西村一朗の地域居住談義

住居・住環境の工夫や課題そして興味あることの談義

「世界金融危機」と日本の針路ー寺島実郎さんの話よりー

2008-10-31 | 時論、雑感
今朝、NHKラジオで、寺島実郎さんの話を布団の中で聞いた。

1989年、日本で「バブル」がはじける前、日本の株価は4万円台だったと言う。それが最近1万円を割って乱高下、現在9千円ほどらしい。まあ19年間で五分の一となっている。アメリカも下がっているとはいえ、ピークの3割位ダウンと言う。

一方、日本の会社全体の「儲け」は、「バブル期」に30兆円から20兆円に落ちたが、その後、60兆円になり、ここの金融危機、不況で3割ダウンのようだ。

こういう状況をどう考えるのか。日本では、「バブル期」以降、低金利政策を取り、日本のお金は日本より金利の高い海外に吸い出された。日本への投資意欲が低下したのである。

一方、円安にして輸出を増やした。内需増大軽視である。エネルギー資源も食料も海外依存である。国内供給の脆弱化である。こういう状況が続くのは、間違いではないかと私も思う。

こういう時、緊急対策として「定額給付金」を言ったり(3年後に「消費税アップ」を言ったり)するよりも、夢のある戦略的転換を提示すべきではないか、と寺島さんは言う。たとえば、海洋域の活用、開発に投資すべきでは、という。

私は、これを聞いていて、食料の自給率を倍増に向ける政策、再生可能エネルギーを本気で開発する政策に本気で取り組むべきである、と思った。

新建築家技術者集団奈良研究集会挨拶予稿

2008-10-30 | 住まい・建築と庭
いやー、こんなに漢字ばかりで長い表題は恐らく初めてですね。

明後日(11月1日)から三日間、奈良で「新建築家技術者集団 第26回全国研究集会」が開かれる。私は、その奈良支部の代表幹事なので、明後日の夕方の懇親会で挨拶しないといけない。ここに予稿を書いておく。これをご覧になって明後日参加される人は、私の挨拶をパスしてよい。


「皆さん、全国各地からようこそ奈良にお出で下さいました。修学旅行以来の人もいたかもしれません。奈良は、周知のように歴史的遺産と豊かな自然環境に恵まれた地域です。どうか三日間、ご堪能下さい。

私は紹介にありましたように奈良支部の代表幹事を勤めています。実務は乾さんや川本さんなどにおんぶしています。今回の準備も彼らを中心に奈良支部会員がやったと思います。私からも「ご苦労さん」と言いたいと思います。

さて、今回のテーマは「木の文化をどう継承・発展させるか」というものです。私が学生時代を送った1960年代前半にはかろうじて「木構造」の講義がありました。ところが1960年代後半から超高層時代とて「木構造」等木造建築を教える講義は消え去りました。最近、復活しているかどうか知りませんが、世の中は木造回帰、それも「無垢の木」回帰だと思います。皮肉なことにシックハウス症候群などが、そのことを後押ししています。学校の講義に木造関係の復活を願いますと共に、もしなくともこの新建で推進していったらと思います。

ところで、新建奈良支部は、1989年10月に設立されましたので、来年で20周年になります。私自身は1970年から4年間、京都の西山研究室、三村研究室の助手をしていましたので、1970年の新建の創立からの会員です。1974年から奈良に転勤になりまして31年間勤め4年前に定年退職しました。その間、奈良支部設立以後、湯川利和先生が代表幹事を勤められましたが、残念ながら10年前に亡くなられましたので、その後、不肖・私が代表幹事を勤めています。それから今まで、最低年に一度、総会と懇親会には参加していますが必ずしも熱心な会員とはいえません。

ただ、新建の機関誌に時々書かせていただいていて、思い出すのは「奈良町保全」にかんするもの、最近では「超高層住宅はなぜおかしいのか」等です。

最近、ちょっと実践していて、新建でも取り入れたらどうか、と提案したいのは、地域SNSです。私たちが実践しているのは、「地域SNS KEIHANNA」です。220人ほどが参加して、日々の日記やコミュニティ書き込みをして相互交流、地域の井戸端会議をやっています。これから「すまいづくり」「まちづくり」の新たな潮流が生まれるのでは、と思います。

