西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

市民の力 役所を動かす

2007-01-14 | 地域居住学
今日の『朝日新聞』6面の「補助線」の「縦割り行政の将来を読み解く」で「市民の力 役所を動かす」を辻 陽明編集委員が書いている。実は、この記事は私のブログ読者でマイミクのHIROさんから教わった。HIRO さん自身、ここで例に出されている「森の健康診断」に豊田市で関わっておられる。2000年の東海豪雨の折、矢作川上流で土砂崩れが起きた。これに対して「間伐材の手入れが不十分だからではないか」と「矢作川水系森林ボランティア協議会」が調査を呼びかけた。05年6月4日に最初の調査が行なわれた。公募の市民約200人が38班に分かれ、2㌔おきの106地点で樹木の込み具合や植生など約50項目を調べ、データーを解析した研究者と共同で森づくりも提言した。豊田市はこれに応えて環境保全や林業振興に分かれていた森林政策を統合し、間伐の助成や林道づくりなどの支援を計画的に進めることにした、と言う。そのための条例もつくるようだ。
市民による総合的調査というのは面白い。市民(住民)によるのだから第一に現実の市町村を越えて調査できる。第二に、「縦割り項目」ではなく総合的に項目が作られうる。住民は、国土交通省のためとか文部科学省のためとか農林水産省のために生活しているわけではなく、総合的な生活要求を追求して生きているのだから原理的に「縦割り」ではないのである。正に「市民の力 役所を動かす」だ。それを基礎的調査からやったところが良い。今後、増えていくやり方と思った。

フランスのホームレス

2007-01-14 | 時論、雑感
NHKTV「海外ネット」(道伝愛子キャスター)で「フランスのホームレス」をやっていて興味深かった。フランスでは現在「生活保護」100万人、ホームレス(SDF)10万人うち有職者3万人と言う。働いていても住いがないのである。Working poorだ。一方でパリ市内の中層アパルトマンでは家賃が高くて空室になっている。家賃の4倍も収入がないと入居出来ないらしい。それはあんまり、空室はもったいない、空室のままは無駄だと「空室占拠」も起こっている。パリのサンマルタン運河沿いに400もの赤いテントが張られている。市民の体験「入居」も行なわれ、こういう状況はけしからんとの世論も沸き上がってきた。昨年パリに行った時セーヌ川沿いに青テントが目撃された。政治も黙っていない。もうすぐ大統領選挙があるためもある。「住居で暮らす権利」を認める法律案を出す、とシラク大統領、一方、大統領候補の野党・社会党の女性ロワイヤルさんは12万戸の福祉住宅建設を政策にあげた。与党のサルコジ候補は、しかし、不法入国の外国人にはそういう権利はない、と反動的だ。世界中、格差社会で貧困層も増えている。日本もそうだ、今年は国政選挙、地方選挙もある。しっかり政策を点検しホームレスをなくすよう要求しなければなるまい。
(写真は、パリのホームレス・テント)

近所の散歩

2007-01-14 | 生活描写と読書・観劇等の文化
午後、天気も良かったので近所を一寸散歩した。「丘」を北に降りていくと旧村の山田荘である。真ん中を山田川が東西に流れ、東の方で木津川に合流している。上流は西で生駒山の方向である。私は、この川を北に渡って北の小高い丘に向かったが途中、登る道が見つからず、やむなく清流の流れる用水路沿いに上流、西の生駒方向に向かい旧村の道を歩いた。途中にお寺があったので寄ってみた。西山浄土宗西念寺とある。20年前に建て直されたようだ。その前にある集会所が「豆腐を切ったような」モルタル塗りで一寸幻滅だった。やがてその用水路は暗渠となって見届けられなくなった。やむなく左手に知っている精華第二中学が高台に見えたので、そちらに向かい田んぼの畦道を不安定な格好で歩いて山田川を今度は南に渡り国道163号線沿いに戻った。精華第二中学の辺りで「ニュータウン」に入り、約1時間弱の散歩から戻った。旧村内の道(歩道)はそれほどでもないが、国道163号線の歩道は「形ばかりのもの」で本当に肩身が狭く、早く排気ガスから逃れようと「ニュータウン」に駆け込む始末だった。
(写真は、山田川、向こうの丘にに「ニュータウン」住宅地が見える)

