに「個人」は見えづらい。
別にスターになる必要はない。
しかし、会社/企業の都合に左右されない、ジャーナリストとしての「個人」。
即ち、一人称単数の“i”。
それこそが現在の日本のメディアに必要なのではないか?
森達也監督が映画のタイトルに込めたのは、そういう意味だ。
東京新聞の望月記者は、空気を読まない。
官邸での記者会見、政治部の記者たちが只管PCに向かってタイプを打つ中、
官房長官に只々質問をぶつけていく。
記者として、特別なことをしている訳ではない。
当たり前のことをしているだけ。
その彼女が、あたかも特別な存在あるかのように取り上げられる。
そのこと自体が、現在の日本の異常さを物語っているともいえる。
メディアは、間違うことがある。
メディアは、正しくないことを伝えることもある。
メディアは、伝えるべきことを伝えないこともある。
しかし、メディアは社会にとって必要な存在だ。
それだけは確かだ。
主権者であるはずの我々国民がやるべきことは何か。
今、我々自身が考えなければならない。
PS
昨日のクルマでの鑑賞ラインナップ
チャイコフスキー:『白鳥の湖』(完走!/プレヴィン&LSO)
B.ディラン:激しい雨
ベルク:歌曲集(Sop:J.ノーマン/ブーレーズ&LSO)
IK!(I Am!/NetherLands Wind Ensemble)