最後に、明日からの分科会や見学会が成果をあげますよう祈念しています。

今夕が、その助走となり会員各位の懇親になりますように、とも思います。

では、乾杯をしたいと思います。新建の更なる発展と皆様の御健勝を祈念して、乾杯!」

将来の生活、社会、空間のありかた

2008-10-29 | 思いつきから仮説へ
○生活 シンプル・リッチ・ライフ、少食(玄米・菜食中心・・・)、何事つけ節約(特に省エネ)、半都市半農村、歩行中心(自動車生活を減らす)、基礎的生活力涵養、

○社会 零細農業(自然農)でもやっていける自給率倍増(80%位)、自然再生エネルギー生産に転換、つながりの共生社会、

○空間 新しい田園都市、低層・中層住宅中心、町並み保全、つながりの複合空間(合築)、


こういう将来を目指す(それに近い)政党に今度投票したいと思っている。マニフェストを収集しチェックする積もり。

高槻のブランド戦略など

2008-10-28 | 2005年4月以降(平女、高槻、学研都市等)
今日、高槻市役所で「高槻のブランド戦略」の会議があった。

まあ、高槻市は40万人弱の「中核都市」であるにもかかわらず、同じ中核都市の金沢市や奈良市などと比べて全国的に知名度が落ちるのを何とかしたい、ということだ。来年3月までのプロジェクトだが、平安女学院大学が高槻市と協力の包括協定を結んでいる関係で、この会議のまとめ役(会長)に平安女学院大学学長の山岡 景一郎さんがなり、副会長に私等三人の平安女学院大学の教員が指名された。

この会議の後で、高槻市職員の研修会も兼ねて、山岡学長の「高槻市のブランド戦略」に関する講演会があった。非常に面白く有意義だった。

山岡さんの提案で有意義と思ったのは、市内を南北に流れる芥川を一つの軸にする提案だ。北の山には芥川山城があり、近くに摂津峡の温泉がある。更に北には亀岡の温泉もある。これらを活用する。芥川の「芥」は元々「塵芥」の「芥」である。
それを逆手にとって、環境保全に顕著に貢献した人や団体に「高槻・芥川賞」を出したらどうか、ということだ。文学の「芥川賞」よりずっと以前から高槻の芥川は流れているのだ。これは受けるのではないか、と思った。

もう一つ、駄洒落っぽい言い方で面白かったのは「世界のアランドロンと話が出来なくても、高槻のブランドロン(ブランド論)の議論には参加できる」という言い方だ。ただ、参加していた学生諸君は、アランドロンって何、という感じだったが・・・。

(私は、別室での事前議論で、何事につけ、他都市と違う有意義な他分野つながり企画、その他地域への発展企画を、「高槻方式」と言ったら良い、と発言した。とにかく、「高槻」という言葉を言わざるをえなくして覚えてもらう戦略である。)

で、私が住んでいる「けいはんな学研都市」地域でのブランドはどうなんだろう、思わざるをえなかった。

基本的生活力10ヶ条

2008-10-27 | 生活描写と読書・観劇等の文化
このブログで「基本的生活力」を検索すると幾つか出てくる。その一つを挙げておく。:http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/eb6162f9cc44af240b02a8f59367a7e9

で、数日前、地域SNSで、今までの七つ余りの項目を増補して、切りよく「10ヶ条」にしたらと思い書いた。より広い皆さんにも披露しておきたい。

「私は、今まで老若男女全てで、基礎的生活力が必要、と言ってきた。

特に定年になり「会社人間」から「居住地(地域)人間」にならざるをえない還暦過ぎの男性にとって必要なのは、この基礎的生活力なのだ。

それは何かといえば、今まで(so far)次の七つ(ラッキーセブン)と言ってきた。即ち、炊事、洗濯、掃除、介護(育児)、お洒落、買い物、近所づきあい である。

そのことをある会合で話していたらマイフレンドの「のりちゃん」さんが、「もう一つ必要よ」と言った。それは何かと言えば「家計力(やりくり、きりもり力)」だと言う。うーん、定年後に必要なのは、経済、健康、生きがいの三つというが、その一つの「経済力」が「家計力」である。