『笑いと治癒力』を読む

2007-01-14 | 生活描写と読書・観劇等の文化
ノーマン・カズンズ著、松田 銑訳『笑いと治癒力』(岩波現代文庫)をざっと読んだ。原題は「ANATOMY OF AN ILLNESS AS PERCEIVED BY THE PATIENT」で、直訳すれば「患者に受け入れられたものとしての病気の解剖学」といったもので、特に「笑い」のみを扱ったものではない。ただ、全体をざっと読むと、笑いを含めて患者の人生に対するプラスの積極的姿勢が闘病にとってもプラスで、免疫力も高めるのでは・・、ということ、ある状況下ではビタミンC(動物では人間を含む霊長類とモルモットがビタミンCを体内で自製できず外部からの摂取が不可欠)の「大量」摂取、投与が効果有りか・・、といったことが印象に残る。著者自身が、膠原病(こうげんびょう)から回復する闘病の過程で、理解ある主治医との協力で「笑い」を積極的に取り入れ、ビタミンCを取り入れた等により回復した経験を持っている。プラシーボ(偽薬)という言葉も初めて知った。「これを飲むと治る」と医者に言われて飲むと、薬でないものでも効くという話だ。「幕間」に創造力と長寿の話があり、著者の知り合いのチェロのパブロ・カザルスとアフリカで医療活動をしたアルバート・シュバイツア博士の生活ぶりが描かれていて興味がある。二人とも95歳を越えて生きた。シュバイツアはユーモアの名手で、病院職員の気持ちをいつも明るくしていたようだ。見習いたい。シュバイツアの伝記を読みたくなった。パブロ・カザルスはチェロを引き立てた張本人(バッハの「無伴奏チェロ組曲」を表に出した)、日本の平井丈一朗(たけいちろう)さんの師だ。http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/2d2ed7dd08a596477cdfc564a4143353
痛みは究極の敵ではなく、病気のサインと言う。肉体と精神全体で健康を考える「ホリスティック・ヘルス」の考え方、本来、人間には自然治癒力があり、医学はそれを有効に引き出すべきもの、という考え方だ。直接症状対応の薬漬け(例えば痛み止めのアスピリン多用)はかえって副作用の害があるのでは、と言う。大筋で賛成できる考えかただ。カマンズさんはジャーナリスト。1910-1990、享年75歳。

中村順一・国立京都国際会館長に会う

2007-01-14 | 2005年4月以降(平女、高槻、学研都市等)
昨日の「平安女学院創立132年の会」に色々な来賓が来ておられたが、そのお一人の中村順一・国立京都国際会館長と名刺交換した。中村さんは「1934年生まれ(72歳)。東京大法学部卒、ケンブリッジ大大学院修士課程修了。58年外務省に入省。91年外務省儀典長、94年駐ベルギー大使。98年に国立京都国際会館館長に就任。」という経歴だ。外務省儀典長をされていたことに目をつけて平安女学院の山岡理事長・学長が4月開設の国際観光学部の「国際儀典」の講座をお願いしたのである。どんな講義なのか、実習なのか、私も参加してみたいくらいだ。私の身内や知り合いにも大使もいたので少し話がしやすかった。叔父に瓜生復男(うりう・またお)元初代アルジェリア大使(元エチオピア大使)がおり、高校時代の友人に石田寛人元チェコ大使がいるからだ。中村さんは勿論、両人を良くご存知だった。ベルギーということで、EUとの関係をお聞きすると、ベルギーには日本から二人の大使を派遣、EU担当とベルギー自体担当で中村さんは後者だったとのことだった。ロマンス・グレーの紳士。平安女学院の学生も感化されて淑女になるのでは、と思った。