今日も「石膏2」です。
昨日の「石膏1」では「石の華」のイメージを求めました。今日は基本に帰って、単結晶から双晶のものを出します。
Hines Creek,Alberta,Canada 石膏(Gypsum)
これは石膏の単結晶です。石膏は単斜晶系の鉱物で、透明でシャープな形が特徴的です。上の二つは同じような形をしている石膏の単結晶を角度を変えて並べたものです。左の方のものをよく見ると側面の対角線上に細い白い線が見えます。これは何でしょうか?恐らく結晶成長に関係するもののように思えますが、まるでファーデン水晶の白い線のようにも見えてしまいます。
Lake Gillies,Australia 透石膏(Selenite)
これはセレナイトの双晶です。透明でシャープな形が特徴的な双晶です。何かロボットの頭部のようにも見えてしまいます。中心部には泥のような粘土鉱物が詰まっています。この粘土鉱物も双晶形成に関係したのかも知れません。
鉱物はどのような成因で単結晶や双晶になるのでしょうか?私はそのメカニズムの違いをよく理解しておりません。結晶の形の違いは結晶成長の速度の違いからくる事は理解できるのですが、その結晶成長の速度の違いはどうして起こるのか?よく分かりません。双晶には結晶する時の潜熱が影響しているという話を聞いた事があるのですが、その詳しいメカニズムは理解できません。そこには熱力学の知識が必要のようです。私は高校時代に文系を選んでしまって、まともに高校物理もやらなかったせいもあり、過去が悔やまれます。数学でも数Ⅲをやらなかったせいで複素数平面は自分で発見しました。鉱物結晶を理解するための群論を基礎からやり直したいという気持ちもありますが、なかなか出来ていません。
日々、鉱物結晶を見ていると「なぜ?」と思う事が度々あります。
Red River Floodway,winnipeg,manitoba,Canada 石膏(Gypsum)
これは石膏のボール状の単結晶の集合体にひとつの双晶が突出して大きく飛び出しています。どうしてこのような形になったのでしょうか!?これは別々の鉱物の共生ではなく、単一の石膏の結晶です。どのような成因が隠れているのでしょうか?分かりません。
また、このようなものもあります。
Red River Floodway,winnipeg,manitoba,Canada 石膏(Gypsum)
これも上と同じ産地の石膏の結晶です。こちらのものは大きな石膏の単結晶のボール状集合体に四つの大きな双晶とやや大きめの中間的なサイズの双晶が張り付いています。この標本そのものの存在感は抜群です。尖がったところはとんがっています。その自己主張は強烈だと思いますが、どうしてそうなったの?と思わざるを得ません。
このような標本を見ていると自然の神秘を感じてしまいます。これは水石の世界のような石を愛でるという感情よりも知的な好奇心を刺激されてしまいます。水石的な愛石は自然の山河を愛でるという東洋的な意識に近いと思いますが、鉱物結晶への愛石は西洋的なサイエンスを必要とします。それはニューエイジ的なパワーストーンの愛石ともまた違います。
石を愛する事には様々な側面があるようです。
石膏の結晶を見ていて色んな事を考えてしまいました。