では、と以後それら三つを加えて「基礎生活力十ヶ条」にしたら、と思う。

炊事、洗濯、掃除、介護(育児)、お洒落、買い物、近所づきあい、健康管理、家計管理、生きがい追求  である。どうでしょうか、皆さん。」

自然生活、自然エネルギー、自然農法、自然医学、自然住宅・・・

2008-10-26 | 生活描写と読書・観劇等の文化
我々人間も大自然の一部であるのは、誰でも知っている。

だから、その一部であることを自覚して全生活をおくっていきたいものだ。

自然エネルギー:例えばのサイト:http://www.seidensha-ltd.co.jp/~musenlan/clean_energy.html

自然農法:例:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E7%84%B6%E8%BE%B2%E6%B3%95

自然医学:例:http://homepage1.nifty.com/morishita_/

自然住宅:自然素材の住宅という狭い意味ではなく、大自然と「つながり」「交流できる」住宅という広い意味で捉える。大空、星、太陽光、雲、風、水、動植物、大地、近所の人々などとの「つながり」「交流」が確保できる住宅。典型的サイトは未だない。

究極は、自然生活、自然人間だろうな。

けいはんな市民雑学大学第八回開講

2008-10-25 | けいはんな学研都市マター
本日、近鉄・高の原のイオン「こすもすホール」で、けいはんな市民雑学大学第八回を開講した。

「けいはんな学研都市」にある(財)地球環境産業技術研究機構(RITE)の木村邦夫さん(市民教授)による「温暖化から地球を救うために」の講義だった。40名位の参加だった。http://academia.keihanna-city.com/

RITE では、とうもろこし等食料系を原料とするアメリカなどと違い、非食料系の雑草や間伐材等を原料とするバイオエタノール生産において世界に誇る業績をあげている。我々「けいはんな学研都市」市民としては誇らしい業績である。

将来は、バイオブタノール精製まで視野に入れているようだ。エタノールは水に混ざるが、ブタノールは混ざらないので、より有効であろう。

終わって何時ものように懇親会を市民教授の木村さんを囲んで行なった。10名の参加で面白かった。

グレン・グールド演奏「ゴールドベルグ変奏曲」を聞く

2008-10-23 | 生活描写と読書・観劇等の文化
最近、地域のSNSフレンドのピアニストに招かれてミニ・ピアノ・コンサートを聞いてから、家でCDやレコードでピアノ曲を聞くようになった。

最初、勤めた豊田高専では、独身宿舎に住んでいて、隣近所も独身で夜な夜な「持ち回り」でレコード・コンサートをやっていた。事務係長のH.さんがバッハ、同僚のF.さんがモーツアルトというものだから、私はベートーベンをとらざるを得なくなって、給料日には三人そろって町のレコード屋にそれぞれのを買いに行った。

お陰で、ウイルヘルム・ケンプ演奏のベートーベン作曲のピアノ全曲のレコードをボーナスで買って、今でも「宝物」で持っている。

で、当時(1966年頃)、話題になっていたユニークなピアニストは、グレン・グールドだった。批評家の誰かが「クラシックはジャズではないんだから」と評するような演奏だった。

それを思い出して、最近、1955年録音のグレン・グールド演奏のバッハ作曲「ゴールドベルグ変奏曲」のCDを買った。モノラールだがいい音色だ。最初と最後に「アリア」があり、中間に30の変奏曲があって、約38分の演奏だ。

ゴールドベルグとは、ピアニストで、ある貴族の要請で眠る前に「睡眠剤」として貴族寝室の隣の部屋で弾いたのがこの曲、バッハに作曲を依頼したもののようだ。

私は、今、この曲を静かに聞きながら、この文を書いている。

(写真は、若い頃のグレン・グールド)

都市計画の前に国土計画があるはずだが・・・

2008-10-22 | 地域居住学
「都市計画の前に国土計画がある」なんてのは、当然とでも言えるのだが、案外、都市計画の人たちは、それに凝り固まる傾向もある。

国家経営から言うと、国土のあり方が決まった上での個々の都市のありかたであろう。先日も高校の同窓会で、70歳位の先輩と話していたら、その先輩は、塩野七生(しおのななみ)さんの『ローマ人の物語』を読んで、「ローマ帝国が長続きしたのは、立派な道、立派な水道と下水道を帝国内に過不足なく張り巡らせたことだ」と言われたが、「まあそうだろうな」と思う。

その上で各国(ローマ帝国からは各地域)の特徴を掴んで、最も適当な地域経営方針をとる。

で、現在の日本はどうなのだろう、とふと思った。私が30歳台の「若い頃」、田中角栄の『日本列島改造論』が、よきにつけあしきにつけ、検討書としてあったのだが、最近の国土計画は、どうなっているのかな、と「不勉強」で思っている。

道路は、国家幹線は、昔から重要だが、今の「道路族」は、夢のある国土計画とリンクしたものではなく、「なにせ造ればいい」みたいだから多くの国民からそっぽを向かれるのではないか。

夢のある国土計画に関して言うと、今や、農林漁業を国家の「第一義産業」と位置づけ、自給率も倍増(80%)計画くらいで行って欲しい。

『源氏物語』のライフスタイルと心情を支持した人々

2008-10-21 | 生活描写と読書・観劇等の文化
私は、今まで『源氏物語』を平安王朝の「一権力者」プレイ・ボーイの恋の遍歴物語と思って読むのを少し忌避してきた。

ところが数日前、『源氏物語の時代 一条天皇と后たちのものがたり 』(朝日新聞社刊)を書いて、「サントリー学芸賞」を得た山本淳子さん(京都学園大学教授、京大文学部卒、48歳、私の高校ー金沢大学付属高校ーの後輩)の「源氏物語の時代ー紫式部のひそかなたくらみ」の講演を聞いた結果、少し考えてみる気になった。各時代の各階層の人々は、『源氏物語』をどう捉え、支持したかである。
講演を聞いた後のブログ:http://blog.goo.ne.jp/in0626/e/75d85f3849a0c01d14d945b7565a62a2

・平安王朝以後の天皇家、貴族の見方・・・こういう「政略結婚、交渉」も仕事、公務である。つまり自分たちの子孫をしっかり残すのが、私事ではなく公務、仕事なのである。天皇中心の貴族社会を確実に残すための公務なのだ。そうだとしたら、全知全能をあげてプレーするのは当然だ。(娘が生まれたら、より上の地位の男に嫁がせ、息子なら一番賢い子を跡継ぎにする。藤原道長は、娘・彰子を一条天皇の后にするのに成功した・・・。)
 だから、江戸、明治の頃まで「続いた貴族社会ー権力は失っていたがー」は、自分たちの源流の証として『源氏物語』的ライフスタイルと心情を支持したのだ。

・鎌倉以後の武士・・・上記とほぼ同じく「貴族社会」を武家社会に置き換えて支持。江戸時代の「大奥」も将軍にとっては私的空間というより公務空間だったと言って良い。「貴族社会」を表向きたてていた面もあり、『源氏物語』が読み継がれるのを黙認していた。

・江戸時代の庶民・・・王朝文学の本を読む余裕。上流社会へのあこがれ。

・明治以降の政治家、高級官僚・・・多かれ少なかれ「政略結婚」的傾向が強い。

・戦後の市民・・・あこがれ、自由恋愛の認定傾向。平安時代の歴史認識等。

膨大な生活描写なので、様々な学問にとってもまたとない歴史材料でもある。ex.「飲水病(いんすいびょう」→糖尿病→病気史の研究。 寝殿造りの研究、平安時代の食事の研究・・・。

とにかく奥深い『源氏物語』である。

銀行の低金利に対する不満など

2008-10-20 | 時論、雑感
今年は2008年、今から42年ほど前、1966年に私は就職したのだが、初任給が2万6千円だった。

で、前にも書いたが、20年勤めると年金がつき、それは最終給料の4割、それから1年に1.5%上がって、20年(計40年)勤めて7割になって頭打ち、それでも「いいなあ」と思った。(しかし実際には現在、年金は最終給料の半分以下で「裏切られた」感じ)

それから銀行の定期預金の金利が6%で10年預けると倍になる時代だった。退職金が仮に千万円として、定期預金にすると年に60万円の利子が入り、月5万円で当時だと年金とあわせて悠々と生活できると思った。しかし、現在、実際は定期預金の金利は1%以下で、退職金が仮に3千万円としても金利が1%として利子は30万円に過ぎない。

これでは、国内の消費が伸びないのは当然だ。で、海外の金利が高いので為替の問題もあるが、国内のお金は海外に「逃げる」といってよい。もう一つは堅実な銀行預金ではなく、株式等の投機にお金が流れた、と言える。

そこで、アメリカの金融崩壊が起こって全世界を巻き込んでいる。小金のある庶民も大損していると言えよう。

産業・経済の構造はと言えば、国内農業を破壊して、海外から輸入し、工業製品を輸出して稼ぐ(円安にして輸出しやすくする)という構造だ。ところが、世界的金融崩壊で不況、アメリカ始め新興の中国も消費が伸びず、日本からの輸出は低迷に追い込まれる。つまり内外の消費が冷え込んで、日本は八方ふさがりになる。

だから、これからは経済戦略を抜本的に転換すべきであろう。国内消費をあげるためには、第一に賃金を上げる必要がある。ニートだとか派遣社員は解消していく必要がある。又、第二に、金利も上げていく必要もある。

日本国民はおとなしい。しかし、今度の総選挙では、「怒り」を前面に出して投票せざるを得ないだろう。

体を温めよう

2008-10-19 | 食物栄養・健康・医療・農業・教育
これから秋から冬、体を温めていこう。

低体温は、ガンをはじめ万病の元である。ガン細胞は摂氏36度5分以下の体温を好む。逆に37度を越えると、「死滅」に向かう。冷え性の人は、次の諸方法を参照。

体を温める生活の諸局面:
○食べ物(陽の食べ物):塩(天然塩)、梅干、たくあん、塩辛、めんたいこ、味噌、醤油、(チーズ、肉類、卵)、魚介類、ビタミンE、、ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニク、ショウガ、朝鮮人参、根菜類(牛蒡、人参、蓮根、ヤマイモなど)
○飲み物:ロイヤル・ミルク・ティ、日本酒、焼酎のお湯割り(今、飲んでいるよ!)
○衣服:羊毛(ウール)、下着の重ね着、
○住居:遠赤外線暖房、OMソーラー、炭の利用、温かいお風呂(半身浴)、
○その他:温泉旅行、岩盤浴、

源氏物語と紫式部日記

2008-10-18 | 文化論、科学・技術論
今年は「源氏物語」千年紀と言う。千年前と言えば、1008年である。

その年の『紫式部日記』の「霜月1日」に少し遡って『源氏物語』を書いたことが伺える記述があるようだ。よって、もうすぐくる2008年11月1日が、確かに『源氏物語』が書かれて少なくとも千年目になるわけだ。

今日、『源氏物語の時代 一条天皇と后たちのものがたり 』(朝日新聞社刊)を書いて、「サントリー学芸賞」を得た山本淳子さん(京都学園大学教授、京大文学部卒、48歳)の「源氏物語の時代ー紫式部のひそかなたくらみ」を80分位の講演で聞いた。

実は、今日、私の卒業した高校(金沢大学付属高校)の同窓会・関西支部会が大阪であり、彼女も卒業生(後輩)のため記念講演で聞いたのだ。

大変面白かった。『源氏物語』そのものの話ではなく、成立した時代背景を『紫式部日記』で見事に描いているところが面白い。その時代は一条天皇の時代で、バックに貴族トップの藤原氏がいるという政治状況だ。

るる説明すると長くなるので、『紫式部日記』で紫式部が何を言いたかったかといえば、権力者(総理大臣)の藤原道長も、現代で言うと文化政策のトップ(文部科学大臣)の藤原公任(きんとう)も『源氏物語』を読んでいて評価している、ということだ。当時の文化的教養は、和歌、漢詩、管弦の三つであり、続いて随筆(『枕草子』清少納言など)であったのに、紫式部は、二人の権力者に認められていることにより、物語もサブカルチャではなく、メインの一つなんだよ、と言った訳だ。

当時、貴族は一応、日記を書いていたようだが、なぜ書いたかと言えば、第一に、子孫が先祖と同じ役回りになった時にどうしたらよいか、が分かるように、ということだ。(同時に、子孫に先祖はどういう人物だったか分からせるためもある。)

それと、第二に『紫式部日記』のように「私は偉かったのよ」ということを後世にさりげなく伝えるためだった。『紫式部日記』のおかげで今年の11月1日が「源氏物語千年紀」になることが分かったのである。紫式部自身、何時生まれて何時死んだかも分からないにもかかわらず・・・。

(だから、皆さん、後世のため日記を書きましょうね!)

「資本主義は本質的に不安定」

2008-10-17 | 時論、雑感
今朝の『朝日』で岩井克人さん(東大経済学部教授)が「資本主義は本質的に不安定」と言っている。

今度のサブプライムローンについて:「震源のサブプライムローンは、本来、信用度の低い人に貸すリスクの非常に高いローンだ。それが1件なら、どんな金融機関も引き受けないだろう。でも、それを大きく束ねて証券化すれば、リスクは薄めて見えるし、さらに多くの金融商品と組み合わせて厚く積み上げ、世界中にばらまくことで、そのリスクは表面から見えなくなった。(「汚染米」のようなものかな)

 こうした金融商品は、多くの人々の間で安定的に取引され、すぐに換金できると思われていた。あたかも、人々がもっとも信用する貨幣のように見えてしまった。多くの人が信頼するから信頼が生まれると言う自己循環論法が、ここにも作用している。

 その隠されたリスクだったサブプライムローンが破綻すると、ドミノ倒しのように、すべての金融商品の信用が失墜したのが、今回の危機の本質だ。」

誰だ、不安定なサブプライムローンを証券化し、「安全」と見せかけたのは?
そういことを言っても始まらないのかな。

「市場を通じて社会主義」と言っている中国やベトナムは、どう巻き込まれ、どう規制し、どう立ち直るのかな。ちょっと、無理なのかな。

1929年以来の「世界経済危機」と言う。ヨーロッパがいち早くまとまって対応策を出しているのが1929年時と違うひとつと言う。とにかく「資本主義」にも「社会主義」にも新たな試練の時であろう。

有朋自遠方来、不亦楽乎

2008-10-17 | 京都の思い出(助手時代)
「有朋(とも)、遠きより方(なら)び来たる、亦(また)楽しからずや」(『論語』貝塚茂樹訳注による)である。今日、長崎から大学院後輩(還暦過ぎ)で、現在、福祉文化学専攻の日比野正巳君(長崎純心大学教授)が京都の平安女学院で明日から行われる「福祉文化学会」にやってきたのだ。私と所属学会が違っているので、10年以上も会っていないのではないか。

私が京大で助手をし始めた1970年ころ、彼は名大建築学科を卒業し、京大大学院にやってきたのだ。京大に修士課程2年間いて、博士課程はまた名大に戻るコースを歩んだ。大学院では、一貫して交通計画を専攻し、名古屋の高速道路を批判的に評価している。

ところが、長崎総合科学大学に勤めてから原爆症の渡辺千恵子さん宅の改造に携わる頃からか、福祉空間計画にシフト、ついに学位は「工学博士」ではなく福祉の一番ケ瀬康子先生のところで取得、「博士(社会福祉学)」になった。今日、彼の名刺を貰ったが、絵も字もあるユニークなもので「デザインのできる博士(社会福祉学)日本初」と書いてあるので「そうなのか」と思った。

とにかく筆が早く本も多い。先輩の故・湯川利和先生(奈良女子大学)の『湯川利和 交通・都市著作集』も編集していただいた。

新しい言葉をつくるのは私と一寸似ている。
認知症の人に対して「やることが、トンチンカン」と言う人に対して「それは、とんちンカン」(とんち=頓知)なのではないか、と切り替えしている。
彼のブログも、その名を冠している:http://www.caresapo.jp/kaigo/blog/hibino/ 一読あれ。

今日、彼と話していて、「けいはんな地域」でやっている「地域SNS」「市民雑学大学」「グランマ・グランパの絵本・紙芝居プロジェクト」「市民サロン交流」などなどのプロジェクト、コンセプトに共鳴してもらったことがうれしい。彼も「地域SNS」招待しようかな。